11月1日の東京新聞夕刊は綾子踊などの「『風流踊』無形文化遺産登録へ」という記事を「ジブリパーク」の記事の隣に載せていました。
この綾子踊については、1990年代に出雲大社の巫女であった出雲の阿国の「ややこ踊」がルーツであると書いたことがあり、今回、その原稿を探したのですが見つからなかったため(ワープロ・オアシスの時だったのでしょう)、再度、書いておきたいと思います。
風流踊(ふりゅうおどり)は「中世芸能のひとつで、鉦・太鼓・笛など囃しものの器楽演奏や小歌に合わせて様々な衣装を着た人びとが群舞する踊り」「後世、亡者慰霊のための念仏踊や盆踊り、雨乞踊、虫送り、太鼓踊、浮立(ふりゅう)、剣舞(けんばい)、迎講、仏舞(ほとけのまい)、小歌踊、願人踊(がんにんおどり)、綾踊、奴踊、花笠踊、棒踊、祭礼囃子、三匹獅子舞、太鼓打芸など、多くの民俗芸能、民俗行事の源流となった」(ウィキペディア)とされ、仕事先の諫早市で初めて知り、その後、各地にあることに気付きました。風流を「ふうりゅう」ではなく「ふりゅう」ということがずっと気にかかっています。
国の重要無形民俗文化財である「綾子踊」は、香川県の綾歌郡の隣の綾歌町(現丸亀市)や満濃町(現まんのう町)の仕事で知り、さらに新潟県柏崎市で「綾子舞」の道路案内を偶然に見つけたこともあり、そのルーツを調べました。
まんのう町(旧 仲南町)の綾子踊は男子が女装した子どもの踊りが中心で、「風流の一種で、雨乞いの祈願をその本旨とした念仏踊風のものである」「2年に3度、8月下旬か9月上旬の日曜日に佐文の加茂神社に奉納される」「曲目には、『水の踊』『四国踊』『綾子踊』『忍びの踊』など十二曲 があり、それぞれの小歌に合せて踊を展開する」「曲目には、「水の踊」「四国踊」「綾子踊」「忍びの踊」など十二曲があり、それぞれの小歌に合せて踊を展開する」「その芸態に初期歌舞伎踊風の面影を遺している」(ウィキペディア)とされています。
弘法大師伝説起源も加わっていますが、大国主の子の阿遅鉏高日子根(あじすきたかひこね)の別名の「迦毛大御神」からみて大国主系の可能性が高い加茂神社で奉納されていることからみて、私は出雲の阿国の「ややこ舞」、さらには出雲大社の巫女舞(みこまい)(筆者説:御子舞)の神事、さらには古事記に出てくる大国主の娘で阿遅鉏高日子根(あじすきたかひこね)の妹の高比売(たかひめ)(下照比売(したてるひめ))が夫の暗殺された天若日子(あめのわかひこ)の葬儀の際に歌い踊った「夷振(ひなぶり)」がルーツと考えていました。
また、柏崎市女谷黒姫山の黒姫神社(一説では黒姫神は大国主の妻で建御名方(たけみなかた)の母の奴奈川媛(ぬなかわひめ)の母神とされる)の綾子舞は毎年9月に行われ、起源には「越後の守護職・上杉房能が討たれた際、奥方『綾子』が女谷に落ちのびて 伝えたという説」「北国武太夫という武士が、京都北野神社の巫女『文子(あやこ)』の舞を伝えたという説」がありますが、北野天満宮の祭神・菅原道真のルーツの菅原氏は天穂日(あめのほひ)(筆者説:大国主の筑紫妻・アマテル鳥耳の子)の子孫の野見宿禰(のみのすくね)を家祖としており、黒姫山信仰の年代からみても後者の説が有力と考えます。
私は全ての死者の霊を神として祀る「八百万神神道」の出雲大社などの世界遺産登録においては、阿国歌舞伎とともに綾子踊などの『風流踊』も加えて申請を行うべきと考えており、さらなる研究が求められます。
なお、韓国での痛ましいハロウィン事故が連日、報道されていますが、日本の伝統である男女・身分入れ替わりの「仮装踊り・仮装行列」をすっかり忘れてアイルランド・ケルト人のハロウィン祭りの商業戦略に踊らされるという薄っぺらい「拝外主義」には悲しいものがあります。
そもそもアイルランドなどのケルト族のストーンサークルと縄文人のストーンサークルはアフリカに共通のルーツがあると私は考えており、世界の仮面祭りや仮装文化もまた同じ可能性があると考えています。ベニスのカーニバルなども、キリスト教の中世暗黒時代以前の宗教・文化を伝えていると考えています。
私の通った姫路西高校の体育祭では各クラスで竹と紙で巨大な人形(播磨国総社・射楯兵主神社の一ツ山大祭・三ツ山大祭のお山、ねぶた祭の人形の影響か?)を作るとともに、仮装行列(私は友人とガンマンに)をやりましたが、ハロウインなどやらずに各地の「風流踊」の仮装行列を大々的に復活させるべきではないでしょうか?
□参考□
<本>
・『スサノオ・大国主の日国(ひなのくに)―霊(ひ)の国の古代史―』(日向勤ペンネーム)
・『邪馬台国探偵団~卑弥呼の墓を掘ろう~』(アマゾンキンドル本)
<雑誌掲載文>
2012夏「古事記」が指し示すスサノオ・大国主建国王朝(『季刊 日本主義』18号)
2014夏「古事記・播磨国風土記が明かす『弥生史観』の虚構」(前同26号)
2015秋「北東北縄文遺跡群にみる地母神信仰と霊信仰」(前同31号)
2017冬「ヒョウタンが教える古代アジア”海洋民族像”」(前同40号)
2018夏「言語構造から見た日本民族の起源」(前同42号)
2018秋「『龍宮』神話が示す大和政権のルーツ」(前同43号)
2018冬「海洋交易の民として東アジアに向き合う」(前同44号)
2019春「漂流日本」から「汎日本主義」へ(前同45号)
<ブログ>
ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート https://blog.goo.ne.jp/konanhina
ヒナフキンの縄文ノート https://hinafkin.hatenablog.com/
帆人の古代史メモ http://blog.livedoor.jp/hohito/
邪馬台国探偵団 http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/
霊(ひ)の国の古事記論 http://hinakoku.blog100.fc2.com/