ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

56 「橘の小門の阿波岐原」はどこ?

2009-07-19 16:42:59 | 歴史小説
筑後川の分流にかかる朝倉三連水車



●ホビット 19:59
「橘の小門の阿波岐原(あはきはら)」について、もう少し説明してくれませんか。

●ボク 20:00 
この地は、安本美典氏の「邪馬台国甘木・朝倉説」で有名なところです。ヒメ様の『邪馬台国殺人事件―14人目の探偵』は、この地で殺人事件が起こり、我々も巻き込まれてしまうことになっています。

●ホビット 20:03
読みましたよ。僕の分身は『大国の里殺人事件―高砂の翁と媼の物語』の「石の宝殿」の謎解きからの登場ですが、「邪馬台国甘木・朝倉説」はだいたい理解しているつもりです。

●ボク 20:05
旧朝倉町には「橘」の地名がありますが、斉明天皇・中大兄皇子は対新羅・唐との戦いの際に、この地に「朝倉橘広庭宮」を設けたとされています。
日向勤氏は、日本書紀で仲哀天皇の后の神功皇后が「新羅征伐」の時にこの地に来て羽白熊鷲を討ったとしていることから、「羽白(はしろ)」=「羽城(はしろ)」=「杷木(はき)」ではないか、という説です。「小門」の地名はありません。

●カントク 20:10
ボクは「隠れ古田武彦ファン」かと思っていたが、「隠れ安本美典ファン」、あるいは「隠れ日向勤ファン」かな?「隠れ阪神ファン」も、隠れまくりで大変じゃのう。

●ボク 20:12
「クール」世代には、「ファン」はいませんよ。与野党が交代で入れ替わる時代に入るのですから、「全方位・等距離の八方美人」の「保身派」「日和見派」ですよ。

●マル 20:14
「保守派か革新派か」の時代は終わった、「保身派か確信派か」の時代ってことね。ヒナちゃんはどっちなの?

●ヒナ 20:16
まだまだ「確信派」にはとてもなれませんよ。「探求派」ってとこですね。

●ボク 20:17
単なる「カット・アンド・ペースト」の「ただ乗り派」や、論争を単にゲームとして楽しむだけの「ゲーム派」なんてのも多いですよ。AでもBでもいいんです。
 
●ヒメ 19:19
そうだよね。「生きるべきか、死すべきか」(To Be or Not to Be)なんて時代じゃないわよね。「王位をとるべきか、オフィーリアと駆け落ちすべきか」なんて選択肢がある方がいいんじゃない。

●マル 20:21
ヒメの回路は、ちょっと不思議な繋がり方をするので面白ですよね。
ところで、下関の仕事をしたことがあるけど、関門海峡に面した彦島と下関市街地との間の狭い海峡を「小門(おど)海峡」と言ってたわよ。

●カントク 20:24
そうなんじゃ。「関門海峡」のそばに「小門(おど)海峡」がある例から見ると、「大門」「小門」の対と考えられる。筑後川が2つに分流して再合流する所があるが、小さな方の川を「小門」と言った可能性はある。あるいは、「小門=小渡」で筑後川を渡る場所であったかもしれん。

●ホビット 20:27
橘とのその分流した川の位置関係は?

●カントク 20:28
橘の1kmほど南に有名な朝倉三連水車があるんじゃが、この川は筑後川の分流だった可能性がある。

●ホビット 20:30
橘と杷木の位置関係は?

●カントク 20:31
杷木の中心部は、高山(こうやま)を迂回して、さらに6kmほど上流に行ったところにある。この場所だと、「橘の小門」とは言えんなあ。

●ホビット 20:33
「阿波岐」と「杷木」は違いますよね?

●カントク 20:34
確かに。「阿蘇」が「あ・曾」、「明日香」が「あ・須賀」と同じように、「あ・杷木」の可能性がある。そうすると、「あ・杷木」は同じように「杷木」から離れた場所であったかもしれん。

●ホビット 20:36 
「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」と「筑紫の日向の高千穂のクジフル嶺」との位置関係はどうなりますか?

●カントク 20:38
筑後川を上ると「ひな城」(日向城)や橘、杷木の地名があって、大分県に入って日田市があり、そこから玖珠川に沿って上ると、天瀬町を経て「久住山(九重山)」に着く。筑後川の源流域が久住高原なんじゃ。

●ヒメ 20:41
九州最長の川と九州最高峰、そんな関係を古代人は知っていました?

●カントク 20:42
ヒメの着想はいつも鋭いな。
アイヌというと熊を追いかける猟師イメージが強いが、実際は漁師なんじゃ。海や川には四季を通して豊かな食糧がある。縄文人も丸木舟を操る漁師で、海や川を行き来していた。水田耕作を行うようになった弥生人も、川沿いに稲作を広めている。

●マル 20:46
出雲の「斐伊川」(霊川、氷川)とその源流域の「比婆山」(霊場山)、筑紫の「筑後川」と「久住山」、2つの地域の神話の舞台は似ているわよね。

●ヒメ 20:48
生きる糧を育て、多くの生命を育む川と、それら全ての生命の源流の山々に関する信仰は縄文時代から続いていたのか。全ての生物の霊(ひ)が天から降り立つ聖なる山、それが「クジ」の「降る嶺」だったのね。

●カントク 20:51
どうやら、ヒメの新しい小説のイメージが湧いてきたようじゃな。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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