ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

45 「大君は神にしませば」

2009-05-24 10:18:51 | 歴史小説
雷丘(万葉散歩フォトギャラリーより)
http://www1.kcn.ne.jp/~uehiro08/


●ヒナ 20:35
高木さんに続いて、今度は、私がテストを受ける番ですよね?
「神」と言われた天皇があります。天武天皇です。

●カントク 20:37
壬申の乱に繋がってきたわい。

●ヒナ 20:38
万葉集には、柿本人麻呂の有名な次のような歌があります。

「大君は 神にしませば 天雲の 雷の上に 廬(いほ)りせるかも」(3-235)
注:「廬(いほ)りせる」=雷の丘の仮宮に籠って身を浄めていること。

●マル 20:41
ここで天武天皇を「神にしませば」と歌に詠んでいるのは、天武天皇=神としているのかしら?

●ヒナ 20:42
皇国史観では、天皇=「現人神(あらひとがみ)」と解釈しましたが、この歌をみるかぎり、「神のようである」と言っているだけだと思います。

●カントク 20:44
そうなんじゃが、それでは優等生的でものたりんな。「帰れソレントへ」いや「帰れ古事記へ」じゃ。もう少し膨らませてみてはどうかの?

●ヒナ 20:47
カントクの言いたいのは、古事記で「神」と呼ばれている人は、スサノオや大国主に繋がる、出雲系の王である、ということなんですよね。

●カントク 20:49
そうじゃ。さすがじゃのう。
なぜ、大海人皇子が近江朝廷の正規軍に対して、あれだけの短期間に兵を集め、勝利できたかじゃ。
それは、美濃・伊勢・尾張・大和・丹後・播磨を始め、各地にスサノオ・大国主を祖先神とする一族がおり、大海人皇子自身が出雲の血を引いていたからこそ、その支持をえられたんじゃ。

●ヒメ 20:53
「大君は 神にしませば」というのは、柿本人麻呂を始め、出雲系の人々にとっては、スサノオ~大国主王朝の後継者である大王(おおきみ)であり、スサノオの「霊(ひ)」を受け継いだ「神」の一族である、という意味だったのね。

●カントク 20:55
「大王(おおきみ)」を「天皇」というようになったのは、この天武天皇からじゃ。もともと、「天王」と呼んでいた「スサノオ」の後継者である、という共通認識があったからこそ、「天皇」と言い換えた、と考えられる。

●マル 20:58
やっぱり、日向勤氏ってカントクじゃあないの? 言ってることが似ているわよね。

●ヒメ 20:59
最後に、日向勤氏は誰か、の謎解きをしましょうよ。

●マル 21:00
壬申の乱の天智天皇派対天武天皇派の争いについては、改革派(中央集権派)対反改革派の争いという説や、親百済派対親新羅派の争い、海外派兵派対派兵反対派の争いという説があるけど、アマテラス派(天智天皇)対スサノオ派(天武天皇)の争いであった、というのね?

●カントク 21:03
日本書紀にはスサノオが新羅(当時は辰韓)のソシモリに行ったとか、木種を持って行ったという話がでておる。新羅は鉄の産地で出雲との鉄交易がずっと続いていたんじゃな。一方、百済救援のために出兵を強行し、白村江で大敗した中大兄皇子(後の天智天皇)は、当然ながら親百済じゃ。
親百済派対親新羅派、海外派兵派対派兵反対派の根っこには、アマテラス派対スサノオ派の争いがあったんじゃ。

●ホビット 21:08
日本書紀一書第4には、スサノオは新羅から「舟に乗って東に渡って出雲国に着いた」としているんです。これは、正確に新羅と出雲の位置関係を言い当てています。机上の作文ではないですね。
当時、新羅と出雲国を結ぶ東西貿易路があったことを、正確に言い当てていると思います。

●マル 21:11
さすが、ヨットマンの目のつけどころは鋭いね。
ところで、改革派対反改革派の争いというのはどうなの?

●カントク 21:13
大国主のゆるやかな宗教連合のもとにあった出雲系の王の後継者の豪族にとっては、当然ながら、反改革派(分権派)であったといえよう。
しかし、百済が滅んだ後に、唐・新羅連合は解体し、唐対新羅の対立に入るから、親新羅の天武天皇は唐に対抗するために、強力な中央集権体制を目指したのではないかな。

●ヒメ 21:17
スサノオ・大国主の子孫の各地の神々=王は、年に一度、神在月に出雲に集まり、相互に婚姻関係を結んでいったわけだから、強い絆で結ばれており、大海人皇子の挙兵に、一挙に結集できた、というわけね。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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