蒲田耕二の発言

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電線埋設

2018-02-21 | 社会
2020年度までに全国約1400km分の電線を地下に埋める計画を国交省がまとめたそうだ。これ、安倍政権下で実施されるごくごく数少ない良質の国家事業の一つじゃないかね。

電線電柱が日本経済の成長に不可欠だったことは否定しない。だが、あの青空をカミソリで切り裂いた疵痕のような醜い筋に、親近感だの愛情だのを感じる人って、どれだけいる?

電線がなくなるとゴジラが泣くかも知れない、などと東京新聞の筆洗はつまんないジョークを書いているけどね。

日本の空に電線が我が物顔でのさばってきたのは、地下に埋設するより安上がりだったからだろう。日本が貧しかったころは、空中架線もやむを得なかった。それが世界有数の経済大国になったいまもそのままってのは、要するに怠慢でしかあるまい。観光立国とか、掛け声は勇ましいのに。

日本人は繊細な美意識を持っているとされ、伝統工芸や造園、インテリアなど私的な空間では古来から外国人に目を瞠らせる洗練を示してきた。

それが公共の場となると、途端に無神経なやり方が放置される。街並みを見れば一目瞭然。東京の顔の銀座でさえ、ビルのデザインはテンデンバラバラで調和というものがない。電車内のアナウンスが時に耳をつんざくほどやかましいのも、そう。公衆トイレも、ちょっと前までは到底使う気になれないほど汚かった。

京都を訪れる外国人観光客は、清澄な気品を湛えた神社仏閣と、何本もの電線を乱雑に巻きつけたコンクリートの電柱との極端な対比に一様に驚くそうだ。そらまあ日本人だって、モンサンミシェルの修道院のそばに無粋な電柱が立っていたら仰天するよなあ。

無神経の極めつけは、日本橋を押し潰すかのように覆う、あの超醜悪な高速道路だろう。日本の隅々へ至る全道路の起点を闇に沈めるあの不吉な影は、いまの日本の国力衰退と国際的な地位低下を象徴している。あれは間違いなく呪いだ。

東京オリパラでこれまでいくら遣い、これから遣うのか知らんが、それに比べりゃ電線の地下化、高速道路のトンネル化など廉いものだろう。何百億もする戦闘機をアメリカの言い値で買う前に、こっちの方を先にやって欲しいよ。

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