pansaaのSF回想5 ~ 決着 ~

2010-03-24 17:49:03 | SF回想編

前回分 からの続きです。
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SOLに入隊後は内戦、クラン戦、ゲスト戦と日々充実した時を過ごすこととなり、とりわけゲスト戦は戦術の完成度を高める場、
新しい戦術を試す場、クラン戦前の調整の場と多くの意味を持っており、SOLにおいて重要な活動の場だったのではないだろうか。
自分達で部屋を建てられるというシステムから生まれたゲスト戦、そこには他のFPS(無料FPSを除く) では味わうことの出来ない楽しさがありました。


初クラン戦がきっかけでSOLに入隊を果たし、それ以降も日によって偏りはあるものの
コンスタントにクラン戦が行われていたが、クラン戦のほとんどは8vs8という多人数での戦いでした。
そういった流れを変え、SFにおけるクラン戦のスタンダードを作ったのがクランSFSの主催する大会であり、
第3回大会の発表と共にSOLの活動も5vs5を主体としたものへと変わり、
5人になって初めて戦術を取り入れ本格的な研究が始められました。

※SOLはSOL1からSOL4までの最大4つのグループに分けられましたが、戦術は各グループ異なっており、
共有された戦術(投げ物やマップの知識は除く)はなく、以下に書かれている戦術の全てはSOL1での戦術です。


守備についてはSOLでは決まった配置よりも状況に応じて形を変えることを重要視しており、
常に全員が相手の作戦を読み、先手先手で試合を有利に進めていました。
攻撃については1人1人役割を決め、まとまって片方の爆破地点に攻めていました。

余談ですが爆破でのラウンドの開始位置は固定リスポーンであり、その位置はロビーでの位置によって決まっていました。
SOLでもそのことは研究され各マップ最適な位置取りは確立され使われていましたが、
ゆっきぃがロビー画面では一番上が良いということで使われなくなりました。
こういった研究の成果もあり当時SOLは無敵の強さを誇っていました。
しかし、ある1つのクランの出現によりその地位は脅かされることになりました。


DifferentSound(Ds)
Counter Strike1.6(CS1.6) の有名国産ムービー「Death Raiserz 4」 に出演をしている遠距離(近距離)氏、
現Sudden Attack 公認インストラクターであり、CS1.6では日本初のプロチーム4DimensioN(4dN) で活躍したKeNNy氏、
「Sudden Attack 全国大会」 でKeNNy氏率いるRusty Eggs で優勝に貢献したkirua氏とpK^ENeMy氏、
e-stars 2008 サドンアタックAsia Championship日本予選 でNabD として優勝に貢献したRoyal
等のメンバーを中心とした実力と潜在能力を秘めたクラン。
※ちなみに当時サドンアタックはまだありません。その後のことです。

DsはSOLにとって脅威となる存在であり、初めてDsと戦った時はかなりの苦戦を強いられました。 Dsとの初試合レポート →
平坦な道に思えた大会優勝もDsの出現により過酷な道へと変化し、SFはSOLとDsの2強時代へと突入しました。
そして両クランは第3回SFSトーナメントでは予選を圧倒的なスコアで勝ち進み、決勝で相見えることになったのです。

※詳細な試合内容、結果はゆっきぃの書いた記事を参照して下さい。 第3回SFSトーナメント優勝レポート →
ここでは勝敗を分けたポイントを2つ挙げ、それについて書きたいと思います。



1つ目は"対策"です。

クラン戦において戦術は重要であり、試合中は自分達の戦術を相手に読まれないようにすることが大切であり、
さらに言えば直接対決を避け極力自分達の情報を相手に知らせないことも大切です。
こういったことをかなり徹底してやってきたのがDsでした。
初戦以降大会で戦うまで直接対決はないどころか、野良においてもDsのメンバーを見ることはほとんどありませんでした。

しかし、隠すだけでは実際にその戦術が通用するかどうか分からず、どこかで実践する必要があり、
それはなるべくならば強いチームに対して試す必要があります。
その為Dsは1度だけSOLのゲスト戦に参加したことがあります。
たった1度だけですがそこで実際にDsの戦術を肌で感じられたのは後に対戦する上で有利になりました。

ゆっきぃの記事にもありますが、Dsの攻撃の戦術は奇抜であり、他クランでは真似出来ないものでした。
その戦術とは遠距離氏の圧倒的なスナイピング技術を前面に出し、スナイパーを先頭にしてジリジリと攻めて来るものでした。
一見するとスナイパーが先頭なので近距離戦に弱いと思われますが、常に周りには1,2名のアサルターが護衛についていて、
単に距離を詰めるというだけでは崩すことが出来ず、相手は進むことも退くことも許されず、死を待つというような状況になります。

そんな状況に陥らない為にSOLが対Ds用に考えた戦術が"空爆"でした。
SFには2種類の爆弾が存在していて、通称赤グレ緑グレと呼ばれていました。
赤グレは爆発までの時間、射程距離共に短く、ドッジボールのような感覚で相手に当てるように投げる爆弾であり、
緑グレは爆発までの時間、射程距離共に長く、相手の位置を予測して投げる爆弾でした。
そして空爆とは主に緑グレを使用した爆破を表します。

SOLではゆっきぃ、Mendoh、UV塗装が赤グレ、pansaa、whitelampが緑グレを使用していました。
緑グレを使用しているのが私とwhitelampということもあり、この頃はよく2人で研究をしていました。
この緑グレはDs戦においても大いに活躍し、Dsの戦術の幅を狭めることに成功し勝利に大きく貢献しました。


2つ目は"対応力"です。

SOLの攻撃は1人1人決められた役割をこなす作戦だと書きましたが、Ds戦の途中でそれは変わりました。
自信を持って繰り出したラッシュ、時間差攻撃を全てDsに対応されてしまった為でした。
作戦が通用しなかったショックは大きかったものの、すぐにその状況に対応して新たな戦術"自由"が生み出され、
結果的にその戦術は個々の特徴を上手く出し攻撃力のある戦術になりました。

実際に"自由"と呼ばれた戦術は具体的に説明することは難しいと思っていましたが、
最近この戦術を説明するに当たって参考となる動画を発見したので紹介します。


SpecialForce-SNS杯決勝戦 実況



この動画においてExtraDamage(ED) が行う下ラッシュは人数配分が多少異なるものの、この形はまさにSOLにおける自由です。
下の設置場所の制圧、センターと下の分断、テラスに相手を上がらせない、
この3点は抑えたEDの動きはSOLの自由と本質的に同じだと思いました。

しかし、SOLの自由とEDの下ラッシュは根本的には異なっており、EDの下ラッシュは文字通り下の設置場所を
制圧する為の作戦ですが、SOLの自由は上と下の設置場所を同時に攻めるということでした。
ただ結果的には下の設置場所を制圧することが多く、上側の攻めはテラスに上がることを
防ぐということになっていましたが、下を守る為に上側が手薄になった時に効果を発揮しました。

この自由という戦術はDs戦が初めてでしたが、基本形はSOLが解散するまでの間変わることがありませんでした。
最初から完成された戦術を試合中に実践出来たのは偶然ではなく、
各々日頃野良部屋や内戦などで個人技を磨いた結果であり、
私が行っていた動きも野良部屋等で1人で設置場所を確保する為に考えたものでした。

SOLにとって自由こそが個人の能力を最大に発揮する戦術であり、
そこに常に変化する状況を読み取り流動的な動きを組み合わせることにより、
戦術の幅を広げることが出来、自由という曖昧な表現ではあったが、確立された最強の戦術となりました。

SOLとDsはこの試合が山場であり、この後はDsがいち早く解散してしまい2強時代は早々と幕を閉じました。


勝敗は決した
祝福の言葉に笑顔
勝利の喜びに酔いしれ
勝利の安堵に浸る

私はこの日も歩み続けた


時同じくしてSOL2にも立ちはだかる強敵。
勝敗だけではない、試合に隠された本当の意味とは!?

次回 SF回想6 ~ 秘められた思い ~