Squad戦場日誌(2) ~ センパイ分隊と呼ばれて ~

2015-12-28 20:33:37 | その他FPS

前回記事 で分隊に入ってきた外人が親切に俺の言葉をネイティブに訳してくれたエピソードを書いた。
しかし今後はその必要もなくなった。
野良外人に通訳を頼まなくても良くなったのだ。




上のSSに写ってるDYBILが最近我が分隊でずっと活動してくれてるからで、
DYBILことアレンくんはテキサス在住のアメリカ人なのだ。
つまり完全に英語ネイティブなので、その彼とここ数日間一緒に問題なく遊べてるというのは、
紛れも無く俺自身の英語能力向上の賜物・・・というわけではなく、
アレンは日本オタクなのでなんと日本語会話ができるのだ。

元はといえばアレンは我がクラン員のJakigannRed Orchestraで出会った人らしい。
そういや俺とJakigannや、Imoutupとかとも出会いはRed Orchestraだったような気がする。
みんな似たようなゲームが好きっていうか、Red Orchestraは軍ヲタゲーマーの出会い系のようなものだな。


ってことで分隊員に外人が入ってきた時は、
俺の日本語での指示をアレンが英語で同時通訳してくれるし、
逆に分隊員が英語でなんか言ってきた時はそれを教えてくれる。
超カッコイイ。

「yukkyさんの英語には"アール"の音が無いですね~。」
とかで即席英会話発音教室になったりも。
「僕は大阪弁好きです、大阪弁かわいい。」
とか言ってたので逆に俺が今度ネイティブな大阪弁を教えてやるか。

なんかリアル仕事の影響かJakigannも英語を話せるようになったようだし、
今後のクラン活動の幅が広がりそうな気はするね!




俺はゲーム内で分隊を立てるとき、いつも「JAPANESE」という分隊名で立てる。
このゲームはチームとしても分隊内でも連携が重要なので、意思疎通が取れると面白さが100倍違ってくるし、
だから独りでプレイしてる野良の日本人が見つけて入って来やすいようにね。
うちの分隊で日本人同士で連携をとればこのゲームの面白さがわかるだろうと思って。

だからけっこう日本人も入ってきてくれるんだけど、
そんな分隊名でスコアでも目立っていたのもあって、
チームメイトの外人たちがチャットで・・・

「こっちのチームにはSENPAI分隊があるから勝つぜ!!」
「センパイ分隊ツエエエエエ!!!」
「ロシア人よR.I.P」
("安らかに眠れ")

とか言い出してた。
どうやら日本人=センパイと呼ぶ海外のアニメネタかなんからしく、
アレンがバカウケしてた。

「NOTICE ME」("私に気づいて")
とか言い出す人も。
確かにアニメの先輩キャラって、後輩からの視線に気づかない的な、
そういうステレオタイプがあるかも・・・。


どうでもいいけどJAPANESE分隊でやってると
この前は日本語勉強中の香港人とかも入ってきてたから、
ランゲージエクスチェンジ分隊と化してるかも知れない。

我が分隊は日本語勉強中の外人じゃなくて、
普通の日本人も歓迎するので、
ゲーム内で見つけたらどんどん入ってきてね!

Squad戦場日誌(1) ~ 森の中の殲滅戦 ~

2015-12-24 19:25:23 | その他FPS



ある日、Squadで分隊活動していたとき。
分隊の9人中、半分がクランメンバー、半分が外国人という形になった。
分隊長の俺はそういう時、クランメンバーには当然日本語で通じるが、
半分の外人メンバーにもわかるように簡単な指示を英語で出すときがある。
そんなとき・・・

「レッツゴートゥーサウス! ホールドザットベース!」
「Let's go to south, hold that base.」

「エネミーコンタクト!イレブンオクロック!」
「Enemy contact eleven o'clock!」

俺の下手なカタコト英語の後に、毎度ネイティブ英語で言い直してくれる外人がいた。
聞き取りやすくかな?
まさかの通訳さん、なんて親切!
これのおかげで分隊内の指示をちゃんと全員に行き渡らせることができた。




基本的にこのゲームのメディックは忙しい。
命が儚くも大事なゲームなので、負傷者の治療や倒れた人の復活など。
銃撃戦が始まるとそこら中でメディックを呼ぶ声がこだまし、
またそれぞれの治療も一瞬で終わるものではないのでお仕事はてんてこ舞いになる。

上のSSは爆破された建物の屋上で多数の負傷者の治療に当たるメディック。
銃弾飛び交うさなか、スモークの中で匍匐し味方を治療していく。
デキる隊員が多い部隊ならメディックが仕事するときは、こんな風に十分にスモークを展開し援護するのだ。

うちのクランではImoutupがよくメディックを担当しているので、
激戦が続くと「包帯が切れた!とってくる!」とかよく言ってる。
後方支援職でありながら、前線で負傷する味方の治療に当たるので、
当然メディックは包帯やメディックパックを両手に最前線を走り回ることが多い。
最も危険な任務だと思うが、銃弾の下を走り回って味方を治療して回る姿は、
バンド・オブ・ブラザースのユージーン・ロウのようでカッコイイ。

Imoutupの場合は「あ、ありゃもうだめだな。」とザツなトリアージで諦められることも多いけど・・・。
助けられる者と助けられない者の取捨選択も、またメディックには必要なスキルなのかもしれない。




分隊員5名と森の中を哨戒していたとき。
俺の前方わずか50メートル先、深い森の中に敵の分隊を発見した。

彼らは俺たちの陣地に向かって慎重に前進しており、
俺たちは奴らの背後をとった形となっている。
敵はまだこちらに気づいていない。

「俺の前方に敵分隊を視認。みんな見えてる?まだ撃つなよ。」

分隊員に攻撃位置につくよう指示しながら、敵兵の動きを見張る。
まだだ、もう少し分隊員を接近させてから万全の態勢で一気にキメたい。
もう少し・・・もう少し・・・。


そのとき、ふいに敵の1人が振り返った。
一瞬目が合ったと思った瞬間、

「気づかれた、撃て! 攻撃開始!!」

言いながらアサルトライフルの1マガジンをフルオートでバラ撒くと、
敵の最低2人は倒れたのが確認できた。
それを合図に分隊員たちからの一斉射撃が始まる。
森の静寂を破るけたたましい銃撃音。


敵部隊も散開しながら煙幕を展開し、遮蔽をとろうとする。
全員がブッシュに伏せている上に煙幕、
これじゃ敵が死んでるのか生きてるのか見えない。
まだ全滅はしていないはず・・・。

そのとき、分隊員のnipateaがRPGを構え、煙幕の中に撃ち込む。
おそらくは敵部隊のどまんなかで炸裂し、それで終わりだった。
分隊員に射撃中止を指示すると、敵からの応射はない。
こちらの被害はゼロ。


深い森の中とはいえ、索敵の重要さがわかる。
哨戒により味方陣地の防衛に貢献できた、気持ち良いゲリラ活動だった。

100人対戦FPS『SQUAD』をレビュー、これは軍隊ごっこゲームだ!

2015-12-21 04:48:08 | その他FPS

12月15日に発売された注目作、
大規模FPSの『SQUAD』をプレイした感想。

リアル系の現代戦軍事FPS、アフガンを舞台にアメリカ軍・ロシア軍・民兵などが登場。
広大なMAPでの100人対戦がウリで、またゲームタイトル通りに部隊間の交信・連携にも力を入れている。
テスト段階の為まだ未実装だが、装甲車や航空機などの乗り物も登場予定。
BF2の大型MOD、Project Realityチームが開発している。

ではレビューいってみよう!!




・雰囲気

プレイしてはじめにおおっと思ったことは、雰囲気。
実際のところ戦争ゲームにはこれが最も重要である。
特にリアル系は、気持ちが入り込めるかどうかで大きく燃え度が変わる。

その点このSquadの雰囲気は、まさに求めていたものに近い。
なによりも音響が良い。
銃声や爆発音は実際のものをサンプリングしたものだろう、かなりの迫力があるし、
また屋内では銃声も他人のボイスチャットも反響したりする。
迫力を重視してるのかこういった効果音の主張が大きいために、
激戦地においてボイスチャットがかき消されることは多々あるが、
銃声や爆発音の中、伝えようとしてできるだけ単純な内容の怒声を何度も発する、戦場とはそういうものである。

初代Red Orchestraの銃声、とりわけ機関銃のやかましさが大好きで、
Red Orchestra2に移行するとそれが全然おとなしくなってて大きな損失だと思った俺世代には、
まさにこのやかましすぎる効果音は大事なことなのだ。


・交信

そしてそんな雰囲気に一役買ってるのが、交信系のシステム。
Squadでは三種類のボイスチャットを使う。

1つ目は周囲の人だけに聞こえるローカル、
2つ目は分隊内で無線で話す分隊チャンネル、
3つ目は分隊長同士のみに聞こえる無線のコマンドチャンネル。

分隊長同士はコマンドチャンネルで連携をとり、他分隊と共同で作戦を展開したりする。
分隊内では分隊チャンネルで、細かい戦術的な内容をやりとりする。
そしてローカルで周囲の人ともっと手近な会話をすることになるが・・・

音響システムはここでも活きており、ローカルで喋ると、
その人との距離や方角によって聞こえ方が変わってくるので、
現実と同じように声を聞くだけで実際に自分から見てどこにいるのか大体わかる。

なので前線拠点に防衛で詰めてるときにふいに敵の大軍が攻めてきて激戦になったりすると、
もうあちらそちらの方向から銃声や爆発音に混じって「メディーック!」とか「敵はあっちの方向だ!」とか聞こえるので、
実際に自分がそこに置かれているかのような音響と迫力があるのだ。




・MAPとルール

MAPでは味方分隊の位置や建設したFOB(前線基地)の位置などの情報がリアルタイムで見れる。
特に分隊長なら戦況を把握し他分隊との連携をとる為にも常にしっかり見とかなければならない。
MAPスケールに関しては狭いというわけではないが、乗り物が登場するにしては広くもない。
もしかすると今後より広大なMAPも登場するかもだが・・・
Armaのようにプレイ時間のほとんどは移動時間と待機時間 みたいなバランスを避けてるのかもしれない。
まあこれぐらいの方が手軽に撃ち合えて良いようにも感じた。


ルールは現状は3種類。

Advance and Secure(AAS)は現状もっとも回されているルール。
BFシリーズでいうコンクエストでMAPに配置されたいくつかの拠点を取り合うが、
占領できる拠点は"前線"として決まっているので、戦力が集中しやすく、
拠点の変な裏取りとかはできない。
占領やキルなどで敵のチケットを削りきれば勝ち。

Insurgency(INS)は正規軍と民兵での戦いになる。
民兵側はMAP中にいくつか武器や資金などの物資を隠しており、
正規軍側はそれを全て破壊して回り、全部破壊できれば正規軍側の勝利。

Territory Control(TC)は攻撃側と防衛側に分かれ、攻撃側が拠点を順番に占領していく。
一度占領された拠点の奪回はできない。
時間内に全部拠点を制圧できれば攻撃側の勝利。
FPSのInsurgencyでおなじみのルール。




・建築

このゲームの大きな特徴として、建築の存在がある。
上の画像のようなバンカーの他には、土嚢やタイヤを積み上げたもの、
歩兵にダメージを与える鉄条網、そしてハシゴなどがある。
これらで予め防衛陣地を敷いておけば、撃ち合いでかなり有利となり、
また市街戦などの通路が入り組んだ局面ではこれら障害物で塞いでおくことにより
侵入ルートを限定するといった使い方もある。

これはかなり面白いシステムで、ある野戦では、
森の中の丘にバンカーや土嚢を組み合わせた陣地を構築し、
接近する敵部隊に対し一方的に有利な戦闘を展開できた場面もあった。

このSquadの前身であるProject Realityでは、
据付型の重機関銃や対戦車ミサイルや対空砲なども設置できるようなので、
アップデートが進めばそれらも登場するのだろう。
要塞化がますます捗って楽しそうである。




・総合的に

このゲームはチームワークのゲームであり、他のFPSと違って、
自分が敵を殺すことよりも"役割を果たす"ことの方が重要
という点はArmaに似ている。
自分が1人や2人の敵を直接排除することよりも、分隊の動きに沿い、
ラインを組んだり敵がいない方向を監視したり、
無理に接近して当てにいく危険を冒すよりも、その場で移動せずに生き残り、
制圧射撃をかけて敵に圧力をかけたり味方を援護することとか、
そういった働きにこそ大事なものがある。

こういうゲームではBFやCoDでやるような動きたがりや殺したがりはあまり役には立たない。
なのでリアル系のゲームは初心者には地味で全然活躍できない、つまらないという印象を与えがちだ。
しかしそういう地味な働きをする人たちが集まってこそ、
チームが最も機能的に動く"部隊"を形成することを理解し、
その一員に自分が参加できていることを自覚できたとき、
リアル系の本当の面白さ、戦争映画のような軍隊ごっこ遊びの醍醐味を感じられる。


SquadはProject RealityやArmaプレイヤーが多いのだろう、
ベテラン歩兵みたいな連中は"わかってる"動きをすることが多い。
多人数で横に広がって戦線を形成したり回り込んで包囲したりの分隊同士の連携も活発だ。

Squadは一見地味なゲームだが、そういった本当のチームワークと、
FPSではなく戦争映画のような軍隊ごっこ遊び だと受け取れば、格段に楽しくなると思う。
みんなで陣形を組んで平野を進んでいる時、相互カバーで市街地を進んでいる時、
防衛陣地で敵を待ち構えている時、突如多数のスモークが展開されて煙に巻かれた時、
曳光弾の下をかいくぐる、すんでのRPGが着弾する、メディックが弾雨の下を走り回っている、
様々なシチュエーションに感動できるようになる。




とはいえこのゲームはまだまだテスト段階だ。
バグ修正や改善点など、課題は多くある。
しかし雰囲気は既に出来上がっており、100人対戦サーバーも立っているし、ポテンシャルを感じる。

ここからさらに乗り物が来れば、戦車と歩兵で歩戦共同作戦などが見れるし、
輸送部隊なども出来上がるのかもしれない。
上記したようにそういった連携部分にこそこのゲームの醍醐味がある。
軍隊ごっこがもっと楽しくなるに違いない。
据付型兵器の設置などがきたら要塞築城にも気合が入る。


完成度を高めていくのはこれからだろう。
既にProject Realityという前身があるので悲観はしていない。

日本人のユーザー評価を見ればSquadは賛否両論であるように見受けられたが、
個人的にはこのゲームの本質は上記したようなモノだと思ってるので、
期待はずれだとは思っていない。
むしろ今後が一層楽しみである。

戦車の歴史(2) ~ 戦間期 ~

2015-12-15 04:37:05 | 軍事ネタ

前回記事 からの続き。
戦車の歴史について、第二弾。


・戦間期

第一次世界大戦中期以降に初めて戦車という兵器が投入され、
大戦終結後は各国ともにこの革新的な兵器の発展に取り組んだかとおもいきや、
実は意外にも戦間期では戦車はあまり発展しなかった。

戦車の先進性に気づいた軍人もいたが、
大部分の政治家や軍上層部は戦車を軽視し続けたのだ。
それは戦車の武装をより強化すべしといった設計開発面においてや、
戦車は集中運用して機甲部隊として運用すべしといった戦術面に関してもだ。

例えば最も工業化が進んでいたアメリカですら1932年になってようやく戦車旅団の編成が許可された程度で、
戦車の大量生産をした上で大規模な機甲部隊の集中運用を主張する者もいたが一向に理解を得られず、
それはヨーロッパ各国であってもほとんど同様であった。

これは軍隊という組織は様々な理由により保守的に硬直しやすい性質があるからだが・・・


以前に機関銃の登場がもたらした衝撃と革新、その歴史について の記事にて、
機関銃という兵器は第一次世界大戦が実際に起こるまで異様に過小評価されていたことを書いたが、
それと同じことが戦車にも起きていた。
大組織ほど保守的になりがちで、実際に事が起きて必要性を迫られなければ
理解されないといったことはいつの時代でもままあるのだ。


しかしその必要性が理解される出来事が起こる。


II号戦車

・スペイン内戦

1936年7月17日から勃発したスペイン内戦は、ソ連が支援した共和国派政府に対して、
ドイツ・イタリアが支援したナショナリスト派が全土で武装蜂起し、
これは共産主義とファシスト陣営の代理戦争とも言える様相を呈したが、
新兵器の実験場ともなった。

両陣営とも新たな航空機や火砲を投入し、その経験を蓄積していったが、
戦車に関する実戦経験値は特に重要なものとなった。
第一次世界大戦時とは戦車の運用法が全く別物に変わったのだ。


当時の戦車はドイツのII号戦車のように、機関砲を主武装としているものが多かった。
これは第一次世界大戦時の戦車の主目標はあくまでも歩兵だったからであり、
歩兵を駆逐するなら大口径砲よりも小口径な機関砲や機関銃の方が都合が良かったからだ。
大戦終結から20年近くを経たこのときでもその実戦経験を引きずっていたので、
基本的に各国の戦車は一次大戦型の設計思想を踏襲していた。

しかしスペイン内戦に投入されたソ連製戦車T-26は45mm砲を主武装とし、
当時としては異例の火力を誇る戦車だった。
これに対抗するドイツのI号戦車は7.92mm機銃、II号戦車は20mm機関砲、
イタリアのL3戦車は8mm機銃が主武装という有様だった。

つまりT-26は遠距離からファシスト陣営の戦車を容易に撃破できたが、
II号戦車は500メートル以下に接近しないとT-26を撃破できないという状況を生んだ。


今後の戦車に搭載する火砲は対戦車能力もより重視しなければならない。
という戦訓を身をもって得られた。
また戦術面でも大きく変わった。

II号戦車はT-26に性能で劣っていたが、多数を集中運用することによって囲んで撃破できることがわかった。
またスツーカなどの急降下爆撃機は砲兵の代わりに、より高速かつ柔軟に戦車を撃破できることもわかった。
これはドイツ軍内に戦車の集中運用と急降下爆撃機を連携させる「電撃戦」の概念を固める下地を作った。

またスペイン内戦は市街戦が多く発生したので、ソ連のT-26といえど
ビルの陰や上で敵歩兵に待ち伏せられては火炎瓶や携行爆弾で容易に撃破されることもわかった。
戦車は歩兵と共同で進まなければならない、これは以降のソ連軍において、
戦車の上に歩兵を乗車させて前線で即座に展開させる「タンクデサント」に繋がった。

つまりスペイン内戦は独ソ両国の第二次世界大戦での戦車運用法に大きな影響を与えた。


そして戦車という兵器の有用性も、戦車による対戦車戦闘能力の必要性も強く認識された。
第一次世界大戦が終結した1918年からほとんど停滞していた戦車という兵器が、
第二次世界大戦で恐竜的進化を遂げる下地を作ったのだ。


続き 戦車の歴史(3) ~ 騎兵の終焉 ~ 


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戦車の歴史(1) ~ 戦車の誕生 ~

2015-12-11 04:18:50 | 軍事ネタ

コメント欄で軍事記事のリクエストが着ていたので、
それならばと個人的にいつか書きたいと思っていたテーマ。
本日は戦車の歴史について


・戦車の誕生

第一次世界大戦を物語る塹壕戦は戦線を膠着させた。
当時新兵器であった機関銃の大量投入により、平地に於いて歩兵は頭を出せなくなり、
銃火を避ける為に塹壕という細長く通路状に掘った溝を陣地として構え、
敵も味方も塹壕線を以て対峙したからである。

このような戦局を打開する為に、砲撃支援や煙幕散布のもと、
騎兵や歩兵による一斉突撃がしばしば行われたが、大抵は失敗に終わるか、
成功したとしても膨大な人的損害が発生してしまうことは避けられないことだった。

もっと確度の高い攻撃の為には新兵器が必要だ。
歩兵や騎兵に機関銃避けの防弾シールドを持たせることも考案されたが、
実際にやってみるとこれは重量増加による運動能力の低下で芳しくなかった。
そんな戦局で求められた新兵器とは、

機関銃弾を物ともしない装甲をもたせた上で機動可能、
特に張り巡らされた鉄条網や塹壕を踏破できるものが望ましい。
つまりそれの第一目的はまず突破能力、役割としては自走できる装甲と言っても良い。
そして敵陣地にとりついた時に敵軍歩兵を蹴散らすことができれば尚良かった。


1916年9月15日 ソンムの戦い、イギリス軍側陣地で"それ"は姿を現した。




マークI戦車

現在の戦車の定義を言えば全周砲塔は欠かせないが、
世界最初の戦車は砲塔を持たずに生まれた。
この戦車に求められた攻撃力というのは、砲撃火力ではなく、
機関銃弾の中を前進し、塹壕を突破し、戦線を押し上げることなのだ。

しかしそれでも歩兵を蹴散らす為に、
車体左右には57mm砲2門と7.7mm軽機3挺を搭載している。

黒煙とエンジン音を上げながら、前線の不整地も塹壕さえも踏破し、
銃弾を弾きながら、車体両面から火を噴いて前進してくる。
この走行する要塞と初めて対峙したドイツ軍将兵の衝撃は想像に余る。

イギリス軍はこの秘密兵器の開発時に秘匿名称として"水タンク"と称しており、
これがそのままタンク=戦車を指す言葉となった。


もっとも実際のところ、ソンムの戦いに於いて戦車は重要な役割を果たせなかった。
初めての実戦投入により故障が多発し、まともに戦えた車両はごく限られていたのだ。
しかしそれでも戦車の重要性は認識され、今後の騎兵を強力に代替するものと思われ、
その後各国で競うように新型戦車を開発・投入していくこととなる。


続き 戦車の歴史(2) ~ 戦間期 ~ 


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