Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

EMT139について(3)

2017-10-08 06:32:59 | EMT
 10月4日は映画「君の名は」では隕石が落ちた日。その日見上げた空

 その日の中秋の名月


 連休に備えてBMW R26にお伺いをたてる。「お出かけしてよろしいでしょうか?」

 『いいよ〜』とのことなのでちょっと近場を乗ってみると前輪とキャブレターの整備でとても乗りやすくスローも安定している。VESPAとTriumph T15はまだ寝ています。

 フラットアンプ部を測定してみると

 出力トランスの前までは両ch共に正常動作のようで左右の偏差はナシ。方形波を入れてトリマーコンデンサを調節してヒゲを少なくした。ところがトランスを通すと左右差が出る。歪率も出力電圧との関係は大幅に異なっている。波形は問題ないのでやはりトランスの規格が異なっている様子でこれは中間にあるゲインボリュームで一致させるしかなさそう。

 「ネコポス」で電解コンデンサーが届きました。小物部品は送料が安くて助かります。早速交換して聴いてみる。

 8μF 475Vで「tube amp doctor」と書いてある。この会社はドイツにあって楽器用のパーツを供給していて扱っている品目は結構多い。中身はどこで作られているかは不明だが「ドイツ製」ということだけで購入した。どのパーツもそうだがとにかく狭いスペースに並べているので代替え品はこのスペースに収まることが第一の条件となる。オリジナルでももう少し容量の大きなコンデンサーが使いたかったのだろうと思う。

 この状態でLPレコードを何枚か聴いてみたがおかしな挙動は現れない。久しぶりにケースに納めます。


 今回もなかなかの難儀でしたがなんとかまとまりました。感想としては
 ・2台あったので比較検討できた。1台だけでは正常動作か否かはわかりづらいのではないか
 ・微小な信号を扱うキカイはやはり難しい。ハム対策、測定など。
 ・パーツの大きさに制限がある。しかし最近のパーツは小型化傾向なのでなんとかなる。しかし見た目は何とかしたいところではある。
 ・コンデンサーにはやっぱり寿命がある。
 ・修復がいい加減だと音味に業務機の個性が薄れる気がする。
 ・ナット回しを使ってネジはしっかり締めよう(?)

 EMT139Bは品格を感じる魅力的な構成の装置だと思います。まずケースが決まってからの回路設計だったのではないかと思うが(全くの妄想)このケースの中に4球、チョークコイルやバリコン設置ではギリギリの大きさだったはず。EMT139stのようなステレオにするには同じ回路2セットはムリで回路構成を根本から変更する必要があったと思うし多分妥協した部分もあったのではないだろうか。改めて聴いてみると彫が深くて思わず「EMTらしい」という表現を使いたくなるようなとても魅力的な音。フォノイコライザーアンプやプリアンプ組み込みのフォノイコは星の数ほどだが業務用の管球式アンプはあまり見当たらない。カートリッジからの微弱信号を扱う場合は個人的にはソリッドステートアンプの方が総合的には優位ではないかと思ってましたが、よくできた設計でしっかりメンテナンスされたものであれば管球式も捨てがたい魅力があると改めて確認した。これはもう一部のマニアの世界で手間はかかるし面倒だが可愛いペットを飼うような気持ちで接したら楽しいかもしれない。


 お読みいただきありがとうございました。


 追記1
  ハンマートーン塗装をしていたEMT155のケースに中身を入れました。

 塗装してから1ヶ月は経過するが厚塗りしすぎてなかなか塗膜が硬化しなかったので様子を見ていた。やっぱり自家塗装は難しい。予算があれば大切なものは専門家に外注した方がよろしいです。私の場合は。

 追記2
  久しぶりにEMT155stを繋いでEMT139b X 2 と聴き比べてみる。

 EMT155stはやっぱりよくできていて安定感や聴いていての安心感はとても感じる。変な例えだがちょっとくらい針先にゴミクズがまとわりついていても平気で再生するような。EMT930stとの組み合わせでは通常の使用はこれで十分という気がする。EMT139との音味の違いはやっぱりあってEMT139の方が深く艶がありバイオリンなど弦楽器に特に差を感じる気がする。ただEMT155stは未メンテなので未だ厳密な比較はできない。今はおかしな挙動がないというレベルの試聴なのかもしれない。