Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Western Electric 49 について(1)

2016-11-23 23:12:34 | Western Electric

 WE49は1928年にPEC(フォト・エレクトリック・セル)用前置アンプとして開発された。使用真空管はWE239Aだが1931年の49Cから264Aに変更になった。またPECが2Aから3Aになって出力が20dB増になるとインターステージトランス246Aを抵抗結合に変えて対応している。また3Aに対応したイコライザーを内蔵したがその後後段へ移設された。その後も改造されながら(6J7なども使われたらしい)長期間生き延びた。これは機械的な構造がとてもユニークで理にかなっていたことと、トランス以外のパーツが平面状に構成されていて改造しやすかったことなどが想像できる。











 

 

 

 数十年間のホコリと我が家のホコリが混ざり合って汚いのなんの。。軽く(?)分解して掃除しながら結線を確認する。回路図の「Ω」は「MΩ」だったりする。


 気になったところはPECからの入力線がかなり傷んでいる。

 フィラメントの電流調整用のレオスタットがバラけていて紐で結んでいる!(結構良いかも)

 真空管はWEでもALTECでもないHYTRON864。これでいいのか??


 最初に書いたように時代によって回路が異なるのと頻繁に改造されているのでまず現在の状態を把握する必要があります。

 ところでWE49が収まるキャビネットがあるのですがキャビネットの底にポールを固定する突起があって自立できない状態




 
 底に大きなゴム足を取り付けてもいいのですが穴は開けたくないし結構重量があるので接着もしたくないのでホームセンターで材料買ってきて木枠を作ってみた。

 建築中の分譲住宅みたい。


 こんな感じです。一応塗装する予定。自立できるようになりました。WE49収めてみる。
 

 WE49に戻ります。パネルを分解してみる。
 
 これで回路を探ると名板は「WE49B」ですがかなり改造があり「E49C」に近い。(赤字が変更された部分)

 入力のPECには電圧が掛かっている。カーボンマイクみたいな構造なのだろうか?とにかくこのままではマズいので初段の抵抗は接地しないといけない。

 電源を用意しなくては、、と色々と考えていました。ヒーター電源12V以外は「WE1086A」から出せばいいのですがちょっと動かすのには不便なのでいろいろ探してみると

 Western Electricの名板がある電源があります。トランスを用いた定電圧電源で「煙がでて壊れた」というものでかなり前に譲ってもらった。名板の裏に回路図が貼り付けてあるのですが

 まったく理解できない回路。1957年製なので60年前のもの。とにかく回路図に沿って調べてみると整流ダイオードは全滅していた。C1コンデンサーも取り替えてダイオードは放熱板が大きいのが付いていてスペースがあるので手持ちのセレン4個でブリッジにして組んでみた。
 

 


 定格は120V 0.8Aで出力電圧は調整できます。この出力を平滑してみることにします。横にあったのはPCの停電時の非常電源の廃棄物を頂いたもの。中にある12Vのバッテリーをとりあえずヒーター電源にします。
 早速取り出したバッテリーを繋いでみると丁度良いくらいの可変域。定電圧電源を25kΩの抵抗を介して接続してみる。入力の抵抗は外しています。

 盛大にハムが乗ります。電源出力に電解コンデンサーを接続するとかなり減る。結構な脈流。
 とにかく音が出て良かった。まだ音質云々の評価は無理な状態。

 簡易A,B電源作って一晩格闘してみたが、やはりノイズを押さえ込むことは難しい。A電源はバッテリーがあるのでヒーターハムからは切り離せるがB電源切ってもノイズが残る。。直接トランスと接続してみるがミノムシ接続なのでそのせいかもしれない。

 出力トランスはWE127Cなのだがこのトランスにはちょっと思い入れがあります。ずいぶん前に入出力を逆にしてアンプの入力に繋いだことがあるのですが音の変化に少なからず驚いた。世間で言われるWEマジックとはこの事かと。以来このトランスにはとても良い印象を持っています。
 
 設定を変えながら休日一日中鳴らしてみる。ソースのノイズも疑ってipodまで繋いでみる。次第に聴きやすくなっていくのは何故?ノイズに人間が慣れて気にならなくなったか?tubeはHytron864からWEとALTEC264Cになっています。この真空管は個体差が大きい(ノイズが多いのがある)という文章を読んだような気がする。特に初段はマイクロフォニックも加わってなかなかデリケートです。普通はシールドケースに収まると思いますがアンプごとケースに収まっての稼働なので成り立ったかと。B電源の電流はドロップの抵抗68kΩの両端が90Vなので90V/68kΩ=1.32mA でやはり極小。整流直後には5kΩ X 4本=20kΩ(と22μF X 5本)入っているので色々とブリーダー抵抗を差し替えてみて25kΩ(電流は3.92mA)にしました。68kΩを外して接続すると90V台となっていて合計約5mAとなります。

 B電源がほぼ決まったのでA電源にかかります。バッテリーに変えて制作したのはACアダプターを分解して取り出したもの。最近はスイッチング電源全盛なので昔ながらのトランスが内蔵されたものはかなり安く入手できる。ジャンク箱には適当な物がなく13.5V 0.6Aというアダプターのジャンクを2個で800円で購入。もちろんスイッチング電源でもいいのでしょうが迷ってこうなりました。分解するとブリッジダイオードと2200μFのコンデンサーです。ダイオード1個ずつにセラミックコンデンサーがパラに接続してあり丁寧な内容。とりあえずプリント基板に配置して空きスペースに手持ちの1000μFを並べました。コンデンサー容量は合計7200μFですがこの状態で接続してもやはりハムが多くとても実用になりません。
 コンデンサーはそのままでチョークコイルを2段入れてみます。チョークは適当なのがなかったので手持ちの小型の電源トランスの2次側を使います。0V〜24V 0.3AのものでLを測ってみると100mH程度あります。

 チョークの出口には各々1000μFを仮接続してみるとほぼ押さえ込むことができました。しかしヒーターに繋ぐところにはコンデンサーを接続したくなかったので自作のチョークを入れています。

 これは適当なトロイダルコアにこれまた解いたエナメル線をガラ巻きしたもので約3mH程度です。2個作りましたが1個あたり2時間程度かかりました。やはり効果はありトゲトゲした感じが少なくなります。チョークはホントは+、ー両方に入れたいのですが。この辺りは妥協しないとエンドレスでいつまでも実験装置のままになってしまいます(経験済み)。
 WE49には1個のメーターとレオスタットがパネルに配置されていて顔になっているがバッテリー駆動だと状況に合わせてヒーター電流を調整する必要があったわけで今回のような実験ではとてもありがたい。WE264Cのヒーターの定格は3V 0.3Aだがあくまでも電流で管理する。ヒーター電流で初段のバイアスが確保される。

 メーターの文字盤は250mAに赤印があるがこれ以下ではダメということだと思う。しかし針が勢いよく振り切ると戻ってこない事がある。そんな時は昔の戦闘機のメーターみたいに爪で弾くと回復する。アナログ感いっぱいだ。
 現在接続しているのはWE1086Bでゲインの設定は最低にしています。WE49BとWE86Bの間にアッテネータは必需で直の接続ではノイズが多くて現実的ではない。スピーカーはランドセル箱に入ったALTEC755E。この状態でしばらく聴き込んでみましたがなかなか好ましく思いました。
 「ゲインの大きなアンプ同士を接続して段間部でアッテネートする」のはWEサウンドの肝(キモ)ということは巷ではよく言われますが(ホントか?)やはり納得する気がする。これを私は勝手に「水道管理論」と言ってます。太い管(くだ)の中に水をちょろちょろと流すのではなく高圧の水をバルブで調節しながら勢いよく吐き出させる。結果的に水量は同じなのですが随分と違って聴こえるのではないかと思っています。(「フィーリング」を「理論」と言ってのけるのがアマチュアの特権)

 基板にユニットごとに配線してケースに配置してみる。ネジ止めしています。

 上2/3がA電源、下1/3がB電源。B電源は1階部分でWE487Cで整流しています。WE487Cは比較的流通しているブリッジダイオードですが一般に低電圧、大電流で使われていますがある広告で「高圧、低電流でも使用可」とあったので使って見た。実験段階では発熱もなく使えています。
 この状態で配線してみます。


 仮配線して早速接続してみる。またいろいろと設定を変えて聴き込んでみます。


 グレッグ・レイクが亡くなりました。キース・エマーソンと共にELP(エブリー・リトル・シングではない)の内2人が鬼籍に入ってしまった。


 「恐怖の頭脳改革」今でも愛聴盤です。アナログレコード、CD、PCと変わりましたがほぼ聴き続けています。また私にとってムソルグスキーの「展覧会の絵」はオーケストラでもピアノ版でもなくELPでした。
 今年はこのブログにも投稿してくれていた大切なオーディオ仲間である「Wさん」もお亡くなりになりました。残念です。

 試行錯誤してた電源ができました。
 
 3Pインレットは初めて使った。廃棄されてた非常電源から移植した。気に入ったのはフューズ内蔵なのとスペアフューズまで入っているところ。
 
 出力は2chとした。各々12Vと90V。
 
 外付けでオイルコンデンサーをB電源に入れるつもりなので別シャーシに組んだ。

 端子はサトーパーツ。はじめて使ったが感電防止カバーのアクリル板が付いてるのはいいのだが不思議なことに90V(とアース)にふれてもビリッとこない。

 フロントパネルはのっぺらぼうなのだがパイロットランプは放熱スリットから覗くと見える。これは真空管的イメージを具現化した(ウソです)。

 限られた大きさのケースにコンデンサーと抵抗を詰め込めるだけ詰め込んだ。B電源は9段階のフィルターとなっている。アマチュアはこういう自己満足的な落とし穴を自ら掘って落ちていく。

 。。やはりWE49BのB電源が気になります。というのが定格は90Vなのですが電圧を上げていくと明らかに明瞭度、勢い、が良くなります。これは電源の質が良く無いのかもしれない。AC140Vをブリッジ整流しているので無負荷で200Vくらいの出力になります。これを多段の平滑回路を通したわけですがやはりチョークと抵抗は違うようです。さてどうするか、、。

 B電源の配線を変更してみました。

 変更点は整流ダイオード直後に抵抗器を入れて突入電流を抑えた。ブリーダー抵抗器(25kΩ)を入れてそれに合わせて(出力90Vになるように)直列に入れていた抵抗器を取り除いた。出力には720μFものコンデンサーがぶらさがることになった。(写真)
 オイルコンデンサーを介して接続すると96Vとなった。これで試聴すると、、まったく冴えません。鈍い音でがっかりです。出力のコンデンサーを半分にしてみても大きな改善は認めない。

 やはり電圧を上げると明瞭度が上がる、、。WE264Cのプレート電圧の上限は100V。オーバーしてしまいます。さてどうするか。。電源以外の要素があるかもしれないので90Vに戻して進めることにします。