第1期JBLのアンプの最後を飾るJBL SA660はJBL SA600の40W+40Wを60W+60Wにして1969年に発表された。JBL SA600との違いはパワーアップ以外でもフロントパネルがシルバーからマットブラックへ、ロゴの変更に伴いパイロットランプの位置の移動。レバーの形状の変更、トーンコントロールが同軸の左右別々に。回路的にはパワーアップに伴うメインアンプ部の電圧の変更、プリアンプ部にトランジスターのリップルフィルターが新設など。
色は異なるがフロントパネルのヘアライン加工はJBL SA600と同じ。ちょっと見では気付かないが電源スイッチ部分は縦、コントロール部は横方向。 アーノルド・ウォルフへのインタビューでヘアラインの方向を変えたのは「向かって左側に電源があることをパネルデザインとして表現したかった」ようなことを言っていたような覚えがあります。(詳細は忘却)このアンプの回路上の最大の特徴は「Tサーキット」。JBL SA660は「T」のラインで電源スイッチ、ヘッドホンジャック、エンブレムを分けている。不思議なことにJBL SA600にはこのラインのうち横方向がない。ディズニーワールドの隠れミッキーロゴではないがアンプのいたるところに「T」が隠れててるように思えてならない。
この個体はメンテの手が入っています。ぐるっと見渡すと、、
まず目につくのがスイッチON時のポップアップノイズを避けるためのリレー増設。スマートに加工されてます。プロの技か?
メインボリュームが変更され延長軸使用。ボリューム軸が短いためだが50kΩ2連でラウドネス端子も出ている貴重品。純正ではないと思うがよく見つけたものだと思う。残念ながらツマミのイモネジの6角穴は死んでいますし延長軸周りの加工に少々難あり(工作された方エラそうにすみません)。
メインアンプ基板の電解コンデンサーはかなり交換されていますがプリアンプ基板はほとんど手付かずのよう
全体的にさほど荒れた様子はないのでメインボリューム周辺の交換は残念な所です。
この個体は数年間常用した後ここ2年位寝ていたものです。久しぶりに火を入れてみる。。普通に鳴ります。ノイズも感じられない。
しばらくJBL SA600を聴いていたので同じ環境で比較をすると、やはり低域の安定感、量感はあるように感じる。高域の分解能がちょっと異なるようにも思うが個体差かもしれない。全域が低域の量感アップで統一されたような、、印象。
当時の比較試聴記事をみてもこの2機種の音の違いはあり、概ねJBL SA600の方が評判は宜しいようで。メインアンプ部の電圧以外はほぼ同じ(全く同じ?)回路と構造だと思ってましたが細かく比較すると(素子なども)異なっているのかもしれません。
メインテナンスはまずボリューム周りから。延長軸は荒くカットされているので面取り。幸いにツマミは外せたが6角部が舐められてるイモネジはマイナスドライバーで回せるように溝を切っておきます。
今回のように舐めたヘキサゴンネジはトルクスレンチを叩き込んで回す方法があるようですが深いネジ穴に入っている場合はむつかしいかもしれない。
改めて分解してみます。
側板を留めてるネジをはずして後ろ方向へスライドさせて
メインアンプは4本のネジで留まってます。JBL SA600の初期は4本とも内部からのアクセスだったが、後期から2本は外部(裏側)を緩めます。
もう2本は内部に
フロントパネルは取り外す必要がないときは横の4本のネジをはずして
プリ基板を留めてるネジを数本はずす。電源からのアースが外れるので要注意。このまま通電するとプリアンプとメインアンプ初段の接地が無くなり支障がでます。
この状態でプリ基板は引っ繰り返せますがすべて露出するためには中央の入出力板をはずします。
こうなります。
メインアンプ基板を外すときはヒートシンクからトランジスターをはずしてビスを抜いて、、今回は割愛。
全体を掃除して終わりにします。もうしばらくこのまま使えそうです。
以前からJBLのアンプには魅かれるものがありました。念願叶って入手できたときは音が出るだけで満足していた。ソリッドステートアンプは恐れ多くてとても自分で整備、修理はムリだと思ってましたが、今回必要に迫られてなんとか一通り完了することができました。いい経験だったと思います。真空管アンプはちょっとくらいのマチガイがあっても決定的に壊れることは少ないがトランジスターは正直に壊れる。そして壊れたら絶版トランジスターの入手は困難、、、と言われています。今回はインターネットを活用して新旧トランジスターを入手することができました。周辺パーツも拘らなければほとんどタダに近い価格。半導体工作が趣味な方にはまさに天国な状況かと。真空管を取り巻く環境とあまりにも違うことに驚かされました。
JBLアンプをお持ちでトラブルなどの修理でお困りの方、情報交換いたしませんか?
お読みいただきありがとうございました。
後日談1
入力のRCAジャックの接触不良の対策についての質問がありました。また私自身でも使用中にこの症状が確認された。少しコードをゆすったりしても雑音や途切れが生じるというもの。(久しぶりに)早速分解してみる
ジャックは共通のアースを兼ねるアルミニウム金具にかしめられて取り付けられている。芯線はその下のプリント基板の回路に直接半田付けされる。コードの負荷がかかるので結構トラブルが出やすい構造のようだが導通を確認するとアース、信号共に接触不良は生じていない。ではなぜ問題が出るのかだが、私の場合は単にジャック表層の劣化によるものと思われた。
テスター棒を押し当てても導通しないほど進んでいる。サビというよりこな吹き状態で酸化皮膜を削ぎ落としてみましょう。
カッターの刃やサンドペーパー、コンパウンドを付けたプラグでグリグリ、、などいろいろ格闘すること2時間でこうなった。幸いなことにこれでトラブルは消失してくれた。また静寂感が増した気がする。しかしメッキが用をなさない状態なので錆対策が必要で接点オイルでも買ってこようかと思う。
また今回は大丈夫だったがもしかしめ部分が原因の接触不良の場合はどうするか。一大決心してジャックを取り替えなくてはいけないかもしれない。またはプラグが当たらないところにジャックに直接アース線を接続できないだろうか、、とも思っています。
後日談2
トレブルを一杯に上げてメインボリュームを回すと発振することに気づいた。発振といっても可聴域外でこの現象はSA600などでも発生したことがある。発振対策をオシロスコープで観察しながら行う。効果的だったのはプリの出力にシリーズに抵抗器を入れることで左右chとも10k程度で安定した。
色は異なるがフロントパネルのヘアライン加工はJBL SA600と同じ。ちょっと見では気付かないが電源スイッチ部分は縦、コントロール部は横方向。 アーノルド・ウォルフへのインタビューでヘアラインの方向を変えたのは「向かって左側に電源があることをパネルデザインとして表現したかった」ようなことを言っていたような覚えがあります。(詳細は忘却)このアンプの回路上の最大の特徴は「Tサーキット」。JBL SA660は「T」のラインで電源スイッチ、ヘッドホンジャック、エンブレムを分けている。不思議なことにJBL SA600にはこのラインのうち横方向がない。ディズニーワールドの隠れミッキーロゴではないがアンプのいたるところに「T」が隠れててるように思えてならない。
この個体はメンテの手が入っています。ぐるっと見渡すと、、
まず目につくのがスイッチON時のポップアップノイズを避けるためのリレー増設。スマートに加工されてます。プロの技か?
メインボリュームが変更され延長軸使用。ボリューム軸が短いためだが50kΩ2連でラウドネス端子も出ている貴重品。純正ではないと思うがよく見つけたものだと思う。残念ながらツマミのイモネジの6角穴は死んでいますし延長軸周りの加工に少々難あり(工作された方エラそうにすみません)。
メインアンプ基板の電解コンデンサーはかなり交換されていますがプリアンプ基板はほとんど手付かずのよう
全体的にさほど荒れた様子はないのでメインボリューム周辺の交換は残念な所です。
この個体は数年間常用した後ここ2年位寝ていたものです。久しぶりに火を入れてみる。。普通に鳴ります。ノイズも感じられない。
しばらくJBL SA600を聴いていたので同じ環境で比較をすると、やはり低域の安定感、量感はあるように感じる。高域の分解能がちょっと異なるようにも思うが個体差かもしれない。全域が低域の量感アップで統一されたような、、印象。
当時の比較試聴記事をみてもこの2機種の音の違いはあり、概ねJBL SA600の方が評判は宜しいようで。メインアンプ部の電圧以外はほぼ同じ(全く同じ?)回路と構造だと思ってましたが細かく比較すると(素子なども)異なっているのかもしれません。
メインテナンスはまずボリューム周りから。延長軸は荒くカットされているので面取り。幸いにツマミは外せたが6角部が舐められてるイモネジはマイナスドライバーで回せるように溝を切っておきます。
今回のように舐めたヘキサゴンネジはトルクスレンチを叩き込んで回す方法があるようですが深いネジ穴に入っている場合はむつかしいかもしれない。
改めて分解してみます。
側板を留めてるネジをはずして後ろ方向へスライドさせて
メインアンプは4本のネジで留まってます。JBL SA600の初期は4本とも内部からのアクセスだったが、後期から2本は外部(裏側)を緩めます。
もう2本は内部に
フロントパネルは取り外す必要がないときは横の4本のネジをはずして
プリ基板を留めてるネジを数本はずす。電源からのアースが外れるので要注意。このまま通電するとプリアンプとメインアンプ初段の接地が無くなり支障がでます。
この状態でプリ基板は引っ繰り返せますがすべて露出するためには中央の入出力板をはずします。
こうなります。
メインアンプ基板を外すときはヒートシンクからトランジスターをはずしてビスを抜いて、、今回は割愛。
全体を掃除して終わりにします。もうしばらくこのまま使えそうです。
以前からJBLのアンプには魅かれるものがありました。念願叶って入手できたときは音が出るだけで満足していた。ソリッドステートアンプは恐れ多くてとても自分で整備、修理はムリだと思ってましたが、今回必要に迫られてなんとか一通り完了することができました。いい経験だったと思います。真空管アンプはちょっとくらいのマチガイがあっても決定的に壊れることは少ないがトランジスターは正直に壊れる。そして壊れたら絶版トランジスターの入手は困難、、、と言われています。今回はインターネットを活用して新旧トランジスターを入手することができました。周辺パーツも拘らなければほとんどタダに近い価格。半導体工作が趣味な方にはまさに天国な状況かと。真空管を取り巻く環境とあまりにも違うことに驚かされました。
JBLアンプをお持ちでトラブルなどの修理でお困りの方、情報交換いたしませんか?
お読みいただきありがとうございました。
後日談1
入力のRCAジャックの接触不良の対策についての質問がありました。また私自身でも使用中にこの症状が確認された。少しコードをゆすったりしても雑音や途切れが生じるというもの。(久しぶりに)早速分解してみる
ジャックは共通のアースを兼ねるアルミニウム金具にかしめられて取り付けられている。芯線はその下のプリント基板の回路に直接半田付けされる。コードの負荷がかかるので結構トラブルが出やすい構造のようだが導通を確認するとアース、信号共に接触不良は生じていない。ではなぜ問題が出るのかだが、私の場合は単にジャック表層の劣化によるものと思われた。
テスター棒を押し当てても導通しないほど進んでいる。サビというよりこな吹き状態で酸化皮膜を削ぎ落としてみましょう。
カッターの刃やサンドペーパー、コンパウンドを付けたプラグでグリグリ、、などいろいろ格闘すること2時間でこうなった。幸いなことにこれでトラブルは消失してくれた。また静寂感が増した気がする。しかしメッキが用をなさない状態なので錆対策が必要で接点オイルでも買ってこようかと思う。
また今回は大丈夫だったがもしかしめ部分が原因の接触不良の場合はどうするか。一大決心してジャックを取り替えなくてはいけないかもしれない。またはプラグが当たらないところにジャックに直接アース線を接続できないだろうか、、とも思っています。
後日談2
トレブルを一杯に上げてメインボリュームを回すと発振することに気づいた。発振といっても可聴域外でこの現象はSA600などでも発生したことがある。発振対策をオシロスコープで観察しながら行う。効果的だったのはプリの出力にシリーズに抵抗器を入れることで左右chとも10k程度で安定した。