to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

キリングゲーム

2014-01-18 21:09:48 | the cinema (カ行)

原題 KILLING SEASON
製作年度 2013年
上映時間 85分
脚本エヴァン・ドーハティ
監督マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演 ジョン・トラヴォルタ/ロバート・デ・ニーロ/マイロ・ヴィンティミリア/エリザベス・オリン
アメリカ北東部からカナダへと大自然が広がる、アパラチア山脈。そこに山小屋を構え、一人暮らしをしている元アメリカ軍人のベンジャミン(ロバート・デ・ニーロ)。そんな彼の前にセルビア人の元兵士コヴァチ(ジョン・トラヴォルタ)が現れ、一緒に狩りを楽しむことに。しかし、山へと足を踏み入れるや、コヴァチはベンジャミンに向けて矢を放つ。混乱しながらも、軍隊と山での生活で得た経験と技術を生かして応戦するベンジャミンだが、この人間狩りにはボスニア紛争で起きたある事件が深く関わっていた。

ある程度は、弓矢だし、銃で狙い澄ませて一発で仕留めるという具合に行かないのは覚悟してましたが
コレがやっぱり痛いシーンが見どころなのか(苦笑)これから鑑賞を予定されてる方、
ココロしてどうぞ

いまだ戦争を終わらせていない男コヴァチ。
戦争の記憶を封印し、家族をも遠ざけて孤独に生きる男ベンジャミン。
凄惨な戦争の記憶を引き摺りながら18年後、元兵士と元軍人が繰り広げる"狩り"!

戦争の記憶から逃れ、世間から逃れて隠れるように生きてきたベンジャミンに
追い詰めながらもコヴァチのお喋りは止まらない
果たして本当に、復讐がしたかったのか?死に場所を求めていたのか?
刺青を消さなかった本当の理由も、きっとそこにある。
本当に、獲物はベンジャミンだったのか?!――



戦場は人を狂気に陥れ、時に猟奇性を身に植えつけて、そして―
「戦争」は終結しても、多くのかつての兵士たちは今なお
それは取り出せない古い銃弾のようにいつまでも脳を軋ませるのかも・・・と、
そう思いながら観ていましたが、
やっぱり背景にボスニア紛争を持ってきても、どこかリアリティーに欠けた感は否めないストーリーで、

―今は普通に見える街が、18年前には真っ赤に染まっていて、今でも自分にはそうみえる・・―
これはスッと心に入ってきましたが、
そう言ったコヴァチが、どういう経緯でサソリに入ったのか?
家族を失った怒りの矛先が向かう場所がちがうのではないか?
トラヴォルタ演じるコヴァチの18年前の描写がもう少し欲しかったところ。
そして、コヴァチのターゲットが都会に住んでなくてヨカッタ!でした。

危険な関係

2014-01-15 20:46:12 | the cinema (カ行)

愛を弄んで、運命に弄ばれる。
製作年度 2012年
原題 危險關係/DANGEROUS LIAISONS
原作 ピエール・コデルロス・ド・ラクロ
製作国・地域 中国
上映時間 110分
脚本 ゲリン・ヤン
監督 ホ・ジノ
出演 チャン・ツィイー/チャン・ドンゴン/セシリア・チャン/リサ・ルー/ショーン・ドウ

これまでに何度も映像化されてきたピエール・コデルロス・ド・ラクロの古典を、舞台を18世紀のパリから1930年代の上海に移した、ホ・ジノ監督が描くラブ・サスペンス
「危険な関係」は、フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロが発表した小説で、18世紀後半のフランス貴族の社交界を舞台に、プレイボーイの子爵と策略家の侯爵夫人が貞淑な人妻を恋愛ゲームに巻き込んでいく模様を、書簡形式で綴った文芸小説。
1931年、女性実業家として成功したジユ(セシリア・チャン)。恋人が小娘との婚約を発表し、プライドを傷つけられる。そこで友人イーファン(チャン・ドンゴン)に残酷な復讐を依頼した彼女に、彼は純潔な寡婦フェンユー(チャン・ツィイー)との情事を成し遂げる賭けを提案するが……。

富豪たちが享楽的な生活を謳歌していた魔都上海で巻き起こる危うい恋のゲーム。
彼女の心の奥に渦巻くものは、果たして本当に復讐なのか?
彼の欲しいものはゲームの勝利なのか?
という、
ストーリーは珍しくはないけど、美しく残忍な恋の駆け引き、キャストで楽しめました。

聖女のような高潔さと知的な美しさに溢れた未亡人=チャン・ツィイー
策略家で妖艶な悪女=セシリア・チャンのコントラストが余りにもクッキリで気持ちがイイ。
放蕩生活を送るプレイボーイのチャン・ドンゴン、髭を付けただけで素敵なドン・ファン(笑)
この3人が揃いも揃って、なかなかそのホンネをチラともみせないで終盤まで持って行くのです
これはこの3人それぞれに演じ甲斐のある役だったと思わせます。


ゲームに勝つために、二人を支えていたものはプライドか?支配欲か?

ゲームに執着し嵌っていくふたりが、何でも簡単に手に入れられる富裕層にいながら、
本当に欲しいものを手に入れる事が出来ないのはナゼか・・・

序盤は正直退屈ですが、この美しく退廃的ムードを纏った3人の真実を追っていく時、
キャストの魅力的な演技もあって、途中からは飽きませんでした。


それにしても″カサノバ″もどきのプロローグのチャン・ドンゴンですが、
直ぐに思い浮かんだのがクラーク・ゲーブルでしたが、途中から、
うつむき加減で口をすぼめて微笑む彼はオダギリ・ジョーに見えて仕方なかった!
女性も美しいけど、男性もね(笑)

危険なカンケイ

2013-12-31 20:05:46 | the cinema (カ行)

原案 酒井直行
脚本 江頭美智留 李正姫
監督 金子修介
音楽 中村由利子
主題歌 AAA「Eighth Wonder」
出演 深田恭子/福士誠治/香椎由宇/白羽ゆり/野間口徹/鹿賀丈史/西岡徳馬/団時朗/吉沢悠
嘘と秘密が引き寄せる。
「神島商事」で働く地味で目立たないOLの楓(深田恭子)。そんな彼女の前に現れたのは、中途入社してきた謎多きエリート社員・修司(福士誠治)。多くの女子社員が羨望の眼差しを向ける中、楓は修司に違和感を感じる。
そんな折、修司の上司であり、「あおば銀行」頭取の息子でもある松永(吉沢悠)と「神島商事」社長令嬢・有紗(香椎由宇)の婚約披露パーティーが盛大に開かれる。しかし、この婚約は政略結婚で、大企業同士のある思惑が隠されていた・・・。


BeeTV 10分間ドラマということで、お話はサクサクと進み観やすかったし、
企業スパイか?公安か?という謎も後半まで持ちこたえて、
コレは配信スタート時は毎週が楽しみだったことと思います

序盤のパーティーで登場する楓のスパイグッズ
暗視装置付きメガネとか懐中時計がお洒落だった~
この時の音楽もさり気なく007だったし(笑)
オフィスで盗聴する時の小物がキャンディケースに付いてるのも可愛かった

ネズミを捕るはずの猫である修司が、何度となく楓を救うのはなぜか?
これも最後まで解らなくて面白かった

それにしても婚約者(吉沢悠クン)をコケにしておいて楓にびんたのご令嬢(笑)迫力でした
香椎由宇ちゃん、こんな役、凄く嵌ってるし、
イヤミなプレイボーイの婚約者、悠クンと楓のシーンはなんかハコイリムスメ!の、
記憶を無くした徹郎と灯(恭子ちゃん)のシーンを思い出しちゃったわ


恭子ちゃんは「イマジン」以来の江頭美智留さん脚本でしたが、
スパイに大企業のご令嬢に200億のダイヤと(笑)とことん非日常の中で描かれるロマンス
120分だということですが、観始めるとあっという間で、軽く楽しめる作品でした

         楓が貰った子猫がオニ可愛い~~
   
そうそう、クリスマスに悠クンの出演した「ディロン~クリスマスの約束」の再放送を観ました。
今回もこみあげてくるあのシーンに泣けました
7年も前のドラマを再放送してくれるなんて、そこがNHKのいいところですね
悠クン、次回はテレ朝のスペシャル番組♪
東海大学ソーラーカーチームに密着したドキュメントですね。もちろん観ます!
1月19日(日)テレ朝 PM2:00~
挑戦!オーストラリア縦断300キロ 世界最高峰ソーラーカーレース完全密着ドキュメント

今回の恭子ちゃんの相手役・福士君は、前にも書いたと思いますが声がイイ
彼の次回出演作、2月公開の「東京難民」に出演ですね。これは観たいと思っています。

で・・・恭子ちゃんの作品としては3月の「しゅららぼん」なのだけど、、
主演ふたりがPR頑張っちゃうのかな~?
大人の事情もアルかも知れないけど、試写会の舞台挨拶も登壇しないみたいだし、
少しは恭子ちゃんにも、事前PRのテレビ番組に出て欲しいなあ~

鑑定士と顔のない依頼人

2013-12-28 22:32:00 | the cinema (カ行)

原題 LA MIGLIORE OFFERTA/THE BEST OFFER
製作年度 2013年
製作国・地域 イタリア
上映時間 131分
脚本:監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 ジェフリー・ラッシュ/シルヴィア・フークス/ジム・スタージェス/ドナルド・サザーランド/フィリップ・ジャクソン/ダーモット・クロウリー

『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督と音楽はエンニオ・モリコーネ。
天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が遺した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレア(シルヴィア・フークス)は決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は……。

一流の美術鑑定士にして、カリスマ的オークショニアのヴァージル・オールドマンは、極端に人間嫌いで
いつも手袋とハンカチが欠かせないほどの潔癖症。
ゲイでもないのに一度も女性と付き合ったことすらない彼の密かな楽しみは、
彼に画家としての才能を認めてもらえなかったビリーを相棒に、不正に手に入れた女性の肖像を描いた名画の数々。
それを隠し部屋で眺めては悦に入るヴァージルの平穏が、
ある強引な鑑定依頼によって少しずつ乱されていくミステリー。


前半のカリスマオークショニアの日常の、テンポが良くて丁寧なヴァージルウォッチングの中に
中盤からの謎を解くカギが潜んでいるため、
結構ある程度の予測がつく展開に結末ですが、主人公には気の毒だけど楽しめました
偏屈な美術鑑定士に訪れる出来事は、美術品の真贋を見抜く能力とは関係がなかった(苦笑)

傲慢で偏屈な鑑定士。ジェフリー・ラッシュはまり役!
画家として認められずオークションのサクラに甘んじている相棒役のドナルド・サザーランドが味わい深い。
そして、今年は結構観たジム・スタージェスくんが思いの外登場シーンが多かったわ
ただ、ミステリアスなヒロイン…、私的に何かが物足りなかった

ヒューゴの不思議な発明」や「リベリオン」が過ぎったり、
「スティング」を思い出したりしながら結構楽しめました。が、
これは男性の方がお好きな作品かも知れないと思いました


凶悪

2013-10-23 00:57:13 | the cinema (カ行)

知るべき闇は、
真実の先にある。

製作年度 2013年
上映時間 128分  映倫 R15+
原作 新潮45編集部編
監督 白石和彌
出演 山田孝之/ピエール瀧/リリー・フランキー/池脇千鶴/小林且弥/斉藤悠/白川和子/吉村実子

モデルとなったのは実在の殺人事件。その真相を暴くとともに、社会に巣食う問題を炙り出していく。
ある日、ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男(リリー・フランキー)の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め……。

モデルとなった実際の事件がどんなものであったのか、調べることなく観に行きました。
で、、
終盤になってようやく思い出した有様でした

スクープ雑誌「明潮24」の記者藤井修一(山田孝之)は社に届いた
東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤の手紙を渡され、面会に行き話を聞いてくるよう上司から命じられる。
そして、、いつしか藤井は、須藤のあやふやな記憶を呼び起こし、裏付けに奔走し―

この事件に取り込まれていくことになる。。。

冒頭、死刑囚・須藤のいかにも残虐な暴力団的殺人に始まり、
次いで宇都宮のマンションにおける凄惨な現場での須藤のキレっぷりに慄き、
この2件の殺人事件で、須藤は死刑判決を受けるも、上告をする。
そんな時に、スクープ雑誌「明潮24」に、誰も知らない、闇に葬られた事件があると、
自分の余罪を告白するとともに、全ての事件の首謀者である「先生」の罪を告発する衝撃的な手紙が届く。

須藤の感情にまかせた殺人は露呈し、すぐさま事件となるが、
この「先生」主導の殺人は事件にもならず、世間に正体を知られることなく
「仲間」であったはずの須藤が死刑になるも、のうのうと普通に暮らしているらしい。
藤井はその闇に包まれた真実を検証しつつ「先生」を追う。

この作品に描かれる、闇の中の殺人は、ナゼ事件にならなかったのか?!
そこが一番恐ろしい

暴力団の酷薄さは、判りやすい。
しかし、普通の人の中に生まれる凶悪な思考。それがどれだけ厄介で恐ろしいか、
ひとの命を差し出す普通の人。それを「先生」はどのように「実行」したのか。
目を背けたくなる残虐な手口を手加減もなく描写していくのです。―

須藤vs「先生」よりも、突き刺さる藤井vs「先生」。

恐らくは藤井の家庭環境などは創作部分だと思うけれど、
普通の人に忍び込む凶悪の種をみせられ、なんとも暗澹たる気持ちにさせられる。
悪人とは云えない普通の人も、疲れ果ててしまえば、、楽になるために人に押し付けて逃げるか、
或いは留まりたければその「疲れの原因」を排除しようとするのかも.......

死刑囚、ジャーナリスト、告発された主犯の死の錬金術師。
それぞれが対峙し、事件とともに変化していく3人のキャストの演技も凄いけれど、
脇でじわじわと変化を遂げる女優陣も素晴らしい。

とはいえ、誰にでも薦められるものではないけれど、
つい10数年前に日本で現実にあった怖ろしい物語。
リアル凶悪のコトの発端と顛末。。。興味のある方は、心してどうぞ。

クロニクル

2013-09-28 08:26:21 | the cinema (カ行)

原題 CHRONICLE
製作年度 2012年
上映時間 84分 映倫 PG12
脚本マックス・ランディス
監督ジョシュ・トランク
出演 デイン・デハーン/アレックス・ラッセル/マイケル・B・ジョーダン/マイケル・ケリー/アシュリー・ヒンショウ

新人監督による低予算映画にもかかわらず、予測不能の展開と思春期の若者のリアルな心理描写が評判を呼び、全米初登場1位のサプライズ・ヒットを記録して
センセーションを巻き起こしたSF青春サスペンス・アクション。
いつも持ち歩いている中古のビデオカメラだけが心の友という孤独な高校生アンドリュー。
ある日パーティ会場で居場所を見つけられない彼は、見かねたいとこの同級生マットとその親友スティーブに誘われ、近くの洞窟探検に向かう。そこで不思議な物体に触れた3人は、知らぬ間に念じるだけで物を動かせる超能力を身につけていた。最初はその力を他愛もないイタズラに使って満足していた3人だったが…。


これは所謂ファウンド・フッテージスタイルと呼ばれる、「埋もれていた映像」という設定のSFアクション。
なので、ほぼ、登場人物の誰かの手によるカメラ撮影で物語は進んでいきます。
ある時から超能力の技を使って「撮らせる」ハンディではなくなるのだけど、コレも新鮮な手法。
本当はハンディカメラの映像は苦手なのですが、コチラは殆ど気にならないばかりか、
SFなのにまるでドキュメンタリーのような錯覚を起こさせる効果があり、臨場感がありました!

どうせ高校生の「ジャンパー」版だろうぐらいに思って観に行ったら
いい意味で予想は大外れでした!
かなり引き込まれ、感情を揺さぶられる作品でした


本作の主人公・アンドリューは、重篤な病気で寝たきりの母親と、アル中で暴力的な父親と暮らし、
学校でも居場所はなく、、そんな生活の全てをカメラに記録していこうとする。

そんな彼を従弟のインテリ高校生マットと、彼の親友でアメフト部のスター選手・スティーヴが
パーティの夜、洞窟探検に誘い、彼らは大きな秘密を共有しあう親友になるのだが、、、

同じ条件で、同じ力を手に入れたはずの3人が、
同じようには進めない…―
どんなスーパーカーでも、ドライバーによっては走る凶器となるように、
彼らに宿ったチカラもまた、未熟で不安定な高校生ゆえに制御できず―…

スーパーマンになろうとか、スパイダーマンになろうとか思いもしない。
ただ秘密の力を持った、幸せな仲間でいられたら、
まだ、あの時も、あの時でさえ、引き返せたのに。。。と、
クライマックスでは彼らとともに泣いていました、、、。
そして、ラストもいいんです。泣かせます

3人の若手俳優の演技はかなりいいです!
デイン・デハーンくんは、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」でも書きましたが、
本当に10代の頃のレオに似ているのですよね~。これからも注目していきたいです。

「本作は誰でも1,000円で鑑賞できる“オトクロニクル”キャンペーンを実施。」だそうで、
老若男女を問わず、どなたでも一律1000円で鑑賞できます。お時間があれば、ぜひ映画館で

SFですが、痛々しい青春ストーリーでもあります。

奇跡のリンゴ

2013-06-08 23:45:33 | the cinema (カ行)

それは、
妻への愛でした。

上映時間 129分
原作 石川拓治
脚本 監督 中村義洋
音楽 久石譲
出演 阿部サダヲ/菅野美穂/池内博之/笹野高史/伊武雅刀/畠山紬/原田美枝子/山崎努

石川拓治原作のノンフィクションを基に、夢物語だといわれていたリンゴの無農薬栽培を成し遂げた農家の苦難の道のりを映し出す。
1975年、秋則(阿部サダヲ)は青森県弘前市で妻の美栄子(菅野美穂)と共にリンゴを栽培していた。彼は、年に十数回にわたり散布する農薬が原因で皮膚に異常をきたしてしまい、寝込むこともある妻の体を心配して無農薬でリンゴを育てることを心に誓う。だが、農薬を使わないリンゴ栽培はその当時「神の領域」ともいわれ、実現するのは絶対無理だと思われており……。

先日の「種まく旅人~みのりの茶~」は、九州発無農薬のお茶でしたが、
コチラは青森を舞台にした無農薬リンゴの栽培に取り組んだ、家族のお話。
ノルウェー暮らし・イン・原宿」のまだ~むに背中を押して貰えたので観てきました♪
コミカルな語り口ながら、心揺さぶられる素敵な作品でした~

まだ青森でご健在の、リンゴ農家・木村秋則さんの、11年に及ぶ苦難の道程―。
それは、、、
ぜひ、劇場でご覧になって戴きたいです。 
                                    

一口に無農薬栽培といっても、特に私たち日本人の消費者って、ウルサイですよね~。
味にも、見てくれにも。スーパーにキチンと並んだ野菜を見ていつも思います。
殊にデリケートなりんごは、まず無農薬ではあり得ない、農家泣かせの果物
しかし、シンプルに妻への想いから、周囲の反対を押し切って奇跡のリンゴに挑むのですが…―

前向きで明るく、、照らすヒトだった秋則は、いつしか家族に照らされていたのでしょう。。
自然と共に生きる農家にとって、花を咲かせられない年は、まず年収はゼロになる。
ゼロを何年も繰り返す秋則の挑戦は、ガマンを強いられる家族よりも、周囲の人の風当たりの方が強く、
バカと言われるよりも彼を打ちのめす「カマド消し」という言葉

人間、ドツボに嵌ると思考は繰り返し、、秋則もまた追い詰められて「何がいけないのか
悪いトコ探しをし続けます。
そんな絶望の中で、分け入った森の中で彼は新たな「何で?」に出会う。「何がいいの?
引き算を続けた挙句の、足し算への道
お岩木山は、彼の問いかけに答えてくれたんですね........

主要キャストもみんな自然体でいいのですが、
久しぶりにアツくて温かい池内クンをみれたことと、
山崎努さんの親父が、超~~素敵でした
        ・・・この家族愛にカンパイ・・・        

この愛のために撃て

2013-06-05 12:56:51 | the cinema (カ行)

決して君を不幸にはしない。

妻を誘拐された男の“極限の愛”がパリの街を疾走する。
息もつかせぬニュー・フレンチ・ノワール誕生!

原題 A BOUT PORTANT
製作年度 2010年
製作国・地域 フランス
上映時間 85分
監督 フレッド・カヴァイエ
音楽 クラウス・バデルト
出演 ジル・ルルーシュ/エレナ・アナヤ/ロシュディ・ゼム/ジェラール・ランヴァン/ミレーユ・ペリ/エクレール・ペロ
看護助手のサミュエル(ジル・ルルーシュ)はある日出産間近の妻を何者かに誘拐され、彼が勤める病院から警察の監視下にある男を連れ出すよう要求される。その男とはある重要事件の容疑者サルテ(ロシュディ・ゼム)で、訳も分からぬまま犯人の要求に従うサミュエルは、やがて警察からも追われる身に。孤立無援の状況下、妻を救うため彼は必死の思いで奔走する。

コチラは公開当時評判が良かった作品、一昨年夏公開のフランス映画。
BSで字幕放送したものを録画視聴しました。
巻き込まれ型のサスペンスアクションものでしたが、
最初のシーンから僅かに2日ほどの戦いを、息もつかせず展開していく1時間半

冒頭、とある事件現場から逃走する一人の男は、既に深手を負っていたが、
2人組に追われる途中でバイクに撥ねられ、救急病院に搬送され一命を取り止める。
そこで看護助手をしていたのが、出産間近の妻ナディアとの満ち足りた生活を送るサミュエル。
この、ただの看護助手が事件に巻き込まれ、見えない悪との戦いを強いられる。


携帯電話の登場から、ある意味犯罪のスタイルは直接的になり恐ろしく、
追う側も、通信網の発達から追跡しやすく、
迷路のようなパリの地下鉄の追跡シーンでは、まだ記憶に新しいニノの「プラチナデータ」を思い起こさせ、
人間の開発した優れた技術も、敵の手に渡れば恐ろしい武器となるコトも震え上がらせる。

また、測らずも敵の正体に直面するシーンでは、
藁の楯」のSP銘苅が最も厄介で怖れた「訓練を受けたもの」という言葉が甦り、
恐怖と共にとるべき道を模索し、観客も傍観者でいられない、、、

悪と戦う男の姿は、裏を返せば愛の為に命を賭ける男の姿。
ふたりの男が疾走する1時間半、飽きさせません。

ひとりごと・・・
私が、生きる肌」の1年前のエレナ・アナヤ、今回も身体張ってます(笑)
あれだけ冷酷に人を殺し警官まで殺したにしては、16年の刑とは軽過ぎないか?
しかも模範囚で7年で出所だなんて、フランスって、日本以上に刑が軽い?

きっと、うまくいく

2013-05-19 14:30:15 | the cinema (カ行)

製作年度 2009年
別題 3バカに乾杯! 原題 3 IDIOTS
製作国・地域 インド
上映時間 170分
監督 ラージクマール・ヒラニ
出演 アーミル・カーン/カリーナ・カプール/R・マドハヴァン/シャルマン・ジョーシー

ハリウッドを凌ぎ世界一の製作本数&観客動員数を誇る映画大国インドで、歴代興行収入ナンバーワンの偉業を達成。
真の友情や幸せな生き方や競争社会への風刺を描いたヒューマン・ストーリー
行方不明だったランチョー(アーミル・カーン)が街に戻ってくると聞き、ファルハーン(マドハヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョシ)は母校に向かう。10年前、三人は名門大学の学生だった。真っすぐなランチョーは異議があれば学長にすら物申し、好きなことに打ち込んでいた。しかし、ランチョーと学長の娘・ピア(カリーナー・カプール)が接近したことから、3人は卒業目前で退学を言い渡されてしまう。
馴染みのないインド映画、しかも3時間近い長尺ということで、付き合ってくれというのも気が引けて
公開初日のお昼の上映、一人で行ってきました。
でも、これが凄く面白かった
学園モノなんだけれど、いろんなものが詰め込まれていて、170分という長さになっちゃいましたが、
時間があれば是非是非、映画館で

物語は超難関の名門工科大ICE卒業以来、行方不明だったランチョーを捜す現在と、
彼ら3人の10年前の、苦難の学園生活が同時に語られていき、
確かに長いと感じる瞬間はあったけど、興味は削がれることはなく
しっぽまで餡子のギッシリ詰まったたい焼きのように、最後まで美味しい

それぞれに家庭の事情を抱えた3人の出会いから、強権的な学長との確執
それにより強まっていく友情恋!濃いですよ~(笑)しかも
理系というだけあって男だらけ。しかももれなく濃ゆい(爆)

よい子は真似しちゃイケマセン的な、おバカな悪戯もたくさんですが、
イタズラも盗みも、ランチョーの愛が底にあります。
是非気のあった友人や家族と、劇場で見知らぬ人達と思いを同じくし、
アツく涙を滲ませ、思い切り笑っちゃって下さーい
もしも私のように一人ぼっちの鑑賞になったとしても、そこは全く心配ない、笑えます


撮影時44歳だった主演のアーミルは、この役に興味を持って名乗りを挙げて
実際体を絞って撮影までに24歳にみえるぐらいの変貌を遂げてきたというから凄い
それも、うまーくいーく  AAL IZZ WELL

監督自身が、大学受験勉強中の高校時代に受けたストレスを、いつか作品にしたい想いがあったというのが、この作品のきっかけだとか。
学歴競争が過熱し、真の幸せに生きる為の教育とは?の問いかけが
3人の往く手に委ねられています。

インドで記録的ヒットを飛ばしたのにも拘らず、日本では今頃の一般公開ですが
しかし、「世界中でリメイクが決定した」なんて、、、
まあ、それぞれのお国柄を出そうという事なのでしょうが、柳の下のドジョウ、正直要らないわ。

長いからDVDと決めて劇場鑑賞を逃すのは実に勿体無い、
私的には今年上半期のダントツ上位にきた作品~

きいろいゾウ

2013-02-20 16:11:11 | the cinema (カ行)

製作年度 2012年
上映時間 131分
原作 西加奈子
脚本 黒沢久子/片岡翔
監督 廣木隆一
出演 宮崎あおい/向井理/濱田龍臣/浅見姫香/本田望結/緒川たまき/リリー・フランキー/松原智恵子/柄本明/大杉漣
幼い頃に入院生活を送っていたツマは、絵本『きいろいゾウ』が大好きで木々や動物たちの声が聞こえる女の子。一方のムコは、背中に大きな鳥のタトゥーを入れた売れない小説家。2人は満月の夜に出会い、すぐに結婚する。のどかな里山でゆったりとした田舎生活を送るムコとツマ。そんなある日、ムコ宛に差出人のない1通の手紙が届いたことから、2人の平穏な日常が崩れ始めていく。

Yahoo!レビューの極端な1つか、5つの高評価か、
それが解る作品でしたね~。
好き嫌いがハッキリ2分される内容であったという事が総てだったと思います。
高評価の方は原作ファンの方が多いのかも知れないという気がしましたので、
興味があれば先に原作をご覧になるといいかも知れません。

とはいえ、内容が理解できないほど難解とかってわけではなく、
この設定、このストーリーが自分に合うかどうかというところで。

月に囚われているツマと、初対面でプロポーズするムコは過去に囚われていて、
「きいろいゾウ」と[鳥のタトゥー]をモチーフに語られる
夢見がちなツマと、秘密を抱えたまま結婚してしまったムコの成長の物語。


"痛みを知る、すべての人へおくる感動のラブストーリー"というキャッチコピーですが、
ちょっとピンと来なかったです。

あおいちゃん演じるツマは虫や動物達やソテツの声が聞こえるという設定も、
天真爛漫ととるか、心の病と取るか、というところ。
孤独な幼児期を過ごし、ムコのみえない世界で遊んでいる、感情の起伏が激しいツマを
あおいちゃんは熱演していました。

ただ、、、登場人物が、みんな病んでるって感じの人ばかり
しかもそのアツカイ(原因?)が驚くほど拙い。
登校拒否・・。深刻なモノばかりではないと言いたいだけなのか、軽い。
まあ、原作を知らないのでナンとも云えないけど(原作も長いとは聞いています)
この内容で2時間越えは長過ぎだと感じてしまいました。

登場人物がそれぞれみんな何かを抱えているのに誰にも共感できず、
全体的にファンタジー寄りではあるものの、
出会った瞬間にムコがプロポーズとか、ムコが過去と向き合うシーンなどは
およそ現実的でないというか、やっぱり作り物的な感じを受けてしまうおばちゃんでした

で、感想を書く段階で解ったのが、コレ
テレビ放送され大反響を呼んだドキュメンタリーを安易なラブストーリーにした「余命1ヶ月の花嫁
と同じ監督だったんですよね、、、
この監督、どうしてもあざとい気がして合わないの....。
過去にも、この監督の病気ネタ、ハンディキャップを持つ主人公の作品は多く、(未アップ)
口のきけない教師が主人公の「機関車先生」や
うつ病の女性がヒロインの「やわらかい生活」
余命わずかな女子高生がヒロインの「恋する日曜日 私。恋した」などあるけど、
これから乙武洋匡さんご本人で「だいじょうぶ3組」が3月公開。。。だいじょうぶか......

それでも、あおいちゃんも向井さんも原作ファンというだけあって、ツマとムコになり切っていたので
それぞれファンの方は楽しめるのではないでしょうか。
因みにこの作品で私が一番嬉しかったのは、
木村充揮さんご本人が酔っ払いに扮して歌う「グッド・ナイト・ベイビー」を聴けたこと
毎日かあさん」の時は木村さんの「ケサラ~CHE SARA~」で涙が止まりませんでしたが、
コチラではムコとツマに、この歌詞が良く合っていましたね♪

渾身 KON-SHIN

2013-01-14 00:14:38 | the cinema (カ行)

ぶつかって、
ぶつかって、
人は強くなる。

製作年度 2012年
上映時間 134分
原作 川上健一
脚本:監督 錦織良成
音楽 長岡成貢
出演 伊藤歩/青柳翔/甲本雅裕/笹野高史/財前直見/中村嘉葎雄/長谷川初範
隠岐諸島に暮らす多美子は、夫・英明とその前妻の子で5歳になる娘・琴世と3人で仲むつまじい毎日を送っていた。
かつて、英明は前妻と駆け落ち同然に島を飛び出したため、島へ帰ってきてからも両親とは顔も合わさず、島の人々にもなかなか受け入れてもらえずにいた。そんな中、英明は島の人々が大切にしている古典相撲の練習に参加するようになる。彼のひたむきな姿は、少しずつ人々の心に変化をもたらしていく。やがて英明は正三役大関に選ばれ、ついに20年に一度の開催となる遷官相撲大会の日を迎えるが…。


最初のチェックの段階では見過ごしていたこの作品を、後日みつけて公開を楽しみにしていました。
隠岐諸島に伝わるという古典大相撲?
青柳翔ってナニモノ?(ファンの方ごめんなさい)でしたが、
先ずそのタイトルに惹かれ、私としては珍しく予告を観、鑑賞を決めていました♪

20年に一度の水若酢神社の遷宮を祝う古典相撲大会の日を迎えたその日から、
英明がこの日を迎えるまでを回顧する形で物語は始まりますが、
正直、その前の、オープニングの映像で、もう惹かれていました。

神々の降り立つ神秘的な、美しい日本の原風景。
空も、大地も、広がる海も、汚れなく碧い!

その中で、郷土を愛し、伝統と共に生きる人々―。

護るものの為に、強くなること。

英明が打ち込む、その伝統の古典相撲は、それを愛する人たちによって受け継がれるが、
相撲などよく解らない私にも、そもそも相撲が神事だという事を思い出させてくれる。


力を漲らせてぶつかる。
しかし、相手を尊重する、きまり。
1勝1敗。遺恨は残さない、きまり。
観客は激励の為に大量の塩を浴びせる。夜を徹して力士たちを歓声で後押しする。
そして迎える大一番―。

因習やしきたりの中で生きる事の難しさも感じましたが、
それ以上に、
自然の美しさを護るのは、こういう純粋に郷土を愛する人たちであり、
それを支え、見守る人たちなんだという事を強く感じました。

土俵の準備段階、練り歩きの再現、どこか愛嬌のある行司や呼出しに
心を掴まれて、、、
クライマックスにはきっと塩が、欲しくなる(笑)

この監督作品「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」もそうでしたが、
人の悪意で物語が動いたりしないんですよね。
ひたすら自分と向き合う男の姿、なんですね。
コチラはドキュメンタリーのように、淡々とその行事を映していきますが、
観終わった時に、「おくりびと」に通じるものがあると思いました。
とても美しい日本の映画です。

声をかくす人

2012-11-11 08:34:44 | the cinema (カ行)

彼女の罪。それは、最期まで秘密を守ろうとしたこと――。
原題 THE CONSPIRATOR
製作年度 2011年
上映時間 122分
脚本 ジェームズ・ソロモン
監督 ロバート・レッドフォード
ジェームズ・マカヴォイ/ロビン・ライト/ケヴィン・クライン/エヴァン・レイチェル・ウッド/ダニー・ヒューストン/ジャスティン・ロング/アレクシス・ブレデル/トム・ウィルキンソン
南北戦争の終結間もない1865年。リンカーン大統領が南軍の残党によって暗殺される。主犯のジョン・ウィルクス・ブースは逃亡中に射殺され、さらに7人の男と1人の女が共犯として逮捕される。女の名前はメアリー・サラット。下宿屋を営みながら2人の子どもを育てる未亡人だった。元北軍大尉のフレデリック・エイキンは、元司法長官のジョンソン上院議員から彼女の弁護を頼まれる。犯人への憎しみを抱きながらも、渋々弁護を引き受けたフレデリックだったが、被告が民間人にもかかわらず、一般の法廷ではなく軍法会議にかけられることに違和感を覚える。そんな中、毅然と無罪を主張しながらも、それ以外のことは黙して語らないメアリーに戸惑うフレデリック。しかし、審理が進むにつれ彼女の無実を確信、弁護に力が入る。するとフレデリックへの風当たりも強くなり、いつしか四面楚歌の状況に追い込まれるが…。

雰囲気は好きなのに、なぜか苦手なテアトル銀座、行って来ました!
チケットカウンターで、来年5月の閉館のご案内があり、ちょっと淋しく、
今更ながら、無理をしてでももっと通えば良かったと反省…。
まあ、上映時間的にも厳しいのですが、今月は早速「ふがいない僕は~」があるし、
行けたらいいなあ~。まだ素敵な作品が待機してるし。

さて本作品。これはアメリカを2分する南北戦争の果てに起こったリンカーン暗殺の、
国民感情に名を借りた軍人の、汚点とも言うべき軍法会議形式の裁判にかけられた
一人の南部出身の女性と、
北軍の英雄で、弁護士志望だった若き大尉の、
裁きに公平を求めた戦いの物語。

「無実」だという1点以外語ろうとしない被告人メアリー・サラット。
人望もあり、前途有望だった北軍大尉のフレデリック・エイキンは、
彼女の罪状、すなわち南北戦争の象徴的大統領、リンカーン暗殺の一味というだけで嫌悪し、
その弁護を要請された時に断る。・・心情的にそれはそうだろう。
リンカーンの思想への支持の元、彼らは何十万という南軍兵士を葬り、多くの犠牲を払ったのだから―。

しかし、ここで彼を説き伏せる元司法長官のジョンソン上院議員の言葉にこそ
奴隷解放の信念と同じく、「法は平等で在らねばならない」という
私怨や報復を危惧するその後の軍法会議への壁の厚さを、北部出身のエイキンに託した思いだったのですね。
そして、審理はジョンソンの読み通りに展開していくのですが、
今ならツッコミどころ満載の奇怪な法廷劇が繰り広げられ、
最初の内こそメアリーの有罪を信じていたエイキンも、その手腕を発揮。
検察側証人の矛盾点を突き、証言の信憑性に迫るものの、
判事は全て北軍の将校。裁判長はスタントン陸軍長官の肝いり。

絶望的な状況で、物言わぬ被告人を救うべくエイキンが、最終的に取った行動とは?!

黒人の奴隷解放の父リンカーン暗殺の、南部出身の犯人と共犯者が、
実はどうやって裁かれていたのか?
平等を謳った戦争でありながら、その勝者、北軍の裁判に公平はなかった。という
真実よりも迅速な収束を狙った政治の厚い壁に立ち向かう、
若き元北軍大尉が、怖れず挑み、
救えなかった命の代わりに、ある言葉とともに手にしたものは…―

地味ながら、その緊迫感、不条理に沸き立つ怒りの静かな表現。
流石、ロバート・レッドフォード監督作ともなると、こんなにも豪華キャスト!

今までで一番好きなロビン・ライトでしたし、エヴァン・レイチェル・ウッドも
ダイアナの選択」の面影がありながらちょっと大人びてて良かった♪
ジェームズ・マカヴォイはこういう生真面目で情熱的な役が嵌ってます!

全編セピアっぽいざらついた古い本を紐解くような、そんな作品でした

コッホ先生と僕らの革命

2012-09-18 23:42:39 | the cinema (カ行)

あきらめることに慣れてしまった、
すべての大人たちへ――

製作年度 2011年
原題 DER GANZ GROsE TRAUM/LESSONS OF A DREAM
製作国・地域 ドイツ
上映時間 114分
監督 セバスチャン・グロブラー
出演 ダニエル・ブリュール/ブルクハルト・クラウスナー/ユストゥス・フォン・ドーナニー/トマス・ティーマ

ドイツ・サッカーの父として同国の人々から敬愛され続けているコンラート・コッホの実録ドラマ
1874年のドイツ。歴史ある街ブラウンシュヴァイクの名門カタリネウム校に、イギリス留学を終えた英語教師コンラート・コッホが赴任してきた。初めて教室に入ったコッホは、生徒たちのイギリスに対する強い偏見に驚き、授業にサッカーを取り入れることに。サッカー用語を通じて英語を教え、同時にフェアプレイの精神、チームプレイの大切さを教えていく。ところが、コッホの方針を快く思わない地元の名士たちがさまざまな圧力をかけてきて……。

先ずこの時代のドイツ。先の普仏戦争でフランスに勝利し自信を深め、イギリスとの覇権争いへと関心が向かい、国民の反英感情がかつてない高まりをみせていたという社会背景が簡単に映し出される。
学校教育も規律絶対服従の場でしかなく、殆どの時間が「体育」に当てられる(笑)
そんな帝政ドイツの差別意識を当然のように子に植えつける親や、
大人によって監視され抑え付けられている名門カタリネウム校に、ドイツ初の英語教師として赴任してきた青年コンラート・コッホ。
彼は直ぐに生徒たちのイギリスに対する強い偏見と、階級による露骨なイジメを見抜き、
"楽しむ"ことを封じられ、抑圧された子供達にサッカーを取り入れた授業を始める。


コッホ先生が子供達に求めたもの、それは
チームワークと、フェアプレイ精神。

身体を鍛えることを目的にした「体育」とは違い、
蹴って、守って、仲間と共に攻撃するスポーツ。
楽しみのない子供たちは直ぐに夢中になり、ルールと共に英語を学んでいく。
そして、子供達が夢中になればなるほど、子供達の中に変化が訪れ、周囲の大人たちは
その変化を受け入れられず、コッホ先生は窮地に立たされるが――

自分達を救ってくれたコッホ先生を取り戻す為に、
子供達が知恵を絞って見出した活路とは

戦争に勝ち、その気運を引き摺って子供達をただ厳しく抑え付ける大人たちに
無力な先生と生徒はどうやって立ち向かったのか?
大ハプニングも、大スペクタクルもない。けれど、ムリに植えつけなくても、愛はそこにある。

我が子や、仲間を応援する気持ち。湧き上がる温かいもの、そこにあるもの
それを引き出す、――スポーツ
チームプレイとともに、子供たちは階級の垣根を自然に超える。
敵国イギリス生まれのサッカーをドイツが受け入れた瞬間は、温かいです♪

子供にとって息苦しい時代を、どこかユーモアを交えながら、爽やかに描いた1本。
色んな世代の方に観てもらいたいです

鍵泥棒のメソッド

2012-09-16 00:06:56 | the cinema (カ行)

製作年度 2012年
上映時間 128分
脚本:監督 内田けんじ
出演 堺雅人/香川照之/広末涼子/荒川良々/森口瑤子/小山田サユリ/木野花/小野武彦

ひょんなことから人生が逆転してしまった2人の男性を巻き込んだ物語の成り行きを、笑いとサスペンスを交えて描く。
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。

実は公開初日にも関わらず、午後の2回しか上映のない「コッホ先生」を観るつもりでいたのですが、
早々にsold outになっちゃいまして、先にコチラを観てきました♪

アフタースクール」からもう4年が経ったんですね~。本当に時の流れは速いです。
めちゃくちゃ評判の良かった前作から堺雅人さんが引き続きで、今度は主演。
期待程ではなかったけど面白かったですてか、私は前作より好き

売れない役者・桜井武史はだらしがなく、ちょっとおバカだけれど憎めない男。
周囲の人の好意に支えられて35歳まで生きてきたが、死に切れずふと行った銭湯で
押し出しのいいコンドウの転倒シーンに出くわす
そして、コソ泥よろしく手に入れたコンドウの所持品をくすね成り済ますが…―

そのコンドウ。記憶をなくし、ゴミダメのようなアパートの住人に成り下がるも、
キチンとした性格は変えがたく(笑)
結婚相手を物色中の真面目な、でもちょっとズレた水嶋由香に助けられる

役者志望とはいえ、
小心でダメ駄目な桜井は、果たしてコンドウになり切れるのかーっ?!

この3人の登場シーンで掴みはOK
「アフタースクール」の時もそうでしたが、わざと違和感持たせる撮り方が巧いです。
しかも、突飛なようでいて、あるかも知れないシチュエーション。その発想がイイです♪

後先考えられない桜井のクセに(笑)ちょっとリーガルハイを思い出させる堺さん
変装シーンはクヒオかーっと突っこみましょう(笑)
それにしてもスゴイのが香川さんの豹変振りです!
桜井バージョンの可愛さ一転、伝説の殺し屋の凄みのある風貌
"殺し屋のメソッド"でもいい(笑)とにかく仕事の丁寧な男(笑)
キレッキレコンドウと、ヘロッヘロ桜井のふたりがマジ可笑しい~

ですが、先日の西川美和作品同様、やはり同じ手法で姉妹作を見せられた感はあります、正直。

殺しの依頼とその顛末!?そして大金の行方と、3人の人生と恋の行方
何も考えなくても普通に笑えて楽しめる、
役者の演技を愉しむこじんまりとしたコメディってところです

誠に勝手ながらこの作品、完全ネタバレの記事に関してはTBは戴かないつもりです
これからご覧になる方の楽しみを奪わないためにも、宜しくお願いします。


恋と愛の測り方

2012-05-16 23:36:30 | the cinema (カ行)

原題 LAST NIGHT
製作年度 2011年
製作国・地域 アメリカ/フランス
上映時間 92分
監督・脚本 マッシー・タジェディン
出演 キーラ・ナイトレイ/サム・ワーシントン/エヴァ・メンデス/ギョーム・カネ

結婚3年目にして、擦れ違いが生じるようになってしまった夫婦の行く末を、洒脱なムードたっぷりに描いていく。
ニューヨークに住む結婚三年目の若い夫婦。ある晩、夫のマイケルは日頃から惹かれている同僚ローラとの出張に行くことに。妻のジョアンナは、夫が同僚のローラに惹かれているという疑いを以前から持っており、夫にそれとなく問いかけるが釈然としないまま、二人は離ればなれに。マイケルが誘惑と必死に闘う一方、ジョアンナは、偶然、元カレのアレックスに出会ってしまい食事をすることに……。

成就しなかった恋、お互いに仕事を持つ夫婦、妻よりも長い時間を過ごす同僚…―
どんな夫婦にも、とは言わないけれど、
きっとココで展開されるお話は、さほど珍しい事ではないだけに、
たった一夜の心の揺れが丁寧に描きだされ、メインの4人それぞれの姿に感じるものはありました。

すれ違っていても、自分の大切な場所は解っている。だから、嫉妬し疑うジョアンナ。
そんな時には、秘密の引き出しの中の、大切な忘れえぬ恋の相手を想い出し、っていうのはそんなに責められない事だと思う。
しかし、相手はまだ未婚で、その恋を引き摺っていたら…

ジョアンナは以前の恋人ととのデートに心弾ませるが、
夫、マイケルの相手は、毎日顔を合わせる同僚!!これはいかんでしょう~!
しかも、彼らの場合、惹かれる=即浮気のサイン。
それに、マイケルの相手に対してジョアンナが"美人"だというくだりがあるのだけれど、
「どこが?」と思ってしまったほど、ローラが魅力的に映らなかったのは、これも男女の差なのでしょうか?

既婚者と知っていながら誘う彼女に、ちょっと浅ましさも切なさも感じてしまったし、
ビジュアル的にも、マイケルと合うのはこの同僚ローラで、
ジョアンナ(キーラ)にはアレックス(ギョーム・カネ)がお似合いだと思ったので、
浮気したらもう帰ってくんなよ~とか思った私は悪魔?(笑)

だって、たった結婚2年で、ちゃんと妻の顔をみて話さない序盤のマイケルに、
こんな調子では、この先の長い結婚生活が思いやられるって気がしたんだもの。
でも、、多いんだろうな~、こんな男性。

そして――、
トクベツな人との、大都会での偶然の出会い―は、そうそうないのだと、
その偶然は、恋するどちらかが努力して実った結果なのだと、大人になった今は解る。(爆)


幸せを求めて別れ、
幸せを掴みたくて結婚したはず

でもその時、どんな答えを書いても、正解の答案用紙は返ってこない。
ただ、生きてる限り、事ある毎に私たちは試され、答え、それを積み上げていくのだろう。

お話は単純ですが、それだけに役者の演技、演出がものをいう作品。
ちょっと切ない目の大人の恋愛事情もあって、
特別な盛り上がりには欠けるけど、そのリアルさも良かった
で、この邦題は、ちょっと野暮。ヘンに親切過ぎ。
原題そのままの方が、深い