観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「クヒオ大佐」。おポンチ詐欺師が陽気に行く!

2010年05月06日 | 映画・ドラマ
 1970~90年代実在したクヒオ大佐と名乗る詐欺師をモチーフにした映画。設定のみ参考にしたという程度で、ストーリーはオリジナルで、コメディタッチに描いているので、ほかの犯罪者の実録ドラマと比べて、暗さは無い。
 むしろ、おポンチな男の話しに仕上がっている。騙される方も、承知の上で、お金を出している言うなればホスト感覚みたいな物。
 しかも主演が 堺雅人、松雪泰子だから、可愛いんだ、全編。そして、このお話しのクヒオ大佐は、ちょっと間抜けな部分もあって憎めない。
 ラストの逮捕劇はちょっと新しい。途中まで、「そういう結末でファンタジーに終わらせるのか」と思ったくらい。
 映画の分野としては娯楽に入れていいだろう。

 映画はそうとして、実際の(嘘の)プロフィールが、
 氏名:ジョナサン・エリザベス・クヒオ
 職業:アメリカ空軍特殊部隊パイロット
    士官学校卒業後、アメリカ海軍に任官。その後空軍に移り、ベトナム戦争や湾岸戦争などで常に最前線に赴く特殊部隊パイロットとして従軍。
 国籍:アメリカ合衆国と日本
    父は、カメハメハ大王の末裔で、母はエリザベス女王の双子の妹。
 出身地:ハワイ
 学歴:6歳 ワシントン大学を卒業
    10歳 ミネアポリスの士官学校の入学資格を得るが、体格が伴っていなかったために15歳まで入学を辞退。その間5年の間にエール大学で弁護士資格、東京大学法学部大学院で法学博士号を取得するほか、ケンブリッジ大学にも留学。
 読んでるだけでも笑っちゃうよね。阿呆らしい。何でも整形したって。でも、これって今の時代の感覚で、当時は海外旅行も誰もが行ける時代ではないし(70年代は、頑張り抜いて生涯に1度、ハワイが精一杯の時代)、欧米人ってだけで、こちらはコンプレックスを持っちゃうくらい。そして、普通の人は欧米の事情などあまり知らないから、エリザベス王女が双子と言われりゃ信じちゃうのかも知れない。逆に考えれば、詐欺師のくせにそのくらいの知識しか無かったんだなー。それでも人を騙せたんだ。平和(?)だなー。ということになるかも知れない。
 プロフィールだけじゃなくその手口ももの凄く拙くて大笑いなのだが、多分口が巧くて優しかったのだろう。
 クヒオ大佐は結逮捕され、刑期を終えて出所した後も同様の手口で女性から結婚費用を騙し取るなどし、その被害総額は約1億円と言われているのだから大したもんだ。逮捕直後は大々的に保報道されたにも関わらずだ。

「たとえ世界が終わっても」。観賞後に納得のはまるタイトル

2010年05月06日 | 映画・ドラマ
 余命を宣告された宮野真奈美(芦名星)は、自殺サイトのメンバーと集団自殺をしようと行動に出るが、計画は失敗に終わり、1人で死ぬことを決める。
 すると、自殺サイトの管理人の妙田(大森南朋)は、自身が管理するアパートの住人・長田寛治(安田顕)が病いと闘っているため、自殺するなら、彼と結婚し生命保険で彼を救って欲しい。そうすれば、苦しまずに死ねる薬をあげると持ちかけられ、同意する。
 結婚の証明にと、2人の写真を撮影するために妙田に連れて行かれたのは、寛治の故郷だった。アクシデントから2人で旅をするうちに寛治の人柄にほだされていく真奈美だったのだが…。
 予想だにしない結末。そして、自暴自棄の中から自分を取り戻していくヒロイン。
 なぜか前世が見え、その時代に自分と関わっていたと語る妙な妙田の行動はさて置き(なぜか意図を感じられず)、集団自殺というシリアスな題材を、「最後にラーメンが食べたい」とか「ボーリングでパーフェクトを出すまで死ねない」とか、たわいもない理由で自殺を伸ばし伸ばしにしていくブラックユーモアの前半。
 こんなテンションで進むのかと思いきや、安田の登場からガラリと変わり、親子や、愛など、こちらもたわいもない日常で見過ごされているが実は大切な問題がテーマになる。
 安田って不思議な役者で、こういったピュアな役から、コメディ、シリアスとオールマイティな中に、全く無理がないと言うか、どれもが自然で、一昨年から1押し俳優。あれだけ個性強いのに、安田顕を主張せず、だが存在感はあるという感じ。
 「世界の中心で愛を叫ぶ」みたいなタイトルで、「たとえ世界が終わっても」って暗っ! さすがヤスケン主演のタイトルだ(笑)と思っていたが、死をテーマにした作品とは思えないさわやかさと心地よい涙が頬を伝わる。
 これは見て欲しい。
 芦名星も、媚びないタイプの、今の女優陣とはひと味違うクールさがいいねぇ。平泉成、白川和子が寛治の両親役出演。