かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
  そして感じたこと、思い出などをひとコマひとコマ

僕のTシャツ(10:アメリカ・グランドキャニオン編)

2008-01-08 13:29:09 | 旅行
海外旅行先としてアメリカは、私にとって余り魅力を感じていなかった。そんなこともあり、旅行の行程計画は奥さんに任せ、2000年9月、アメリカ西海岸(ロサンゼルス、ラスベガス、グランドキャニオン、サンフランシスコ)へ向かった。この旅行は、某航空会社のアップグレード券を利用して、往復ともビジネスクラスというリッチ気分のものだった。座席は広々としているし、食事は豪華だし、機内サービスもすぐに対応してくれるので、イライラ待たなくて良いので快適だった。それに何より、搭乗し座席についてしばらくすると、美しいキャビンアテンダントが、「○○様でいらっしゃいますね。いつもご利用ありがとうございます」と挨拶に来てくれるのが、なんだか照れくさいような、気持ちが良いような微妙な感じがするのだ。
 そんな快適な飛行で最初に訪れたのは、ロサンゼルスである。空港からホテルへ向かい、チェックインして、部屋で少し休憩してから、タクシーで市内見物に出かけた。最初に向かったのは、ハリウッドのチャイニーズシアター。ハリウッド・スターたちの手形や足形があるという所だ。有名な観光地のようで、相当な人並みだった。でも、想像していたよりありふれた街並みだと思った。ふーん、アメリカとはこんなものか、などと生意気なことを感じた。残念ながら、ロバート・デニーロの手形はないのだろうか?見つけられなかった。
次に向かったのは、ビバリーヒルズ。そして、タクシー運転手に頼み、あの「ホテル・カリフォルニア」のLPジャケットで有名な、ビバリーヒルズホテルへ連れて行ってもらう。パームツリーの中にシックなホテルが映える。 感激だ! その後ホテルへ帰る途中、「ダイ・ハード」の撮影舞台となったフォックスプラザビル(映画では「ナカトミ・ビル」だったかな?)にも連れて行ってくれた。このビルは、映画でイメージしていたよりずーと小さく、庭も狭く感じた。
翌日は、ユニバーサルスタジオへ。バック・トゥ・ザ・フューチャー、ジュラシックパーク、バック・ドラフト、E・T、スタジオツアー、ターミネーターなどのアトラクションを楽しむ。さらに翌日は、ロス市内をのんびり観光し、夕方、ラスベガスへ向かう。ロサンゼルスの東側の山並みを過ぎると、もうそこは砂漠地帯だ。やがて、砂漠の真っ只中に、突然高いビルが見えてきた。そこがラスベガスだ。
ラスベガスの空港に到着すると、いきなり空港内ではスロットルマシーンが目に飛び込んできた。さすがカジノの街だ。ホテルに着いても、ドアが開くといきなりカジノの満開である。こんな雑踏めいた所にフロントがあるのだろうかといぶかしく思い、奥さんに「フロントはここではないのではないか?」と言ったが、奥さんは「ここでいいのだ」ときっぱり言う。カジノと同じフロアーの端っこにフロントがあった。なんてこった。
チェックイン後、しばらく部屋で休んで、夜になってから街に出かけた。行動は全て、ばっちり勉強してきた奥さんに任せる。まず行った先は、巨大なベラッジオホテルで、イタリア資本に度肝を抜かれてしまった。奥さんは、ここのレストランで夕食を食べようと思っていたようだが、高そうなので、すごすごと退散して別のホテルで食べた。そして、出直して再びベラッジオホテルへ向かう。ホテルのフロントを過ぎ外へ出ると、大きな池があった。ここで、噴水ショーがあるという。しばらくすると、音楽とともにライトアップされた噴水が踊り始めた。スケールの大きさに驚く。「これは、シンクロナイズドスイミングだ。1000人ほどの小谷実可子が踊っている」と不規則な言葉を発しながら、ただ笑うしかなかった。1回のショーが終わると拍手が沸く。 噴水に拍手をするのは、ここだけではないだろうか。曲は3バージョンあり、ショーは15分おきにあったが、サラ・ブライトマン&アンドレア・ボチェッリの「Time to say goodbye」が歌・噴水ともに最高だった。この旅行では、この噴水ショーがかなりの印象度をもった。その後、ミラージュホテルの火山噴火ショーも見学する。そして翌日、グランドキャニオンへ飛んだ。
 セスナ機から見る景色は、傾斜したり、ところどころ断層で切られたりする地層が続く。フーバーダムを過ぎてしばらくすると、やがて地層は水平になり、徐々に峡谷が現れてきて、わくわく感が高まる。空港に着いてから、バスでキャニオンへ向かう。最初に案内されたのは、イーストリム・ドライブのヤバパイポイントだ。ここは、1540年、スペインの探検隊が初めてグランドキャニオンを発見した記念すべき場所のようだ。
いきなり眼前に、写真やテレビで見たことのある風景が広がり、圧倒された。またひとつ子供のころからの夢がかなえられた。どこまでも水平に広がる地層群。それを浸食する谷。浸食からかろうじて残されたピラミッドのようなピーク。まさに地質・地形のテキストのような景観だ。同じ地層の連続を延々と目で追いかけることができる。日本では見ることのできない圧倒的な景観。次のポイントに移動し、そこでも存分に景色を楽しんだ。
グランドキャニオンで見る地層のほとんどは、ほぼ水平なのだが、コロラド川が流れている谷底付近には、直立した地層がかすかに見えている。ということは、不整合があるはずだ。ガイドブックなどを見ると、谷底付近の地層は今から約17億年前のもので、不整合の上の水平な地層は約5.5億年前のもので、我々が立っている崖の上の展望台のあるところが約2.5億年前の地層のようであった。気の遠くなるような時間をかけて堆積した地層・地球の歴史を一望できることに、とにかく圧倒され感動する。日本では体験できないことで、しかも、この大地(カイバブ高原)は、5.5億年いやそれ以上前から、地殻変動がなかったということか。 
絶景を楽しんだ後、いったん宿泊ロッジへ行き、しばし休憩し、再びバスに乗り夕日見物ツアーに出かける。傾いた太陽に照らされ徐々に赤味を帯びてくるキャニオンは、昼間より陰影がくっきりしており素晴らしい。日没そのものはそれほど感動しなかったが、それが雲に反射していい景色だ。太陽が没してもしばらくは茜色に雲がそまり美しかった。
見物を終え、ロッジのレストランでセルフサービスの食事をいただく。料理はたいして美味しくはなかったが、奥さんはここのカフェ・カプチーノがとても美味しかったと言っていた。食後、部屋でワインを飲もうとレジに持っていったのだが、持ち出しはダメとのこと。徹底している。以前、大暴れした泥酔客でもいたのだろうか。悔しいが我慢せざるを得なかった。  
今回のTシャツは、その後このロッジのショップで買ったものだ。これも私には珍しくプリントではなく、刺繍であり、ネイティブ・アメリカンの壁画と思われる模様がデザインされている。
翌日も日の出を見ようとキャニオンへ向かう。残念ながら、雲に隠れて日の出は楽しめなかった。そして、グランドキャニオンを後にして、再びラスベガスへ戻り、あの噴水ショーをまたまた堪能し、トレジャー・アイランドホテルの海賊ショー(サイレンス・オブ・TI)も楽しんだ。貧乏な我々二人は、無料ショーだけを見物する。でも、それだけでも十分楽しめた。ガイドブックを読み込み、計画を練ってくれた奥さんに感謝であります。
その後、次の目的地サンフランシスコ、ヨセミテへと向かった。