何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

栄山寺-(1) (五條)

2017年02月21日 | 寺社巡り-奈良

【奈良・五條市】奈良時代の養老三年(719)、藤原南家の祖の藤原武智麻呂による創建。 武智麻呂の死後、子の仲麻呂が父母の追善供養のため天平宝字年間に八角円堂を建立した。
藤原南家の菩提寺として多くの荘園を領して大いに栄え、南北朝時代には南朝の第97~99代天皇の後村上・長慶・後亀山の三天皇の行宮ともなった。 真言宗豊山派で、本尊は室町時代造立の薬師如来坐像。

JR五條駅から歩いて栄山寺に向かい、途中、宇智川の岸壁に刻まれた奈良時代作の磨崖碑を訪ねた(別途投稿予定)。 吉野川に沿った道を暫く進むと、やがて栄山寺に着く。
受付で拝観料を支払おうとしたが不在....奥に向かって何度も声を掛けたが誰も出てこない。 仕方がないので、窓口に置かれたパンフレットを頂いて無断で拝観することにした。
寺務所からコンクリート造りの白壁の鐘楼堂が見える。 鐘楼堂に下がる梵鐘は平安時代鋳造のもので国宝だが、素人の自分の目にはその価値は判らない。 参道を挟んで鐘楼堂の向かい側の木立の中に、日本最古の石塔のひとつとされる奈良時代造立の七重石塔婆がひっそりと佇んでいる。
七重石塔婆の左手に塔之堂が建つが、稚児棟の先の鬼瓦(一の鬼)に目が留まった。 大きなツノがある鬼が、牙のある口を大きく開けた顔がユニークで面白い。
石仏が佇む放生池の傍の参道を進んで本堂がある境内に進むと、室町時代再建の本堂だが天平期の建築様式を残す趣のある御堂が現れる。 本堂の正面に建つ簡素で小さな山門近くに、南北朝時代に三天皇が行宮したことを示す「行宮阯」の石碑が立っている。 本堂左側の縁の奥に資料室があり、天平時代に描かれた八角円堂内陣の柱装飾画の写真などが展示されていて興味深い。
 
寺務所近くを流れる小川の傍に建つ変わった形の石塔/寺務所から眺めた境内..正面の白い建物は鐘楼堂

コンクリート製で切妻造桟瓦葺の鐘楼堂..平安三絶の鍾のひとつとされる国宝の梵鐘が掛かっている(他は京都高雄の神護寺・宇治平等院の鐘)
 
平安時代延喜十七年(917)鋳造の梵鐘(国宝)..高さ約1.6m、口径89cmで銘文は菅原道真の撰

参道を挟んで鐘楼堂の向かいにある塔之堂(大日堂)と七重石塔婆

奈良時代建立の七重石塔婆(重文)..我国の最も古い石塔のひとつ
 
初層軸部に四方仏の梵字が薬研彫りされている重厚な七重石塔..総高3.6m

七重石塔婆越しに眺めた塔之堂..大日如来像を安置

露盤宝珠を乗せた宝形造桟瓦葺の塔之堂(大日堂)
 
塔之堂の古風な桟唐戸脇間は連子窓/塔之堂屋根の鬼瓦..ツノがあり、牙のある口を大きく開けている

塔之堂から眺めた本堂境内
 
放生池の傍に火袋と中台が欠落した石燈籠と舟形地蔵尊像が佇む/放生池に少し映る本堂..本堂の向拝柱が見える

放生池越しに眺めた本堂..歴史を感じさせる趣がある

「行宮阯」の石碑越しに眺めた本堂(薬師堂)..見事な天平建築の貴重な遺構

室町時代天文二十二年(1553)再建の寄棟造本瓦葺の本堂(重文)

本堂前には重要文化財の石燈籠が立ち、傍に明治二十七年(1894)建立の「新西国 九番札所...」の石柱がある
 
鎌倉時代弘安七年(1284)造立の石燈籠(重文)..高さ約2.4mで栄山寺形といわれる/本堂には室町時代永享三年(1431)造立の木造漆箔寄木造り薬師如来坐像と守護する十二神将像を安置
 
本堂前一間は吹き放ちの広縁で、堂正面は全面が蔀戸になっている
 
本堂左縁の奥にL字状に設けられた資料室/奥(本堂後方)の資料室内部..諸仏や壁画(仏画)の写真を展示

八角円堂の内陣柱装飾画写真..内陣の天蓋、柱などの壁画は天平時代のもの

本堂広縁から眺めた境内風景..塔之堂(大日堂)と鐘楼堂が見える
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