対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「オイラーの公式と弁証法」

2016-12-29 | 案内
「オイラーの公式と弁証法」(はじめに)より。

オイラーの公式は数学で最も美しい式といわれている。たんに美しいだけでなく、実用的にもすぐれている。それは異なる種類の2つの関数、指数関数と三角関数を結びつけるもので、次のような式で表わされている。
  eix = cos x+isin x
遠山啓はこの式を「太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河」と形容していた。また吉田武は「虚」と「実」、「円」と「三角」を結ぶ「不思議の環」と形容している。ファインマンは「jewelry(宝石)」とよんでいた。
この公式は18世紀にオイラーが導いたものである。異なる指数関数と三角関数が結ばれているので、この公式が作られた過程は弁証法と対応しているのではないかと思われた。ここで弁証法とはギリシアやヘーゲル、あるいはマルクス主義の弁証法ではなく、私が提起している弁証法のことである。それは端的にいえば、2つの「論理的なもの」を選んで1つの「論理的なもの」にまとめる技を指している。『オイラーの無限解析』(レオンハルト・オイラー著/高瀬正仁訳/海鳴社)と『無限のなかの数学』(志賀浩二著/岩波新書)を参考にして、オイラーの公式が作られた過程を把握したいと思う。

オイラーの公式と弁証法」(PDF)
目次
1 はじめに
2 指数関数とn倍角の公式
3 n倍角の公式への極限の導入
4 指数関数への虚数単位の導入
5 オイラーの公式
6 公式の導出と弁証法との対応
付録
1 オイラーによる虚数単位iを用いたn倍角の公式の導出
2 オイラーによるsinとcosの巾級数展開の導出
3 「論理的なもの」
  1 自己表出と指示表出
  2 複素数モデル
4 弁証法の理論
  1 「対話」の基礎
  2 「対話」のモデル
  3 「止揚」のモデル
  4 ひらがな弁証法
参考文献
オイラーの公式と弁証法」(PDF)

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