10年ほど前、『言語にとって美とはなにか』を読み直した。そのとき「二枚の画布」の比喩が目にとまった。
言語発生の機構については、いわばちがった色の絵の具でぬられた二枚の画布にむきあっていた。そして色をひとつにぬりなおすこと、画布を一枚にただすことがふたつとももんだいとなった。混乱はそれぞれの言語観の個性的なちがいをこえた何かをふくんでいたのだ。これは言語の発生に関するランガーとマルクスの考えを統一して言語の本質を提示した過程を、吉本隆明が比喩として述べているものだ。私が提起した複合論(弁証法の新しい考え方)と正確に対応しているのではないかと思った。
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