「接続詞と自己表出」を投稿したあと、『中学生のための社会科』(市井文学)をみていて、驚いた。
この本のなかに、品詞の分類表がのっている。自己表出をタテ軸に、指示表出をヨコ軸にとって、品詞を分類したものである。『言語にとって美とはなにか』の図と同じものだと思い込んでいたが、よく見ると、違っているのである。小さな違いはいくつかあるが、決定的な違いは、動詞の位置である。
品詞の分類(『中学生のための社会科』)動詞の自己表出の度合いが、助詞や助動詞より大きいとは思えない。同じことだが、動詞の指示表出の度合いが助詞や助動詞より小さいとは考えられない。動詞は、名詞と形容詞の間に位置づけるのが、妥当なのではないだろうか。じっさい、『言語にとって美とはなにか』では、そのような位置づけになっている。
品詞の分類(『言語にとって美とはなにか』) 指示表出と自己表出は、時枝誠記でいえば詞と辞、三浦つとむでいえば客体的表現と主体的表現にそれぞれ対応している。辞の品詞(助詞、助動詞、感動詞)も、主体的表現の品詞(助詞、助動詞、感動詞、応答詞、接続詞)も、動詞とは結びつかないのである。
いったい、これ、は、どうし、た、こと、か。
わたしの理解では、次の図のようになるのである。
吉本隆明の考えが変わったのだろうか。ありえないと思われる。誤植なのだろうか。こちらも、ありえないと思われる。それならば、どのような経緯で、このような品詞の配置は公になったのだろうか。
謎のような品詞の配置。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます