対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

表出の品詞論4

2015-02-02 | 吉本隆明
4 指示と関係

 三浦つとむは『日本語はどういう言語か』のなかで、語を根本的に二つに区別する鈴木朖(アキラ)の「言語四種論」(1824)をとりあげている。鈴木は「体の詞」・「作用の詞」・「形状の詞」の「三種の詞」と「てにをは」を区別し、次のように特徴づけている。前が「三種の詞」、後が「てにをは」である。

  さす所あり・さす所なし
  詞なり・声なり
  物事をさし顕して詞となり・其の詞につける心の声なり
  詞は玉の如く・緒の如し
  詞は器物の如く・それを使ひ動かす手の如し
  詞はテニヲハならでは働かず・詞ならではつく所なし

 三浦つとむは「物事をさし顕して」と「心の声」に着目して客体的・主体的な表現を見る。私はさす所の有無、玉と緒、器と手に着目して、指示・関係を見よう。