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対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「弁証法と様相性」への案内

2006-02-13 | 案内

 弁証法は「偶然性の内面化」ではないか。これは、バイソシエーションが「二元結合」と翻訳されているのを見たときに、浮かんできた考えである。「二元結合」の「二元」に、「独立なる二元の邂逅」の「二元」が重なったのである。

 わたしは、弁証法を、「対話をモデルとした思考方法で、認識における対立物の統一」と考えている。認識における「対立物」に「独立なる二元」を対応させ、「統一」に「偶然性の内面化」を対応させれば、複合論の定式は、そのまま「偶然性の内面化」のモデルとして有効ではないかと思われたのである。いいかえれば、弁証法は「偶然性の内面化」である、と。

 これは、弁証法を偶然性という観点から見直すことだった。

 九鬼周造の『偶然性の問題』を読み直した。しかし、「偶然性の内面化」には、対話を入れる余地はないように思われた。九鬼の「偶然性の内面化」は〈対話のない「偶然性の内面化」〉、〈対話ができない「偶然性の内面化」〉のように思われたのである。

 対話が入らないのは、偶然性の分析が必然性を前提におこなわれていること、偶然性が根源的な様相として捉えられていないことにあるのではないかと思われた。この考えを展開してみようと思った。

「弁証法試論」の補論6として、「弁証法と様相性」をまとめた。

 目次は、次のようになっている。

  1 偶然性の中心
  2 「偶然性の内面化」の定式
  3 偶然性の定義 
  4 二元結合(バイソシエーション)と偶然性
  5 様相性の二つの体系
  6 様相性の第三の体系
  7 「偶然性の内面化」のモデル 
  8 様相性の第三の体系と複合論
  9 止揚の過程と様相性
  10 「偶然性の内面化」の定式と複合論
  11 様相性の第二の体系と表出論
  12 偶数と弁証法

「弁証法試論」 補論6「弁証法と様相性」 


如是我聞2005

2005-12-26 | 案内
 今年(2005年)書いたブログ「対話とモノローグ」から、ヘーゲル弁証法の合理的核心を把握する試みに関するものと、弁証法観の対照がはっきりしているものを収録し、「弁証法試論」への導入として位置づけてみた。
目次は次のようになっている。
 1 ヘーゲル弁証法の合理的核心について
   1 ヘーゲル弁証法の合理的核心 ― 主題と変奏
   2 弁証法の踏み絵
   3 対立物の統一
   4 追悼・許萬元
 2 さまざまな弁証法観との対照/
   1 国語辞典(大辞林)――
       5番目の弁証法
   2 ヘーゲル――
       1 弁証法の創始者
       2 弁証法のイメージ
       3 選択から始まる弁証法
       4 あれとこれと
   3 板倉聖宣――
       発想法としての弁証法
   4 岩崎武雄――
       正反合の過渡性
   5 長谷川宏――
       1 対話の流儀のちがい?
       2 ひまわりの弁証法?
   6 藤沢令夫――
       弁証法とディアレクティケー

    如是我聞2005


「表出論の形成と複合論」への案内

2005-12-20 | 案内

 『言語にとって美とはなにか』を読み直していて、「二枚の画布」の比喩が目にとまった。

 言語発生の機構については、いわばちがった色の絵の具でぬられた二枚の画布にむきあっていた。そして色をひとつにぬりなおすこと、画布を一枚にただすことがふたつとももんだいとなった。混乱はそれぞれの言語観の個性的なちがいをこえた何かをふくんでいたのだ。

 記憶にはなかったが、この比喩は、わたしが主張している弁証法そのものではないかと思った。さらに、吉本隆明が言語の自己表出と指示表出を導いていく過程を見直すと、複合論と正確に対応しているように思えてきた。いいかえれば、吉本隆明の「自己表出と指示表出」を、わたしの「自己表出と指示表出」から構成できるのではないかと思えてきたのである。

 言語の自己表出と指示表出は、吉本隆明が、言語発生の関するランガーとマルクスの見解を選択し、混成し、統一した「論理的なもの」である。

 この考えをまとめた。

 目次は、次のようになっている。

 はじめに

 1 複合論の要点

     1 認識の自己表出と指示表出
     2 「論理的なもの」
     3 「論理的なもの」の複素数モデル
     4 弁証法
     5 弁証法の通時的構造
     6 弁証法の共時的な構造
     7 ヘーゲル弁証法と複合論の対照

 2 言語の表出論の形成について 

     1 選択  ランガーとマルクス
     2 混成  自己表出と指示表出
     3 統一  言語の表出
     4 『定本言語にとって美とはなにか』の変更について

     『弁証法試論』 補論8 表出論の形成と複合論


「ニュートン力学の形成と弁証法」への案内

2005-08-28 | 案内
 ガリレイの落体の法則とケプラーの惑星の法則から、ニュートン力学が形成される過程は弁証法の典型的な例と考えられます。

 「弁証法試論」の補論 6 として、「ニュートン力学の形成と弁証法」をアップしました。( 2005/08/27 )。 ニュートン力学の形成過程を、複合論 ( わたしが主張している新しい弁証法の理論 ) によってまとめたものです。「ニュートン力学」は、ニュートンが ケプラーの惑星の法則とガリレイの落体の法則を選択し、混成し、統一することによって、形成した「論理的なもの」であると主張しています。
 
 弁証法に関心を持つようになったきっかけの一つに、「ニュートン力学の形成について」(『弁証法の諸問題』)があります。武谷三男は、そのなかで、いわゆる武谷三段階論を提出していました。その定式は、ニュートン力学の形成過程とヘーゲルの判断論の二つが軸になっていました。
 
 「ニュートン力学の形成と弁証法」(補論6)は、ヘーゲル弁証法とは異なる弁証法の新しい考え方(複合論)を理解していただくうえで、大いに参考になるのではないかと思います。

 補論6は、次のような構成になっています。見ていただけるなら、幸いに思います。

 ニュートン力学の形成と弁証法

  はじめに

  1 複合論の要点

     1 自己表出と指示表出
     2 「論理的なもの」の複素数モデル
     3 弁証法の複素数モデル

  2 ニュートン力学の形成について

     1 選択  ケプラーの惑星の法則とガリレイの落体の法則
     2 混成(1)  運動法則の定式
     3 混成(2)  万有引力の構想
     4 統一  天上の法則と地上の法則の統一
     5 武谷三段階論・湯川同定理論と複合論




〈「論理的なものの三側面」の形成について〉への案内

2005-05-01 | 案内
 「弁証法試論」の補論5として、〈「論理的なものの三側面」の形成について〉をアップしました(2005/05/01)。このブログに公表した同名の論考(2005/03/19)を改訂したものです。読みやすくなっていると思います。

 「論理的なものの三側面」は、ヘーゲルが、スピノザの規定論とカントの二律背反を選択し、混成し、統一することによって、形成した「論理的なもの」であると主張しています。ヘーゲル弁証法の核心を複合論によって把握できたことは、わたしなりに感慨があります。これによって、客観的な意味においてヘーゲル弁証法に複合論を対置する基礎を確立できたのではないかと思うのです。

 補論5は、次のような構成になっています。見ていただきたいと思います。

 「論理的なものの三側面」の形成について

  はじめに
 
  1 「論理的なものの三側面」の特徴――対立する一項の内在的否定による進展

  2 「複合論」の概略と特徴――対立する二項の対話による進展
      1 自己表出と指示表出
      2 「論理的なもの」の複素数モデル
      3 弁証法の複素数モデル
      4 ヘーゲル弁証法と複合論の対照

  3 「論理的なものの三側面」の形成――ヘーゲルの発想と複合論
      1 選択――カントの二律背反とスピノザの規定論
      2 混成(1)――規定的否定
      3 混成(2)――二律背反の拡張
      4 統一――アンチノミーの真実で積極的意味 
      5 ヘーゲル的でない弁証法についての問い



「オイラーの公式と複合論」の案内

2005-04-06 | 案内
 「弁証法試論」の補論4として、「オイラーの公式と複合論」をアップしました。(2005/04/03)。これは、その案内です。
   
 「オイラーの公式」は、指数関数と三角関数が、虚数単位 i を通して結ばれている公式です。オイラーが18世紀に定式化したものです。他方、「複合論」は、わたしが提唱している弁証法の新しい理論です。
 補論4は、「オイラーの公式」の形成過程を「複合論」によってとらえようと試みたものです。

 「オイラーの公式」は、教科書などでは、テイラーの定理を適用した三つのべき級数(指数、余弦、正弦)を使って説明されています。しかし、これは、オイラーの発想とはまったく関係ありません。

 志賀浩二は、『無限のなかの数学』のなかで、オイラーの『無限解析入門』(1748年)にそった解説をしています。かれは、オイラーの発想を次のように特徴づけています。「オイラーは、円の n 等分を極限まで追っていくことを、虚数の世界から眺めたのです」。わたしの関心は、このような発想がどのようにして形成されたのかということにありました。

 主として、『オイラーの無限解析』(レオンハルト・オイラー著/高橋正仁訳/海鳴社)と『無限のなかの数学』(岩波新書)を参考にしました。

 オイラーの発想に肉薄するには、数式は欠かせません。式は出てきますが、敬遠しないで下さい。あらかじめ言っておきたいことは、オイラーの発想を理解するのに、テイラー展開やべき級数など、大学で学ぶような高度な数学の知識は必要ではなく、高校数学の知識と計算力で十分だということです。

 補論4は、次のような構成になっています。見ていただきたいと思います。
 
 オイラーの公式と複合論 

    はじめに
    1 複合論の要点
    2 「オイラーの公式」の形成について 
         1 選択
         2 混成 
         3 統一  




弁証法試論?

2005-01-23 | 案内
 「弁証法試論」はポプュラーなことばではありません。

 MSNサーチ(beta)で検索すると、「弁証法試論」を含むサイトは見つかりませんでしたと表示されます。Googleで検索すると、「弁証法」と「試論」に分解され、500件弱のサイトが表示されます。Infoseekで検索すると(Google検索ではなく、Infoseek固有の検索)、1件だけ表示されます。

 表示されるのは、「弁証法試論―ヘーゲル弁証法の合理的核心を把握する試み」。
 これは、昨年、わたしが立ち上げたサイトです。

 弁証法試論―ヘーゲル弁証法の合理的核心を把握する試み


 このサイトは、孤立していますが、いずれ、どの検索エンジンにも検索されるようになりたいと願っています。そして、何よりも、わたしの試みに着目してもらいたいと思っています。

 「弁証法試論」は「マチウ書試論」(吉本隆明)の韻を踏んでいます。

 よろしかったら、「弁証法試論」をクリックしてみて下さい。