慶應医学部端艇部 部員日誌

部員の日常を綴ります・・・。

好きこそものの上手なれ!

2023-04-03 21:28:07 | 日誌

こんにちは。

この3月で大学を卒業した足立です。

ボート部からも卒業するにあたり、色々考えたことはあるのですが、この場をお借りしてその一端でもお伝えすることができたら幸いです。

 

高校時代全く運動をしていなかった私ですが、ほとんどの人が初心者から始めること、そして何より全員で動きを揃えて水の上を滑る美しさに惹かれてボート部に入りました。

初めて戸田のコースを見た時、こんな世界があるのかと感動したことは今でも忘れません。

 

入ってみると、想像以上にハードでした。体力的にも技術的にも難しい競技で、なかなか上手に漕げるようにならず、苦心の日々でした。「東医体○連覇!」という勧誘文句を聞いて入った私のボート人生はしかし、敗北の連続でした。

 

自分の中で最も印象的な敗北は、2年生のときの早慶レガッタです。

伸びしろに期待してもらって対校フォアに乗せてもらったものの、その期待どおりには成長できず、新人感覚が抜けないまま迎えた早慶レガッタ。結果は敗北。自身の無力さをひどく痛感したレースでしたが、それと同時に、慶應医学部端艇部というチームの大きさを感じた試合でもありました。

試合には現役部員はもちろん、たくさんのOBOGの方々が私達のフォアを応援しにきてくださり、負けてもなお笑って「頑張ったね」と励ましてくださいました。それまでの東医体や慶東戦とは違い、初めて対校クルーとして臨んだこの試合。自分たちの頑張り次第でこんなにも多くの人が悔しがったり、喜んでくれたりするのだ。そんなことに気付かされ、より一層頑張ろうと誓ったレースでした。

隅田川とボート

逆に自分の中で最も印象的な、というより唯一胸を張って勝利と言える試合はそれから1年後の早慶レガッタでした。

前哨戦のお花見レガッタでは大きくタイム差をつけられており、不安の中で臨んだこの試合。レースは始まってからずっと横並び。互いに一歩も譲らずラスト100m、桜橋を超えたあたりでレートを上げ、ほんの僅かな差で勝利しました。ゴールした瞬間の喜びようは傍から見ていると大げさに思われたかもしれませんが、私達はそれくらい嬉しかったのです。

早慶レガッタラスト100m

新型コロナウイルスの影響で活動が休止になるまでの丸3年、8つの大きな試合に出場しましたが、その中で私が勝てたのはこの1度でした。しかし不思議なもので、すごくきつい競技でも、あまり勝てなくても、いつの間にか私はボートという競技を好きになっていたようです。

 

6年生の秋、感染が多少収まり世の中が元に戻り始めた頃、海の森で行われたオリンピック記念レガッタに医学生チームとして参加しました。岸蹴りからアップの分漕、スタートスパート、ラストスパート、そして岸着け。すべてが楽しく、自分はこんなにもボートという競技が好きだったのかと自分でも驚きました。私だけではなくそこにいた全員がすごく楽しそうにしていて、このイベントに参加してよかったと心から思いました。

 

しかし現役時代を思い返すと、ボートを好き嫌いという尺度で考えたことすらなかったように思います。練習はきついし、なかなか上手くならないし、早く今日の練習が終わってほしい、早くオフになってほしい。そう願いながらひたすら耐え忍ぶ日々でした。

ただそんな中でも、全員でオールを合わせて艇速を伸ばせたとき、コックスのコールにしっかり反応できたとき、きついメニューを完遂できたときなど、楽しいと思える瞬間がたくさんあって、そういったいい記憶の蓄積で、この競技を好きになっていったのかもしれません。

 

今の現役部員の皆さんは練習量が限られる中、苦労しながら活動していることと思います。十二分に練習を積んできた他大と戦うことを考えると、試合で勝つのも容易ではなく、練習へのモチベーションも高めづらいかもしれません。しかしそんな中でも、ボートを漕いでいて楽しいと思える瞬間をたくさん見つけてもらえたらなと思います。前回よりタイムが縮んだ気がするとか、足蹴りで艇速が伸びたとか、元気に声を出せたとか、風が気持ちよかったとか、そういった小さな楽しいを積み重ねて、ボートという競技を好きになってもらえたのなら、いちボート好きの人間としてはとても嬉しいです。

 

最後になりますが、部を支えてくださっているOBOGの先生方、ボート生活をともに過ごしてくださった先輩、後輩、そして同期のみんな、本当にありがとうございました。とても充実した楽しいボート部生活でした。

 

足立