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主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

平面の極座標。

2009-10-31 00:09:41 | mathematics
今の世に生きる若者ならば一度は戦闘機もののアニメなどで敵機の位置を示すのに
「3時の方向に敵影あり!距離500!」
みたいな表現を使っているのを耳にしたことがあるだろう。

これはまさに極座標である。

この場合,自機が原点(極)であり,自機の進行方向に始線が伸び,始線の方角を時計の文字盤の12時にしているようなものである。

このように,極座標は「自己中心的世界観」の表現そのものであると言ってよいだろう。

ところで,極座標とは自分から対象までの距離 r と,自分からみた対象のある方角 θ という数値の組であるが,これと似たような「大きさ」と「向き」をもつ量といえば矢印の「ベクトル」がある。

ところが,平行移動という運動を表すベクトルは,平行移動とは相性が悪い極座標では扱いづらい。

例えば (r,θ) と (d,φ) という極座標で表された「成分」をもつベクトルの和は座標の和 (r+d,θ+φ) とはならない。

極座標と相性がいいのは原点を中心とした拡大縮小や回転といった変換である。
これらは逆に直交座標では扱いづらい。

なお,複素数は和を主体にした z=x+iy という表現と積を主体にした z=re という表現の2通りが可能である。このそれぞれが実2次元平面の直交座標と極座標に対応する。
そして 2 つの複素数 z,w について,和 z+w はベクトル的な和,すなわち平行移動に対応し,積 zw は拡大縮小と回転の合成変換に対応する。

3次元空間では残念ながら平面における複素数のような平行移動と拡大縮小・回転の2つの変換と相性のよい二重性をもった「数」は無いようである。
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