担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

それは僕も知らない。

2010-12-04 01:07:15 | もじりあーの。
第2話

「あのさ。」

夕日のきれいな放課後に,二人きりの教室で小宮が中津に話しかけた。

「何?」

ちょうど鞄に教科書とノートをしまっている最中だった中津は顔を上げ,まぶしそうに目を細めた。
それは,夕陽で輝いた輪郭に囲まれた小宮の表情がまぶしかったせいなのかもしれない。

「『キムモナベ』って何だろうね。」

遠い目をして小宮はまるで独り言のようにつぶやいた。

「!?」

中津のおでこの右斜め上あたりに,少年マガ○ンでよく使われる文字(符というのだろうか?)が重なった。

「今日学校来る途中でさ,ファミレスの脇に立ってる旗にそう書いてあったんだけど,『キムモ』って初めて聞いた。中津,知ってる?」

「それは僕も知らない―」

と言いかけた途端,『キムモナベ』と書かれた旗が風になびく光景を思い浮かべた中津はひらめいた。

「っていうか,それ,旗に書いてあった『キムチナベ』を裏から読んだんじゃないの・・・?」

どうやら,裏返った『チ』を『モ』だと思っただけだったようだ。確かに,『チ』を裏返すと『モ』に見えるが,他の文字を裏返しても,別の文字と取り違えることはない。したがって,他の文字は正しく反転し直して認識できたのだが,『チ』だけは『モ』だと認識してしまい,それだけ反転処理をしそこなったということなのだろう。

「あっ,そっか。『チ』だけ間違えて『モ』だと思っちゃったのか。まあ,よくあることだよね。」

謎が解けたせいか,晴れ晴れとした表情で話す小宮の顔を見ながら,中津は改めて小宮のことをバカワイイと思うのであった。

(了)
コメント (3)
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