英語と子育て

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日本語と英語の微妙な関係―小学校英語の教科化を考える

2013-07-08 | 英語学習
5月、阿部政権が小学校英語を今の「領域」ではなく「教科」にすると打ち出しました。中国や韓国などのアジア近隣諸国はすでに小学校において教科として英語を学習させています。

「領域」というのは道徳などと同じくくりですが、「教科」となると算数や国語と同様に‘評価’をしなくてはいけません。

現在、その評価方法については現在専門家たちが意見を出し合って討議しているところです。

では、みなさんは小学校の英語を「教科」として入れた方がいいと思いますか?

私も機会があるごとにまわりの人に聞いてみるのですが、英語を「教科」として学ぶ時の、「いい点」と「悪い点」がデータとして明確に対比されていないと感じます。これは知識不足や情報不足からくる問題だと思います。新聞でもテレビでもそうしたデータは取り上げていません。

意見の中で、たとえば、よく聞く意見が・・・・
1。国語をしっかり学ぶのが先。早くから英語を入れたら日本語がおかしくなる。
2。そんな小さいときから英語を教科として教えたら、英語嫌いが増える。
3。日本語をしっかり学んで考える力をつけるのが先。英語は中学校からで十分。

などなど。

こういう意見を聞くと、なるほど一般の人ってそう思うのか・・・・と、とても興味深い思いです。

というのは、1から3においてはカナダやヨーロッパなどのバイリンガル国家あるいは他言語国家における研究から、「いやいや、それは違うんじゃないかな」と言えるデータがあるからです。

1については、カナダのバイリンガル言語学者カミンズが「言語共有説(Common Underlying Proficiency)」という仮説で述べていますが、母語と第二言語をそれぞれ氷山として例えると、海面下でつながっていて、母語をしっかり学習とすると第二言語も効率よく発達するのです。そしてその反対もしかり。お互いにいい影響を及ぼすということです。

2については、まずどうして「英語嫌い」が増えるか根拠がはっきりしません。ある意味「英語に対する偏見」か「思い込み」があるのかもしれません。想像するに、おそらく中学高校の授業で「英語嫌い」になった方が、同じように小学校でもそういう子が増えると妄想(?)しているのかもしれません。要は、どう教えるか?どう評価するか?ということが大事なんではないでしょうか。

3については、言語学の父と言われたロシアのヴィゴツキーが「言語と思考」という著書の中で二言語の相関関係を示唆しています。言語が違えば文化が違います。ですから他言語を学べば学ぶほど思考が豊かになるということです。同様に有名なサピアとウォーフの仮説では以下のことが述べられています。

視野が広まる  複眼思考ができる  思考が柔軟になる  相対的な考え方ができる  別な考え方に対する許容度が高まる

というものです。

私のスクールには今年ベルギーの先生がいますが、ベルギーといえば他言語国家、彼の言語スキルの高さには驚かされます。きっとあっという間に日本語もマスターしてしまうでしょう。私自身も25年間、子どもたちに英語を教えていますので、前記におけるポイントは実証済み。

限られた時間数でも、
①一貫したカリキュラムのもと
②子どもたちのモティベーションを上げる効果的な指導法で
③スキルの高い先生が教えれば、
一般の方々が懸念している点は払拭されるでしょう。

願わくば小学校でも音楽の先生のように、英語の「専科教員」を採用して欲しいです。

まだまだ「小学校英語の教科化」についてはクリアにしていかねばならない点が山積みですが、島国の英語教育からなんとか抜け出して、グローバルな英語教育を目指して欲しいと願います。

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