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英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

いろんな英語 'Englishes'

2011-02-13 | バイリンガル
私のスクールには何人か外国人講師がいます  みんな素敵な先生です。

 英語のプリスクールであるインターナショナルスクールの先生は幼児教育の学位をもっているのが条件ですが、英会話スクールの方も外国語教授法(TESOL)の資格を持っているか、そしてティーチングの経験がどれくらいあるか、などが重視されます。そしてそれ以前の必須条件が「英語のネイティブ」であるということです。

 この「ネイティブ」という言葉の意味は「生まれながらの、出生地の、生まれた時からの」(ジーニアス辞典より)という意味ですが、'mother tongue'と呼ばれる「母国語」であるとは限りません。母国語同様に第二言語を小さい時から使っているいわゆる「バイリンガル」の場合、どちらもネイティブ・ランゲージになります。

 外国人講師を募集するといろんな方が応募してきてくれます 

 「アメリカ人」といっても、例えば「日系アメリカ人」のJapanese American、ほかにもKorean American, Vietnamese Americanとアジア系のアメリカ人から、European American(ヨーロッパ系アメリカ人)もいます。名前を見ると大体ファミリーの出身がわかります。アメリカ同様、オーストラリアもカナダも今や多国籍国家ですから、生粋の「~人」を捜すことのほうが難しいでしょう。

 そうなると、今まで俗に言われていた'American English'(アメリカ英語)とか'British English'(イギリス英語)のほかに多種多様の英語が存在してきます。例えば、アメリカに住むヒスパニック系の人たちが話す英語はSpanglish(スパングリッシュ)と呼ばれます。また南アフリカや香港、シンガポールなどは英語が第二言語ですので、African EnglishとかAsian Englishの呼ぶことができるでしょう。

 昨今、こうした世界中で使われている英語をひっくるめて'Englishes'と呼んでいます。

 こういう国から来る講師はみんな2つの言葉を同じように操ります。相手によって即座に言語を変えるので見ていて感心します(まあ、当たり前なんでしょうが)。

 では、どうしたらバイリンガルになるのか??
 
 子どもの脳のシナプス密度を研究していたハッテンロッカー教授は「生まれた時から二つの言語で育てるのがよい」と述べましたが、その後ニューポートの実験結果では「完全なバイリンガルになるためには3-7歳までの間に第二言語に接し始めることが必須である」と述べています。

 なるほど 

 スクールの講師にもいます、います。過去にもいました。生まれは香港だけど4歳でカナダに移住した人、生まれはベトナムだけど、2歳で渡米した人、フィリピン生まれだけど3歳でカナダ移住した人・・・・・みなさん立派な英語のネイティブでした。

 そしてもっと興味深いのは、生まれた国の文化や言語に関する知識もあるので、スクールの子どもたちに異文化体験のチャンスを提供してくれることです。これはとてもありがたいことです。

 数年前までは「うちの子にはブリティッシュ英語を教えてほしい」など首をひねるようなリクエストがありましたが、昨今はそれもなくなりました。「顔がCaucasian(白色人種)じゃないから」とクレームをいう人もいました。これは一種の「偏見」でしょう。私たちが一番子どもたちに持ってほしくないのがこの「偏見」です。

「英語」=「白色人種 Caucasians」という時代は終わりました。今やグローバル・イングリッシュの時代です。

 スクールの子どもたちにはいろんな外国人講師とのレッスンやイベントを通して、グローバル・イングリッシュに適応できる子を育て、英語を通して世界中の文化や事柄に興味を持って欲しいと思います。


 いろんな国をテーマにした「スプリングデイスクール」、ただいま参加者募集中です 
  詳細はこちら http://www.ednet.co.jp/events/2011springdayschool-ele.html

一歳のバイリンガル児

2011-01-31 | バイリンガル
先日、友人のYさんが一歳四ヶ月の息子さんJくんを連れてオフィスに遊びにきてくれました 

 このYさんとは言語学を学んだ仲で、大学生の時には時々スクールで教材作りを手伝ってくれました。カナダに渡った後、カナダの小学校の先生とご結婚され、息子さんが生まれて初めてのお里帰りです。

 お父さんは日本語が全然わかりませから、Jくんには英語で接します。一方、Yさんは英語も話せますが、私が「(日英バイリンガルにすべく)がんばって日本語だけで育ててみて」と言ったので、ずーっと日本語でJくんに話しています。この幼児期はマザリーズの影響が大きいですから、お父さんの英語と比べて、相当の日本語がわかるはずです。

 さて、オフィスでのJくん、慣れてくると歩き回り、言葉を発し始めました。Yさんが写真を見せて、「ダディはどれ?」と聞くと、'Daddy'と言って、お父さんの写真を指さします。お母さんであるYさんの言うことはすべて理解しています。

 「いないばあ、やってみて」とYさんが言うと、顔を手で隠しては「ばあ!ばあ!」とやってくれます。そのうち、床にころがっているボールを蹴りだしました。それも'Go! Go!'と言って蹴ってころがしています。こうやってお父さんと遊んでいるのでしょうか。

 年末にYさんのご実家に遊びに行った時は、カナダ人のお父さんもいらしたのですが、お父さんの英語は正確に理解して身体で反応していました。

 立派なバイリンガル児です。発話が進めば、「コードスイッチング *」も進むでしょう。

 バイリンガル児の研究では、小さい時から他言語に触れていると、概念を音でとらえるより、意味でとらえるようになるという実験結果もあります。どういうことかというと、物事の考え方もより多方面に、そして柔軟性をもった考え方ができるようになるということです (Bialystock, E. 1991*)。

 Yさんたちが暮らす村はドイツ語を話す方も多いらしく、子どもたちも遊ぶ時はドイツ語を話しているそうで、おそらく幼稚園や小学校に行けばもっとドイツ語にも触れることでしょう。ということは、バイリンガルじゃなくて「トリリンガル」になっていくのかな?

 「Jくんがどの時期にどんな言葉を話し始めるか、メモとっといて」と思わず頼んでしまいました。こんな被験者が近くにいるなんて、ほんと、Yさんが羨ましい 

 Jくんの将来の言語活動が楽しみです。

* 'Language Processing in BIlingual Children' (Ellen Bialystock 1991)
* コードスイッチング:対話の相手によって無意識に言語の種類を変える脳の働き

バイリンガルについて思うこと

2010-09-19 | バイリンガル
長男が生まれてから2歳くらいまでは英語で話しかけるようにしていました。
といっても家族で英語を話すのは私だけですから、バイリンガル教育とはほど遠いものがありましたが、そうしてみようと思った理由は2つありました。

ひとつは、幼児が2つの違う言語をどう受け止めてどう反応するか見てみたかったからです。
日本語か英語かという区別は生まれた時にありませんから、同じようにインプットされるだろう、と推測し、英語には英語で答え、日本語には日本語で答えるのだろうか(これをコードスイッチングといいます)、という単純な好奇心がありました。

二つ目は、私自身が英語のリスニングにとても苦労した経緯から、子どもには臨界期前に英語の音をインプットしたいという思いがありました。
ですから、私が話す英語以外に、お風呂や車の中ではいつも英語の歌をうたい、BGMも英語の歌をかけ、ディズニーやトーマスのビデオは吹き替えなしのものを見せていました。
外国人の友人も頻繁に家に招いていました。

長男も次男も2歳前に保育園に預けましたので、必然的に日本語が強くなりましたが、家ではBBカードで遊んだり、とにかく英語の音を継続的に聞かせたり、発音したりする工夫をしていました。

次男が5歳の時お風呂の湯船の中で、「お母さん、聞いててね」と言ったかと思うと、BBカードの文を1から16まで順番をまちがえずに流暢にすらすら 言った時にはびっくりしました。
BBカードで遊び始めてまだ3ヶ月くらいの頃でした。
乾いたスポンジが水を吸収するがごとく音を吸収しているようでした。

先日「バイリンガルを育てるー0歳からの英語教育」 湯川笑子 著  くろしお出版)を読みました。

本著はバイリンガルの研究で有名な湯川先生の子育てが中心のお話です。
ご夫婦で徹底して英語で話しお二人のお子さんを育てました。
研究のためにお子さんをつれてハワイやスウェーデンにも長期滞在されました。

ある意味でこの本の内容はケーススタディーにしかすぎないかもしれませんが、興味深かったのは、お子さんの英語および日本語の習得ー喪失ー回復のプロセスをかいま見ることができたことです。

また私自身、4歳の長男をつれてアメリカに短期留学しましたので、その時の子育てと勉強の両立の大変さなど、同じような経験もあり、思い出すことも多かったです。
また言語文化の違いからお子さんの学校不適応などの問題点も知ることができました。

湯川先生と共通の意見として、
1。幼児期において子どもの言語環境は親がコントロールできること
2。学童期はそれが難しいこと
3。子どものモティベーションをあげることが言語の維持伸張につながること

です。

特に3の点において、湯川先生がハワイの小学校で体験されたテーマ活動を中心とした授業は、子どもの興味好奇心を引き出し、さらには言語を統合的に学ぶことができる最善の方法ではないか、と書かれてありました。

ちなみに当キッズインターナショナルスクールもKECサタデークラスもこのテーマ活動をとりいれています。

「バイリンガル」がどれほどいいものなのか、必要なのか、それぞれ人によって価値観が違うでしょうから、一概には言えませんが、英語が世界共通語である以上、それを運用する能力があるにこしたことはありません。

最終的に言語というのは、「必然性」と「高いモティベーション」によって獲得し維持できるものですから、子どもが大きくなるに従って、親がコントロールすることは難しく、子ども次第ということになるでしょう。
親は子どもの様子を注意深く観察し、決して勉強として無理強いするのではなく、自ら学ぶ環境をサポートするのが望ましいでしょう。

ただ、私自身、世界で5000以上あるという言語の中でもロシア語同様にむずかしいとされている日本語を'native language'としてだけでなく、'mother tongue'としてマスターしていることに大きなアドバンテージをいつも感じます。