英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

ハードルを下げてー褒めることの大切さ

2011-02-27 | レッスン風景
ある小学生クラスでジャーナルを書いています。

 ジャーナルというのは与えられた題について書くものです。

 その日の題は「どういう時にお母さんに褒められたか?」でした。宿題として書いてくるはずでした。

 ある男の子のジャーナルを見ると白紙です。「どうしたの?」と聞くと「書けなかった」

 「どんな時に褒められた?」と聞くと頭をかかえながら「お母さんに褒められたことがない」というのです。

 驚きました  いやーそんなはずないでしょう。

 5分くらいたって聞いてみても「わからない」とのこと。これは大変!と思って、レッスン後にお母さんにたずねると、

 「そういえば、あんまり褒めた記憶がないわ」

 そこで懇談会でこの話をほかのお母様としたところ、「あら、うちもだわ」とか「あー確かに、できて当たり前と思っちゃう」「そんなこともできないの?」と言ってしまう、などなど意見がでました。

 やっぱり


 実は私にも経験があります。長男は最初の子でしたので、それなりに期待も高く、ある意味「できて当たり前」と思うところもありました。ある日彼が「ボクは母さんにあんまり褒めてもらえない」と言うのを聞いて愕然としました 

 そうだっけ?と思いながら、いろいろ考えてみると明らかに次男と差がありました。次男は二人目なので、もともとあまり期待もなく、どんな小さいことー例えば、朝ひとりで自分で起きてくるとか、弁当箱を催促されなくても自分で出して洗うとか、彼が自分でできると、

 「すごーい」 「やるなあ」という言葉が出ていました。あまり言い過ぎるので、中学生になった頃は「母さん、ぼくを馬鹿にしてるの?」とか「あのさあ、それできて普通、あんまり言うと親ばかだと思われるよ」と言われたくらいです。

 この差はどこにあるのかというと、親の設定する「ハードルの高さ」だと思います。

 親が自分の期待に合わせてハードルを勝手に設定するため、それに子どもは影響されます。

 ハードルが高いと「褒めてもらえない」 低いと「褒めてもらえる」ということになるわけです。

 では、どちらが子どもの力を伸ばすのか?

 当然、後者でしょう。子どものモティベーションを高めるのは「褒められる」ことが一番大事です。私たち大人だって褒められれば嬉しいはずです。

 私たち講師はどんな小さいことも褒めますが、毎日一緒に生活している親にとって、これは意識しないとできないことでしょう。だから裏を返せば、親に褒められるということは、子どもにとって「最高の喜び」になるわけです。

 お父さんが認めてくれている、お母さんが認めてくれているーこれが子どもの自信につながるわけです。

 欧米文化では親が子どものことをよくこういいます。

 'I'm proud of him/her.' (私は彼/彼女のことを誇りに思っている)

 最初にこの言葉を聞いた時、正直に心を打たれました。素晴らしい言葉だと思います。'I'm proud of you'と言われた子どもは揺るぎない自信をもち、自分の能力を開かせていくことでしょう。

 子どもはいてくれるだけで、その存在だけでも親にとっては至上の喜びです。

 その存在に感謝して、どうかお父さん、お母さん、期待の「ハードル」をちょこっとだけ下げて、お子さんを褒めてください。

 そうすればきっと子どもたちはもっと力を伸ばしていきます 

 

 

親子留学で思うこと

2011-02-21 | 子育て
1995年の夏、4歳の長男を連れてアメリカ、カリフォルニアに子連れ留学をしました。今でいう「親子留学」です。

 親子留学を思い立った理由は2つありました。

 ひとつは、長男がひどいアトピー性皮膚炎だったので、蒸し暑い夏から解放して症状を少しでも軽くしてやりたかったこと、もうひとつは、スクールを立ち上げて6年、日本ではなかなか学べないTESOL(外国語教授法)をしっかり学びたかったことです。

 その頃まだ「親子留学」なんて言葉はありませんでしたから、「家族をおいて子連れで海外に勉強に行く?!!」というまわりの反応に私の方が圧倒されましたが、家族と同僚の励ましのもと、私はこの夢のために着々と計画を進めました。

 当時の日本はインターネットも普及しておらず、Eメールもない時代で、大学探し、長男の保育園探し、住居探しなど情報集めに飛び回り、郵便とファックスで現地と連絡をとり、ビザの手続きからすべて自分でやらなければなりませんでした。手続きの煩雑さは予想以上でした。

 それでもなんとか出発にこぎつけ、二歳前の次男を義母と夫と実家の両親に託し、私は長男とカリフォルニアに旅立ちました。

 私が大学で授業を受けている間、長男はキャンパスの中にある保育園で過ごしました。ほとんどが大学の先生方や研究生の子弟で、それはそれは国際色豊かな保育園でした。長男に英語を教えたことはありませんでしたが、私の仕事柄、英語に慣れ親しんでいたこと、まったく人見知りをしない性格も功を奏し、彼はあっという間に園での生活にとけ込みました。

 前述のように、長男の英語習得が目的ではありませんでした。それよりも彼には異文化の中において「どんな子ともお友達になれる力」を身につけて欲しいと思っていました。最初は英語が話せませんから、身振り手振りでコミュニケーションをとり、先生やお友達が言っていることに耳を傾け、そして真似していきました。幼児が第二言語をこんなふうに吸収するのか、と目の当たりにし、毎日が驚きの連続でした。(詳細は拙著「アメリカに行こう!ー息子と私の短期留学記 近代文芸社 参照)

 私は毎週末、現地の教材ショップをまわり、スクールで活かせる絵本や教材を買い込みました。大学で言語学をかじることができ、教授法を学んだ上に現地の幼稚園や小学校を視察し、思った以上の収穫を得ることができました。

 しかしそれ以上の収穫がありました。

 ほんの一ヶ月余りの留学だったのですが、長男は「ボクは英語がわかる!」と自信をつけました。そして「おともだちがいーっぱいできて嬉しい」といい、日本へ帰るのが嫌だと言ったくらいです

 この親子留学体験の話を新聞社の友人に話したところ、新聞に連載記事を載せていただきました。テレビでも取り上げていただきました。

 そうしたら、たくさんのお問い合わせをいただきました。「私も行ってみたい」「自分の子どもにも世界を見せてやりたい」という方がほとんどでした。実際、私の話を聞かれて、その後親子留学された方が何組かおられ、今でも交流を続けています。

 お母様方にも是非、夢をもって、それを実現させていっていただきたいと思います。

 夢は実現するためにあるのです。

 お子さんと一緒に夢にチャレンジしていきましょう

いろんな英語 'Englishes'

2011-02-13 | バイリンガル
私のスクールには何人か外国人講師がいます  みんな素敵な先生です。

 英語のプリスクールであるインターナショナルスクールの先生は幼児教育の学位をもっているのが条件ですが、英会話スクールの方も外国語教授法(TESOL)の資格を持っているか、そしてティーチングの経験がどれくらいあるか、などが重視されます。そしてそれ以前の必須条件が「英語のネイティブ」であるということです。

 この「ネイティブ」という言葉の意味は「生まれながらの、出生地の、生まれた時からの」(ジーニアス辞典より)という意味ですが、'mother tongue'と呼ばれる「母国語」であるとは限りません。母国語同様に第二言語を小さい時から使っているいわゆる「バイリンガル」の場合、どちらもネイティブ・ランゲージになります。

 外国人講師を募集するといろんな方が応募してきてくれます 

 「アメリカ人」といっても、例えば「日系アメリカ人」のJapanese American、ほかにもKorean American, Vietnamese Americanとアジア系のアメリカ人から、European American(ヨーロッパ系アメリカ人)もいます。名前を見ると大体ファミリーの出身がわかります。アメリカ同様、オーストラリアもカナダも今や多国籍国家ですから、生粋の「~人」を捜すことのほうが難しいでしょう。

 そうなると、今まで俗に言われていた'American English'(アメリカ英語)とか'British English'(イギリス英語)のほかに多種多様の英語が存在してきます。例えば、アメリカに住むヒスパニック系の人たちが話す英語はSpanglish(スパングリッシュ)と呼ばれます。また南アフリカや香港、シンガポールなどは英語が第二言語ですので、African EnglishとかAsian Englishの呼ぶことができるでしょう。

 昨今、こうした世界中で使われている英語をひっくるめて'Englishes'と呼んでいます。

 こういう国から来る講師はみんな2つの言葉を同じように操ります。相手によって即座に言語を変えるので見ていて感心します(まあ、当たり前なんでしょうが)。

 では、どうしたらバイリンガルになるのか??
 
 子どもの脳のシナプス密度を研究していたハッテンロッカー教授は「生まれた時から二つの言語で育てるのがよい」と述べましたが、その後ニューポートの実験結果では「完全なバイリンガルになるためには3-7歳までの間に第二言語に接し始めることが必須である」と述べています。

 なるほど 

 スクールの講師にもいます、います。過去にもいました。生まれは香港だけど4歳でカナダに移住した人、生まれはベトナムだけど、2歳で渡米した人、フィリピン生まれだけど3歳でカナダ移住した人・・・・・みなさん立派な英語のネイティブでした。

 そしてもっと興味深いのは、生まれた国の文化や言語に関する知識もあるので、スクールの子どもたちに異文化体験のチャンスを提供してくれることです。これはとてもありがたいことです。

 数年前までは「うちの子にはブリティッシュ英語を教えてほしい」など首をひねるようなリクエストがありましたが、昨今はそれもなくなりました。「顔がCaucasian(白色人種)じゃないから」とクレームをいう人もいました。これは一種の「偏見」でしょう。私たちが一番子どもたちに持ってほしくないのがこの「偏見」です。

「英語」=「白色人種 Caucasians」という時代は終わりました。今やグローバル・イングリッシュの時代です。

 スクールの子どもたちにはいろんな外国人講師とのレッスンやイベントを通して、グローバル・イングリッシュに適応できる子を育て、英語を通して世界中の文化や事柄に興味を持って欲しいと思います。


 いろんな国をテーマにした「スプリングデイスクール」、ただいま参加者募集中です 
  詳細はこちら http://www.ednet.co.jp/events/2011springdayschool-ele.html

家庭でできること

2011-02-06 | 子育て
1月から2月にかけて各クラスでは保護者の方にレッスン状況や年間学習ゴールをご説明する懇談会を開いています。

 その中で一番多いご要望が「もっと宿題を出してください」というもの。
 そして一番多いご質問が「家庭でなにをやったらいいですか?」というもの。

 宿題に関しては、子どもの発達度に応じて、レッスンで学んだことの復習を宿題にしています。お母さんの助けが必要とするようなものは基本的に出しません。宿題というのは、自分の力でやることに意義があり、それだからこそ力がつくのです。

 そして、ご家庭でやっていただきたいこと・・・・はい、いろいろあります。

 お子さんが幼稚園や学校から帰ってきてどんなふうに過ごしているか、どういう時間帯に学習できるのか、リスニングのためのオーディオ教材をどういうタイミングで聞かせることができるのか、などなどをお母さんから伺いながら、提案をしていきます。

 それにしても、今回、驚いた実態が2つありました。

 まずひとつは、夕食時にテレビをみながら食事をしているお子さんが多いこと。
 ふたつめは、お母さんはとっても忙しいのでお子さんの話をじっくり聞いてあげることができてないこと、だからついついお子さんの一言で先にまわってなんでもしてあげちゃうこと。

 うーん、これで、お子さんのコミュニケーション能力、そして学力は伸びていくのでしょうか。

 百マス計算で有名な立命館小学校の陰山英男先生が書かれた「本当の学力をつける本」には、家庭でできることがたくさん書かれていますが、私がそのとおりと思ったのは、「ご飯の時にテレビはつけない」です。

 この著書のコメントを前杉並区教育委員会の藤原 和博先生が以下のように書かれています。(以下、抜粋)

「注目したいのは、むしろ第2章に丁寧に描かれている「家庭でできること」の数々だ。(中略)
特に著者が「テレビを1日2時間以上見る子に高学力の子はいない」と断言している部分は、子供のテレビ視聴時間が平均で2時間を超えている日本の家庭の現実からすれば注目に値するだろう。

単純な計算である。2002年度からの授業時間は小学校標準で年945時間、中学校は980時間だ。小学校は45分、中学校は50分の授業だから実授業時間は小学校で708時間、中学校で816時間。

一方1日2時間テレビを見ている子供の年間総視聴時間は730時間に上るから、既に小学校の授業時間を上回っていることになる。もし、土日にさらに1時間テレビゲームをするようなら、ディスプレーを見ている総時間が830時間となるから、中学校の授業時間も凌駕する。

時間数で“授業”は“テレビ”に負けているのだ。

私が、テレビを居間リビングからどけるか、せめて食事中につけっ放しにしないことからしか教育改革は始まらない、と考える根拠がここにある。」



 まったく同感 

 我が家では私が嫁いだ頃は、おじいちゃん、おばあちゃんがテレビ好きで、野球観戦をしながらご飯ということもありましが、私はテレビの音が騒々しくて食事をした気がしませんでした。子どもが生まれたのを契機に、ご飯中はテレビを見ない、というルールを決めました。

 ご飯を家族で一緒に食べる・・・考えてみれば一番幸せな時です。その時間をテレビに支配されてしまうなんてたまりません この時間はみんなで一日のことを話しながら食事に感謝する時間に決めました。 

 そして、お箸はちゃんと持つ、何回も噛んで味わう、三角食べをする、など食事の基本マナーをしっかり教えました。こういうマナーはテレビを見乍らではできません。

 この習慣は今でも続いています。おかげさまで、この食事中の会話で、さまざまな問題が解決できたり、子どもたちの様子がよくわかったり、そして何より、思春期を過ぎても、息子たちは一日のことを、おもしろおかしく話してくれる貴重な時間となっています。私も食事に腕をふるう甲斐があります。

 英語学習以前に大事なことを、家庭でしっかり身につけましょう。

 子育ての期間はあっという間に終わります。一日一日を有意義に過ごすためにも、子どもたちに大切なことを日々実践していってくださいね