英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

「グローバル人材」を育てる教育

2012-11-26 | 教育一般
日本の国際競争力は20年前世界一でした。しかしそれが現在、韓国・中国・台湾・マレーシアなどのアジア諸国にも抜かれて24位まで低下しています。
 学力も低下、物作り力も低下、今や日本が誇る「科学技術」も危うくなっている・・・日本の存在感の危機です

 その原因が「グローバル人材」の不足と言われて久しく、その理由のひとつが「若者の内向き志向」と言われています。

 随分前にテレビのニュースだったと思いますが、アナウンサーが道行く大学生に「留学したいと思いますか?」と聞いていましたが、そのほとんどの答えがNOだったのには私自身非常にショックを受けました

 NOの理由が「経済的に無理」というのならわかりますが、「バイトで忙しい」「日本の方がなにかと便利」「うちの住み心地がいい」という口があんぐりあいてしまうような理由を述べていました。みなさん、よっぽど苦労知らずなんでしょうね。

 一方、若者のチャレンジ精神を低下させる社会にも問題があります。日本企業の業績が低迷→新卒採用の縮小→就職活動の時期を逃さないために留学をためらう、という構図があります。

 しかし企業は低迷から抜け出すために「グローバル人材」を必要としているという矛盾があります。

 10月末放映されたNHKスペシャル「シリーズ日本新生’ 国際人‘がニッポンを救う」では内向き志向の若者と国際人として成長した人、育てる人たちの討論が繰り広げられ興味深く観ました。

 教育現場でも大きな変化が観られます。

 特にこの番組で取り上げられていた「企業が求める人材を輩出する大学」のランキングですが、1位が「秋田国際教養大学」2位が「東京大学」3位が「APU立命館アジア太平洋大学」という結果・・・こうした大学では、明らかに国際人を育てようと今までの大学教育とは異なるユニークな実践がなされています。秋田国際やAPUは留学生が半数を占めますので、基本的に英語で授業、春秋の2セメスター制です。そして両校とも2000年、2004年に設立と若い大学。

 APUに通う我が家の長男曰く「日本にいて留学状態」で、特にアジアの留学生は優秀な学生が多くて刺激的だそうです。また英語によるプレゼンテーションの授業やテストが非常に多いのも特徴でしょう。休学して海外に出る学生が多く、95%という高い就職率はこういった実践力の結果かもしれません。

 日本トップの東京大学も負けていません。秋入学実施を発表したかと思えば、先日の新聞では来年度新入生を対象にボランティアや海外留学など自主的活動を支援するため、1年間の特別休学を認める’FLY Program’を始めると発表しました。対象者には上限50万円で費用も支給するそうです。

 大学だけではありません。東京都は高校生の留学を支援する新たなプログラムとして「次世代リーダー育成道場」を開設。また文部科学省「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(通称SELHi)の指定校は英語コミュニケーション教育に力を入れ、大学顔負けのプログラムを実施しているところもあります。広島県では平成25年までにすべての高校が海外の高校と姉妹校提携を進めているそうです。

 とここまで書いて、こういう高校や大学行く以前の子どもたちにどうやって世界に目を向かせるようにしていくかと考えると私たちにも日々できることがあります。

 日本以外の国―外国に興味を持たせる:海外旅行が一番手っ取り早いかもしれませんが、TV番組でもバーチャル海外生活体験ができます。「世界の果てまで行ってQ」は我が家の息子たちにも人気番組。
 外国語教育―多くは英語教育を提供する:外国の情報を知ることができるし、外国人と対話するチャンスがあることで、もっと聞きたい、話したいという心を育てることができる。
 海外生活経験のある大人が体験談を伝える。
 家庭において、世界でどんなことが起こっているか話題にする。できれば意見を引き出す。
 外国人が参加するイベントや国内英語キャンプに参加させる。

 まずは外国人のお友達をひとりでいいから作ろうよ!―そこから世界は広がると子どもたちには伝えたいです。

「たかが英語!」ー楽天に見るグローバル人材の育成

2012-11-13 | 英語学習
言語をマスターするための一番確実なキーポイントは何かご存知ですか?

 それは「必然性」です 

 例えば、お父さんの海外駐在についていった子どもがその国の言語をマスターする・・・バイリンガルになる一番手っ取り早い方法でしょう。友達を作るのにも、学校で授業を受けるにせよ、その言語を遣わないことにはサバイバルできないのです。

 あるいは、例えばベルギーのようにまわりを他言語国家に囲まれていると、普通にバイリンガルどころかトリリンガル(三か国後話者)とかクワトロリンガル(四カ国語話者)になります。街のサインもテレビ番組も3-4カ国になっていますから、同時に複数言語をマスターしていくわけです。これも生活の上での「必然性」です。

 それに相反するのが日本。海に囲まれた単一民族で単一言語の国・・・こういう国も珍しいでしょう。

 英語なんて話せなくたって平気!ぜーんぜん関係ないよ!・・・なんて思っていませんか?

 この現状に危機感を抱いて、会社の中はすべて「英語」!を目指したのが、楽天です。ユニクロ同様、大きなニュースになりましたから、ご存知の方も多いはず。

 私自身「そんなことできるんかなあ」と正直思いました。

 しかし、できるんですね  

 社長の三木谷さんが著書「たかが英語!」で書いているように、社員の9割が英語ができないのです。それを2年間でマスターさせようとするこの大きな計画。

 三木谷さんは2年間で1000時間を目標に様々な方法で社員をサポートし、「英語公用語化」を進めます。

 どうしてこんな思いきったことをしたのか?

 日本のガラパゴス化を憂い、世界で生き残るために、楽天を、そして日本をグローバルな国家にしていく、という信念を実現してくためです。彼の信念に基づいたビジョンが本当に素晴らしいです。
 
       

 この本を読んでいて共感した点が多々ありました。

  グローバル社会には英語が不可欠→海外と取引の話が持ち上がってから英語を学んでいては遅い。英語を学んでいれば海外とのコミュニケーションがスムーズになって取引が増え、グローバル企業に成長できる(実際、楽天は英語公用化を進めてから海外取引が数段増えた)。

  英語はツール、仕事に必要なツール→仕事にパソコンが必要なら、パソコンを学ぶ。英語が必要なら英語を学ぶ、これ当たり前のこと。

  英語で話すと論理的にな話し方になる→これは日本語と英語の大きな違いですね。日本語と違って、英語は結論をまず最初に、そして理由を箇条書きのように明確に述べていきます。

  言語モードを切り替えて「翻訳」はやめる→つたない英語でも結構、とにかくなんとかしゃべる、しゃべってみる・・・そういう訓練が必要。そういう環境が必要。


 この本には社員の悪戦苦闘レポートも載っていて興味深いです。みなさん涙ぐましい努力をしていらっしゃる。

 その中でも40代半ばの役員の方のレポートは抱腹絶倒・・・「おじさんパワー爆発」とあります。(以下、p.66より引用)

 『楽天に入る前は英語化するなんてきいていませんでした。(中略)前の会社にいた時も誰かが「オポチュニティーが」など言おうものなら、「ここは日本なんだから日本語を使え」と言っていました。
 初めてのTOEICが400点台。僕のターゲットスコアは800点台。こんなスコアを取るのは絶対無理だと思って途方にくれていました。
 (中略)週末は家族に「僕はここにいないと思ってくれ」と必死で勉強しました。』

 この方、結局830点をとりました。必死にやればできるんだということを証明してくれています。素晴らしいな 


 さあ、みなさんも英語を本気でやりませんか? 

 グローバルな人間になって、これからの日本を元気な国にして一緒に支えていきましょう 

言語モードを切り替える

2012-11-07 | 英語学習
先日お嬢さんがカナダにホームステイに行ったので、ホストファミリーに手紙を書きたいから英語に訳して欲しいと友人に頼まれました。

 「娘はみなさんの家族とステイできて幸せでした。ありがとうございます。・・・・」

 これを読んで、何とも釈然としない感じがしました。訳すことが嫌だということではありません。これくらいの文なら普通書けるはずだろう・・・と思ったのです。

 この文のレベルなら中学校英語で十分書けるのです。それでも 「英語は苦手なの、全然わかんないし」と彼女は言います。

 「私が英語が全然できないものだから」とおっしゃる保護者の方、私のスクールにも多々いらっしゃいます。

 私たち日本人は中学と高校で英語を学習します。週3日英語の授業があるとして、それに宿題などの家庭学習や試験勉強の時間を入れれば、おそらく平均して毎日1時間くらいは勉強しているでしょう。

 それを6年続けているわけです。365時間×6年間=2190時間

 すごい時間です。これだけの時間勉強して英語がものにできない、ましてや苦手意識を残すような日本の英語教育ってなんなんでしょうか?

 私なんぞは「詐欺」じゃないかと思ってしまいます 


 以前、JICAの青年海外協力隊でフランス語圏のアフリカの国に行かれたM氏の話を聞きました。

 私  「フランス語はもともと話せたんですか?」
 M氏 「いや、全然」「赴任が決まってからJICAに三ヶ月缶詰にされてマスターしました」
    「1000時間が目標なんです」

 聞くところによるとJICAの寮にはいって、一日12時間フランス語を勉強していたんだそうです。おそらく寝る時間とお風呂に入る時間以外はフランス語漬けだったのでしょう。相当厳しかったそうですが、みごと会話レベルまで上達しました。

 彼曰く、1000時間勉強すればマスターできると 

 私にも似たような経験があります。36歳で社会人編入枠を使って大学の3年生に入り、言語学を学びました。その時、単位の関係でとらなくてはいけなかった第二言語・・・フランス語を選んだのです。

 毎週1.5時間の授業を2コマ(会話と文法)を2年間学習しました。私はフランス語に憧れていたこともあって、これをチャンスにものしたいと思っていましたので、うちでもかなり勉強しました。文法と単語の試験はほぼ満点をとっていましたし、時間があればフランス語のテープを聞き、テレビのフランス語講座も見ていました。

 おかげで卒業後、フランスに旅行しましたが、レストランのオーダーも買い物も片言ながらフランス語でできましたし、ホテルのオーナーとも会話できました。

 今は全然使っていないので、忘れてしまっているものも多いと思いますが、「自転車の乗り方」と一緒で、2-3週間どっぷりフランス語に浸かれば、きっと戻ってくると思います。


 要するにどれだけ「目標言語漬けにするか」・・・・言語モードを切り替えることで、学習効果を上げれるんじゃないかと思います。

 そういう意味で、日本の英語の授業は英語ですべきだと、私は思います。

 いちいち頭の中で翻訳するのではなく、とりあえず「話す」「聞く」・・・片言でもサバイバルする時間が絶対的に必要です。

 アメリカではフランス語はフランス語で教えてくれます。ドイツ語はドイツ語で教わります。

 日本は英語を日本語で教える・・・ここが問題。いつまでもこれをやっていると日本人の英語力は絶対に伸びない。現に伸びているどころか、アジア近隣諸国にあっという間に抜かされました。

 国家戦略的に政府は日本の英語教育に取り組まないといけないんじゃないか、とほとんど危機感に近い想いでいます。

 なんとか'All English'の波を広げたいものです 

英会話スクール? プリスクール?

2012-11-01 | 教育一般
先日、雑誌の取材インタビューを受けました。

 事前の依頼は「英語を習得するには、英会話スクールがいいんでしょうか? プリスクールがいいんでしょうか? 専門的立場からご意見を伺わせてください」ということでした。

 最初、質問の意味がよくわからないので困りました。  よくよく聞いてみると、最近のママたちは英語を習わせるために幼児期にプリスクールに通わせたいと思うのだそうです。

 ちょっと、びっくり 

 確かに私たちがインターナショナルスクールを始めた頃、名古屋市および近郊では片手で足りる数だったのが、今では私たちのまわりの区だけでも、「~インターナショナルスクール」とか「~プリスクール」という名前のものが20校を超えるのです。

 でもね・・・ 本当に「プリスクールなの?」と思うんです。

 私が役員をしている会社には英語を学ぶ「英会話スクール」と英語で保育をする「インターナショナルスクール」がありますが、この2つは全く異なるものです。

 「英会話スクール」は、言語専門の先生が行う「言語を学ぶためのスクール」ですが、「インターナショナルプリスクール」は、英語教育よりも「心身の発達」を主とした教育理念が優先され、たまたま英語で保育されている「幼稚園」なのです。

 当たり前ですが、日本の幼稚園や保育園の先生が資格を持って、国の教育指針に従って子どもたちを教育します。ですから、私のところの「キッズインターナショナルスクール」の先生たちも英語圏の幼児教育資格を持っています。専門知識を駆使して、子どもたちの教育に全力を尽くします。

 一方、英会話の先生は「外国語教授法」を学んでいます。短い時間で効率的に言語としての英語を教えます。

 ですから、当然、この2つのゴールもアプローチも違います。

 いろいろ調べてみると、幼児教育の資格のない外国人講師がプリスクールで教えているようです。五感と身体の発達をさせなくてはいけない大事な幼児期を、ただ「英語だから」という理由でそういうスクールに子どもを通わせていいのかしら?

 幼児期には「英語」よりも大事なものがいっぱいあるんです。

 例えば「好奇心」とか「自分を表現する力」とか。こういうものを小さい時にしっかり育てておかないと、あとから英語の知識がのっかっても、英語をしゃべるなんてことはできないのです。

 もちろん、幼児期に外国語に触れて興味を持たせることは大事です。バイリンガル教育の研究者であるBialystokやCuminsは、多々の実験と研究から「外国語を学ぶと思考が柔軟になる」と発表しました。多文化にふれることは刺激にもなりますし、「相手の言っていることをわかりたい、相手にわかってもらいたい」という欲求を高め、それが言語教育への前向きな姿勢を育てます。

 週1回の英会話レッスンでも立派に成人して海外で活躍している人を、私はたくさん知っています。私のように幼児期に英語教育を受けてなくても、「成人バイリンガル」として外国人と一緒に毎日働いている人間もいます。

 大事なのは「英語に興味を持つこと」そして「自分で勉強する意欲と姿勢を身につける」ことではないでしょうか。

 まちがっても「うちの子はプリに通っているのよ」なーんて一種のステータスにならないといいな、と思います。

 幼児期が人間形成に大きな影響を及ぼしますから、しっかり大人が子どもを導いてあげたいですね。