ヴァイオリンとフルートのRio

ヴァイオリンとフルートに取り組んでいます。

古い日本の歌の歌詞

2015年07月31日 08時50分25秒 | 音楽
 日本的情緒に関するとりとめのない話、情緒どころか冗長になりそうな気配。

 明治以降、日本で作られた歌曲、あるいは輸入した曲に日本で詩を付けたものが次第に歌われなくなっています。歌詞が文語体で難しい漢語を含み、子どもには難解である上、社会状況の変化により内容がピンと来なくなった事も理由と思います。

 「荒城の月」の「春高楼の花の宴・・・」、隅田川で花見をして浅草ビューホテルで宴会をする意味だと言う珍解釈も通用しそうに思いますが、趣がまるで違いますね。高楼は高層ビルではなく、せいぜい数階建ての建物かお城のやぐら。同じ「こうろう」でも紅楼はピンクっぽくなり遊郭を意味します。

 「我は海の子」の歌詞にある「とまや」。漢字では苫屋と書き、苫は茅などを編んだもの。屋は建物、小屋の意味なので、分かりやすく言えば「むしろ」で屋根をふいた小屋。現代風に言えば超ローコスト住宅。

 「埴生の宿」、タイトルの意味は上記の「とまや」に劣らぬ超ローコスト住宅の事で、具体的には床も畳も無い縄文時代を思わせる竪穴住居のようなもの。奈良時代になっても下級官吏、例えば万葉集の山上憶良はこんな家に住んでいたと聞いた事があります。
 歌詞の最初は「埴生の宿もわが宿 玉のよそい うらやまじ・・・」、大人でも意味不明。大雑把に言えば「こんなしょぼい家でも我が家、玉(=宝石)で飾ったよその家は決してうらやましくない」と言うような意味。なお、埴生と埴輪(はにわ)、地名の羽生(はにゅう)の語源には共通性があるらしい。

 「兎追いし彼の山、子ブナ釣りし彼の川」で知られる「故郷」は今でもよく歌われます。「兎追いし」のくだり、金沢出身の人が子どもの頃、小学校から帰ると兎を獲りに行ったと話していました。今は「兎美味しい」と思っている子どもが多いとか。
 「かのがわ」と言えば伊豆に狩野川があります。作詞者高野辰之の故郷の長野県中野市の特定の山と川を指すとの説が最有力とも言われます。文学に実在のモデルを求めるのはいかがなものかな。
 彼の山、彼の川の彼は彼氏の事ではなく「あっち」、分かりやすく言えばthatですね。彼の反対は我。合わせると彼我(ひが)、ついでに彼岸はあっちの岸すなわち対岸を指します。対するこっちはこの世。

 あっちこっちで連想的に思い出しましたが、だいぶ以前に早朝の青森発弘前行に乗ったら女子高校生で満席状態。互いに大声でしゃべる言葉がまるで外国語。ようやく分かったのは、一人称単数は「わ」で係助詞は「は」、二人称単数は「な」で係助詞は「ば」、と言う事。「わ」は我または吾、なは汝と言う事かな。乗車中、「わわー」と「なばー」が絶えず飛び交っていました。「わたしは」、「あんたは」の意味。言葉は難解ながら美人が多かった印象が残っています。

 讃美歌312番の「いつくしみふかき」、宗教をまるで信じない私でも葬式の際に歌えます。キリスト教系の幼稚園に通った効用の一つ。この歌は「星の界(よ)」の歌詞でも知られていて、「星の界」の歌詞にある「窮理(きゅうり)の船」と言う言葉が出てきます。お盆に胡瓜や茄子に割り箸を刺して馬や牛の形にして亡くなった方の乗り物とする風習と誤解されそう。でも胡瓜を船の形にするなら丸木舟。そんなの聞いた事が有りません。
 窮理の文字通りの意味は理屈をきわめると言う事で、窮理の船は歌詞の前後の関係から川の流れに船を出すことになぞらえたものと思います。福沢諭吉が物理学の事を窮理と名付けた事があります。同様に化学は舎密(しゃみつ)と名付けました。壇密と同様、お経に出てきそうな文字ばかり。

 最後に不謹慎ながら国家の「君が代」。大相撲の千秋楽で歌っているのを聞くと「千代に八千代に」の部分が「千代にや、千代に・・・」と聞こえて、一昔前なら不敬に当たります。千代にの「に」から八千代の「や」まで四度急上昇するため、ここまで昇って息を継ぐ人が多いせいかな。こんな歌い方をすると意味が違って来てしまいます。それにこの急上昇がグリッサンドになるのは「君が代」の歌い方をまともに教わっていない証拠。そう言えば国歌も大学歌もまともに習った記憶がありません。小学校の校歌だけは在校時に新たに作られたため、ちゃんと習いました。


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