トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

blogramランキング参加中

blogram投票ボタン

ふれあいこともまつり(いちょうホール・八王子市)/『はこ/BOXES じいちゃんのオルゴール♪』

2010-03-09 01:42:19 | 演劇・舞台
 3月7日㈰ 念願のデフ・パペット・シアター・ひとみの舞台を観る。
劇団の名前のひとみに関しては、前から、命名の理由が疑問だった。子ども時代、夕方になると必ず観ていたNHKで放送していた人形劇「ひょっこりひょうたん島」の人形製作と操作が「人形劇団ひとみ座」よるもので、その劇団の名前との関係が知りたかったのだ。結局、デフ・パペット・シアター・ひとみがひとみ座を母体に1980年に設立されたことを知って納得した。また、この劇団の「目で見て楽しめる舞台を」との趣旨も名前の中の「ひとみ」に込められているそうだ。

 現在は、20代から60代の団員8名のうち、2人がろう者である。

 代表の善岡修さん(34)は、手話サークルに宣伝に来てくれたそうだが、生憎とその日は、僕はサークルを欠席していたので、話を聞けなくて残念であった。舞台当日は、耳の日フェスティバルと重なったために、サークルからの参加者が少なかった。

 デフ・パペット・シアター・ひとみの公演は、日本ろう者劇団との共演「真夏の夜の夢」を、以前にHNK教育テレビで見た事があるが、実演は初めてで、ふれあいこどもまつりのチラシで公演の事を知ってから、さっそっくチケットを買い求めて、楽しみに待っていた。

 今回の作品『はこ/BOXES じいちゃんのオルゴール♪』は、箱がたくさん出てきて大活躍する。箱が、色々なものを表現する。この舞台では、電気製品などに変身するのだが、その造形が面白かった。また、箱の中から、登場人物のある3世代の家庭の家族や、彼らに関係するものが登場したりして、上手い使い方に驚いた。また、観客の中の聴覚障害者のためにも、楽器の生演奏の時には、その音楽を、今回の劇の場合は、箱の動きや色で、視覚的に表現した。もちろん、箱自体も、叩くことによって、立派な打楽器と化している。

 物語は、戦前、少年が幼馴染の少女に恋をしますが、気持ちがいたずらという行為になってしまったり、その不器用ともいえるプロポーズの連続も、終戦になってやっと実ったものでした。その間、戦争に召集されます。戦争の愚かしさは、人形だから出来る動きを使って、箱も大活躍で、戯画化して描かれていました。
 やがて、二人の間には娘が生まれます。そして、時代も電化の時代を迎えます。次から次へ登場する電気製品や、機械のせいで、暮らしは便利になっていきますが、人と人との間の心の結びつきもだんだんと疎遠なものになってしまいます。でも、まだ、3人の家庭には、夫婦・親子の結びつきは強かった。
 娘は成長し、会社員の男性と結婚をしますが、間もなく、父親が、文明の利器である自動車事故でこの世を去ってしまいます。
 時は流れ、いよいよ生活は新たな技術の開発で便利になっていきますが、母親となった娘は、テレビに夢中、夫は、会社で仕事に追われています。彼らの間に生まれた息子も、テレビゲームに夢中で、この家庭にも、それぞれの気持ちがばらばらな状態が続きます。自分たちの周りに壁を作って。
 そんな時、おばあちゃんが、おじいちゃんが残してくれたオルゴールの箱を取り出しました。おじいちゃんがおばあちゃんにプレゼントした思い出のオルゴールから、懐かしいメロディーが流れてきます。それぞれの家族の胸に沁み込むメロディーが。家族の心に再び、あの懐かしい、温かい気持ちがよみがえってきます。

 劇団の25周年に作られた作品です。セリフのない劇、人形とパントマイムする人間が、舞台で掛け合う世界。

 会場には、知的障害児・者の仲間の姿もたくさん見えました。誰でも、楽しめる劇団を続けていってほしいものです。

デフ・パペット・シアター・ひとみ HP