医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

山田由紀子 弁護過誤訴訟事件(県民合同法律事務所)

2010-07-08 23:11:13 | 傍聴記
「元入所者女性 弁護士を提訴 香取学園問題」

 社会福祉法人香取学園(東庄町)の知的障害者施設の元入所者女性(42)が、同学園職員の暴行や過失で足に障害が残ったなどとして2度にわたり損害賠償を求めた訴訟をめぐり、女性側が15日までに、1度目の訴訟で女性側の弁護団長を務めた県弁護士会の女性弁護士に対し、500万円の賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こした。
 女性側は訴状で「職員が足をけった暴行の予備的主張として、リハビリ時の過失をもっと早く主張していれば、損害賠償請求が認められたはず」などと、弁護士の過失を主張。
 被告の女性弁護士は「訴状が届いておらず、詳しいことはお話できない。こうなってしまったことは残念。判決に納得がいかないのはもっともで、私も不服。ただ、弁護活動に過誤はなかった」とした。
 女性側は2001年に1度目の提訴。判決で、同施設職員により手や足をつねられた一部の体罰のみが認められ、「左足をけられた」という主張は認定されなかった。
2010年1月26日 千葉日報

上記の民事第5部(仲戸川隆人裁判長)で開かれた裁判を傍聴しました。法廷は、代理人の森健市弁護士、車椅子姿の元入所者女性とご両親が原告側の席に座り、裁判支援者の方々が10名ほど傍聴されていました。被告の山田由紀子弁護士は、本人訴訟で応訴しており、特に悪びれる様子もなく、裁判所と淡々と次回の準備書面の提出の期限のやり取りをして足早に法廷を後にしました。同弁護士は、過去に野村病院事件(医療過誤判例百選、判例時報1513号)という有名な医療過誤事件の弁護団に加わっていた事もあり、本件訴訟での態度等が注目される。また1度目の香取学園訴訟における平成13年の千葉地裁提訴時の民事第5部右陪席裁判官は菅原崇判事であった。

「香取学園入所者「体罰、15年受けた」 賠償2億円求め提訴」

 知的障害者更生施設で職員から体罰を受けたとして、千葉市の女性(34)が社会福祉法人香取学園(石毛博理事長)と当時の職員4人、県を相手取り、約2億円の損害賠償を求める訴訟を6日、千葉地裁に起こした。
 訴状などによると、女性は香取学園の瑞穂寮に入所してから15年間にわたって体罰を受け続け、昨年4月には、女性職員(22)から顔を殴られ左足を強くけられて骨折し、車いすの生活を余儀なくされた、と主張する。
 香取学園は職員の体罰を放置、容認し、県も同学園を調査し、もっと早く改善勧告を出すことができたのにしなかった、などとしている。
 訴えられた職員3人は、入所中の女性の両手の甲にたばこの火を数回押しつけ、約2週間のやけどを負わせた傷害の罪で、今年1月、罰金10万円の略式命令を受けた。
 施設内での体罰を巡っては、県が昨年8月と11月に、同学園に改善勧告を出した。
 女性の父(65)は提訴後の記者会見で「暴行事件があった事実を香取学園は隠すが、泣き寝入りはしない。心に強い憤りを持っている」と訴えた。原告側代理人の山田由紀子弁護士は「本人の損害を埋め合わせるだけでなく、施設内虐待をなくしたい、という思いから訴訟に踏み切った」と話した。
 香取学園の石毛理事長は「まだ訴状を見ていないので判断できない。県と協議の上で対応したい」とした。
2001年06月07日 朝日新聞朝刊

「香取学園「体罰」、賠償請求を棄却 千葉地裁が判決」

 知的障害者更生施設で職員から体罰を受けたとして、千葉市の女性(38)が社会福祉法人香取学園(東庄町)と当時の女性職員や県を相手取り、約2億円の損害賠償を求めていた訴訟で、千葉地裁(安藤裕子裁判長)は「(原告の発言が)信用性が高いとは言えない」などとして、県と女性職員に対する損害賠償請求を棄却した。一方で判決は、学園側にも一部体罰や安全配慮義務違反があったとして、同学園に100万円の支払いを命じた。原告側は控訴する方針。
 原告側は、女性が香取学園に入所してから15年間にわたって体罰を受け続け、00年4月には女性職員から左足を強くけられるなどして骨折し、車いすの生活を余儀なくされた、と主張していた。
2005年06月17日 朝日新聞朝刊


「原告の訴え却下 地裁「主張は蒸し返し」 香取学園リハビリ訴訟」

 知的障害者施設に入所していた女性がリハビリによりひざに後遺症が残ったとして、女性とその両親が東庄町の社会福祉法人「香取学園」に対し損害賠償を求めていた訴訟の判決が17日、千葉地裁であった。菅原崇裁判長は「原告の主張は前訴の実質的な蒸し返しにすぎない」として訴えを却下した。原告側は判決を不服として控訴する方針。
 判決は「前回訴訟のときから早期にリハビリ時の過失を主張することは可能であった」とし、「さらに審議を継続することは被告の地位を長期間不安定な状態に置くことになり、信義則に反する」として訴えを退けた。
 訴えなどによると、原告(41)は86年6月から約15年、同学園運営の知的障害者施設「瑞穂寮」に入所していた。原告側は、00年4月17日、前年に骨折していた原告の左ひざを当時の職員がリハビリとして約200回屈伸を繰り返し、その後遺症によって歩けなくなったとして学園側の安全配慮義務違反を主張していた。
 学園をめぐっては、原告側が01年6月、職員による暴力、たばこの火を押しつけられてやけどを負わされた件などについて学園側や県を千葉地裁に提訴、一部暴力とやけどについてそれぞれ学園側の体罰が認定され、06年の控訴審判決が確定している。被告の学園側は「内容が前回訴訟と同じだ」と反訴し、原告の訴えを認めて審理を続けるかが争点となっていた。
 判決後、会見した原告の父は「リハビリの過失については被告側の看護記録の開示が遅れて前回訴訟の途中で分かったことで、主張も不完全だった」と悔やみ、妻も「娘はこれからも一生車いすで過ごさなければならない。弱い立場の知的障害者の事情をくんで認めてほしかった」と悔しさをみせたが、康次郎さんは「控訴してまた新たに闘っていきたい」と語った。
2008年11月18日 朝日新聞朝刊

傷害罪で有罪判決を受けた元職員3名の代理人弁護士が福武公子弁護士、香取学園の代理人弁護士1度目と2度目共に廣瀬理夫、伊藤さやか弁護士。
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