拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション21/カズさんのパート「新しい仕組み」

2012-02-23 | ニッポンジン!


シンジへ。

お疲れ~、カズです。

リーダー論の話は面白いね。

日本でぐいぐい引っ張っていくタイプのリーダと言えば、思いつくのがワンマン社長位だけれど、どちらかというとその言葉も、ネガティブなイメージさえある。

出る杭打たれる日本の文化では、絶対的なリーダーシップは育ちづらいのかもしれないな。

郵政民営化をぶちあげた日本の元総理大臣も、元々永田町では「変人」と言われていて、政治パフォーマンスもエンターテイメント的な印象が強かったし。

日本の大企業のリーダーは多くの場合が、会議室での議長的な役割と、承認決済のハンコつきや数字管理に終始することも少なく無いから、人柄重視の「調整型リーダー」が、日本では多いというのはその通りなのかも。


それと、円高の影響で"日本で作って世界で売る"から、"日本で管理しながら、現地で作って現地で売る"にシフトしている話は興味深いね。


そういえば今年結婚10周年を記念して、昔ダイビングが好きだった嫁のみさ子の希望で、GWに1週間、紅海リゾートのシャルム・エル・シェイクへ、家族旅行で行ったんだ。

ギター抱えて路上を巡る一人旅は多かったけれど、ひたすら家族サービスをする旅行なんて本当に久しぶりだったから、高級ホテルも慣れなくて居心地が悪いし(格安のドミトリーの方が、居心地が良い自分も嫌なんだけれど)、ある意味こんなに旅がキツイと感じたのは久しぶりだったよ。(苦笑)


そのエジプトの紅海リゾートで、タクシーに乗った時の話。


タクシーの運転手が、オレ達が日本人だってわかると、日本の製品は優秀だってほめ出したんだ。

まあこれは世界のあちこちで同じようなことがあるから、いつものことだと思っていたのだけれど、この日はちょっと違ったんだ。


その運転手の話では、以前は安くてすぐ壊れる中国製品と、高いけれど殆ど壊れない優秀な日本製品との間で、彼らは日本製を選んでいたらしい。

でも最近はそこそこの品質で、安価な韓国製品が入ってきて、一部の金持ちは今も日本製を選ぶけれど、多くの人々は皆、韓国製品で充分と思っていると言うんだ。

もう韓国製品があるから、日本製品は彼らにとって必要ではないとね。


で、実際にあたりを見渡すと、あっちでもこっちでも、そしてオレ達が乗っているタクシーも、ヒュンダイなんだよ。

そしてその運転手は、オレ達にサムスンの携帯電話を見せたんだ。


今や日本製品が世界で戦う上で、最大のライバルは韓国で、国によっては一流の日本製品が、ことごとく韓国製品に、市場を喰われてしまっていたりする。

オレも仕事で、アジアや中国への日本の中小企業進出に関わっているけれど、関税対応(FTA)等も含めて、官民一体となった韓国には、日本の先を行かれている印象がある。

そして中国もすごいスピードで躍進していて、そのうちGDPだけじゃなくて製品でも、日本は中国にさえ市場を喰われてしまうんじゃないかっていう危機感があるんだ。


これから日本が世界で戦い、より大きな成果を収める為には、「新しい仕組み」が必要になっていると実感しているけれど、シンジが今とりくんでいる、日本で品質管理をして、現地で生産、販売する為のシステムっていうのも、その新しい仕組みを再構築する流れの1つなんだと思う。


第二次世界大戦後、オレ達の両親の世代が頑張ったおかげで、オレ達は気軽に海外にも行けるし、世界でも屈指の豊かな生活を享受できている。

でもそれは大きな歴史の流れでみた時に、わずか半世紀程の短い時間の中での話でしかないんだよ。

幕末に黒船が来た時も、欧米の列強と比べて日本は発展途上国だったし、このままじゃいつかまた日本は、中国や韓国より発展していない、極東の途上国に逆戻りする可能性だってあると思うんだ。

歴史上世界で最も反映した時代を持つ、エジプトやギリシャ、モンゴル等の今の現状を考えるとね。


これからの日本の未来の為に、その新しい仕組みを作るのは、オレ達、シンジ達の世代の仕事なんだと、オレは思っているよ。




P.S.
写真はシャルム・エル・シェイクの、ホテル前の海で撮った1枚だよ。

船にも乗らずに、こんなに魚がうじゃうじゃいたのは、初めての体験だった。

日本でも身の周りにある製品を裏返せば、メイド・イン・韓国や中国等のアジア製品が、うじゃうじゃあることに気付くのと同じか???



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