拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション14/シンジのパート「去る人、来る人」

2012-02-06 | ニッポンジン!


拝啓、カズさん。シンジです。

ちょっと聞いて下さいよ。

戦友と呼んでもいい僕の同僚、ゲッツェが常駐先を卒業して、自社のフランクフルト・オフィスに戻ることになったんです。

元々彼は自社から1年の期限つきで常駐に来ていたので、1年半いてくれたのはかなり助かったのですが、現地社員として同時期入社で、すごくいい奴だったので、寂しい限りです。
(ちなみに僕も自社から当初1~2年と言われていましたが、当分後任は見つからない雰囲気です)


後任は南ドイツのジモピーのバウムさんで、年はまだ40過ぎなんですが、何だかお年寄りみたいに、ボーっとしているおじさんなんです。

まずはコミュニケーションしなきゃということで、趣味は何?って聞いてみたんですが、"蛇を飼うこと"らしく、休日は家で蛇達と、くつろいでいるそうです。

バウムさんに朝挨拶すると、数秒の間が空いた後、「ヘーローー」とゆっくり返してくれるんですが、どうやら彼は僕と違う時間の中で生きている人みたいなんです。
(お笑いのボケ担当なら、その"間"は天性のものかもしれませんが)

イケメン20代のフレンドリーなゲッツェは、さすがに片っ端からお客さんの受付や、秘書のドイチェ・ガールズ達をナンパしまくっていただけあって、いつも明るく「ハーイ、マイフレーンド」と挨拶を返してくれていたのですが(僕の中で彼は、ちび○子ちゃんの花輪君のイメージです)、これからバウムさんとうまくやっていけるのか、少し心配です。(汗)


日本人ならボケた相手に突っ込むところですが、いつも遠い目をしている彼に、思いっきり突っ込んでいいものか迷っています。

ドイツ語でバウムは"木"を意味するらしく、ひょっとして彼、森に帰りたいのかもしれません。
(確かにここシュトゥットガルトは、ドイツで"黒い森地方"と呼ばれていますが)


それよりも大変なのは、今度始まるメールシステム移行プロジェクトの為、お客さんの日本人担当者が長期出張でやってきたんですが、それがまたスゴイ人なんです。

増田さんというその長期出張者は、僕より5歳も年下(26歳)なのに、自分の事を"ワシ"と言い、僕のことを"ワレ"って呼びます。

ホントはすごく若いのに、昔風の色のついたサングラスっぽいメガネをかけていて、何だか滅茶苦茶おっさん臭い人なんです。
(でもなぜか髪型は、ソフトモヒカンなんですけれど)


朝挨拶しても無視されるし、僕達のこと「業者~業者~」と呼びます。
(でも訛っているので、僕の耳には時々"餃子"って聞こえます。)

同じお客さんでも、家族ぐるみでお付き合いをしていて、いつも公私にわたって色々と気遣いをして下さるシュトゥットガルトの古谷さんや、日本の情報システム部でもアメリカに駐在のご経験があり、いつも「ありがとうございます。本当に助かっています」と言って下さる、畠山さんとは大違いです。


僕の前任者は問題を起こしクビになったものの、僕とゲッツェはこの1年間、システム保守や昨年のセキュリティ導入プロジェクトで成果をあげ、欧州のお客さん達から信頼を得ていたんです。

でも増田さんは「ドイツなんかにおるエンジニアは使い物にならへんから、全部ワシの知っている日本の業者でやるんや」と言っているらしく、僕達はメールシステム移行プロジェクトから外されてしまったんです。

今回はシュトゥットガルトにある古いメールサーバを、日本のデータセンターに新しく導入するメールシステムへ移行するプロジェクトなんですけれど、「欧州は多言語の問題もあるので、日本だけで全てを行うのは、止められた方がいいです」とご助言しているのですが、「もう全部決まったことなので」と言われて、こちらの話を聞いてくれません。


自社の担当営業の赤井さんにも、このままでは大変なことになるから、再考戴くようお願いして下さいと話したのですが、「それは大変ですねですね、何とかしないと」と一旦は聞いてくれたものの、玉砕したらしく、「お客さんが決めたことですので」と翌日に言われ、簡単に撃沈してしまいました。

本当に大丈夫なんだろうか。心配だなあ、、、。


P.S.
ドイツも"ゴールデン・オクトーバー"と呼ばれる、紅葉の季節になりました。

紅葉といっても黄金色になる木が多いので、ゴールデンなんでしょうけれど。

バウムさん、森に帰りたいのかなあ。(そのキャラづけ、押し過ぎですか?笑)


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