拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション21/シンジのパート「トップダウン型の欧米社会と、現場主義の日本社会???」

2012-02-22 | ニッポンジン!


拝啓、カズさん。シンジです。

今僕は、新しく担当することになったプロジェクトの関係で、ロンドンに来ています。

日系製造業のお客さんの、製品の品質管理を行うITシステム導入における、プロジェクト・マネージメントが、僕の今回の仕事です。


PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)というこのシステムは、製品の設計から製造、部品の調達や管理、出荷後のサポートまでを、1つのシステムで一貫して行い、各工程のスピードアップや品質管理に役立てるものです。

今回はネットワークを介して、イギリスとドイツ、そして日本で一緒に使うシステムなのですが、PLMの先進国はドイツやフランスらしく、ドイツのシステム開発会社を使うので、ウチのドイツ拠点がイギリスを含めてサポートすることになりました。


さて、昨晩このお客さんの拠点長である柴崎さんと、ロンドン市内の日本料理店で食事をした際のこと。

今回のPLMシステム導入の経緯をお聞きしたのですが、なかなか興味深いお話を伺いました。


柴崎さん曰く、今円高が進み、製品コストの関係で、欧州等の現地の部品を使って、現地側でデザイン、製造、顧客サポートを行い、日本側で品質管理を行う流れが進んでいて、それを円滑に行う為のシステム導入が、今回のプロジェクトの"建前"なのだと。


「では本音があるんですか?」と柴崎さんに尋ねると、日本は現場でモノを考えて進める、"現場主導型"なので、システムなんて無くても良いが、欧米は経営者がモノを考え、現場がそれに従う"トップダウン型"。

なのでこのようなシステムを使って、上流から下流まで一気にシステマチックに工程を流さないと、なかなか物事が進まないのだとか。

特に日本人のリーダーはこのトップダウン型が苦手で、その為のチャレンジでもあるのだと。

組織で物事を進めるときには、皆が同じ方向を向いて、自分の役割を全うしなくてはいけないものの、単一民族で中流層の意識が非常に高い日本人だけなら、何もしなくてもちゃんと夫々が考え、ある程度同じ方向を向いて物事を進めることができる。

だから日本は所謂、「調整型リーダー」が多いのだそうです。

しかし異なる民族、異なる価値観・手法を夫々が持つ欧州等の国際社会では、強烈なリーダーシップによって全員に同じ方向を向かせ、1人1人に明確な役割を与えて、なぜそれが必要かを理解させるところから始めないといけない。

でも出る杭は打たれる文化の日本のリーダーはそのような経験が少なく、いきなり現地人社員のハートをわしづかみにする感動的な英語のスピーチもできないので、結局現地人リーダー達を介して、物事を進めることが多いのだそうです。


そして現地人リーダー達が、前職で使っていたこのPLMシステムが無いと仕事ができないと強く主張するので、高いお金を払って今回このシステムを入れるハメになったのだと、かなりのぶっちゃけ話をされました。(苦笑)

また欧州等の海外現地法人では、日本人だけが孤立無援で頑張っているのに、現地人が働かず、日本からの支援や理解がまったく無いことがよくあるので、日本の経営層にまで、全体像が直接よく見えるようにして、現地の日本人が討ち死にせずにすむと助かるのだがと、付け加えておられました。


柴崎さんのおっしゃるリーダー論の話は、日本の総理大臣と、欧米の大統領を比べてみても、確かに当たっているかもしれないなと感じます。

そして僕が今プロマネを担当しているこのシステムは、"クオリティが命"の日本製品にとって非常に意味があるものだと思うので、建前だけでなく実の部分でも、日系企業が良い製品を提供し続けるための、"新しい仕組みの1つ"になってくれる事を願っています。(笑)


インターネットは僕達の生活だけでなく、ビジネスの仕組みまで変えようとしています。

この10年でインターネットは世界を変えたといわれていますが、この先もまだ世界を変え続けていきそうです。




P.S.
先週末にロンドンの新ランドマークの"ビックアイ"に行ってきたので、その写真をアップします。

変化を嫌うイギリスにあって、ロンドンのランドマークは長く、"ビックベン"でしたが、ここロンドンでも新しい流れが来ているのでしょうかね???




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