拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション22/カズさんのパート「アラブの春という1つのヒント」

2012-02-26 | ニッポンジン!


シンジへ。

お疲れ~、カズです。

同僚が半年間病欠で、現場技術者がシンジ1人なのか。それは大変そうだなあ。

Rock魂があれば、仮病で病欠してラクしようなんてチンケな気持ちは、どこかへ吹っ飛ぶと思うけどな。(笑)


確かにシンジの言うとおり、今の資本主義と社会主義は、それぞれ問題点があると思うよ。


ふた昔前の資本主義と社会主義の代表は、アメリカとソ連だったけれど、その両国を旅した時のことだ。

旧ソ連の1つである、ウクライナのキエフで、ホテルにチェックインしようとした時に、「ちょっと今電話中だから待ってろ」と言われ、明らかに私用っぽい、笑い声まじりの電話の為に、10分以上レセプションの前で、荷物を持って立ったまま待たされたことがあった。


他にも旧ソ連のラトビアのリーガで、ロシア人の経営する、ロシア風水餃子のファストフード店で食事をした時、自分の注文した水餃子の写真をとろうとしたら、店のおやじにいきなり怒鳴られたことがあった。

とっさに「自分の注文した料理の写真をとっているだけじゃないか」と返すと、「ここはオレの店だから、オレが駄目といったら駄目だ。オレの言うことが聞けないなら今すぐこの店から出ていけ」と、ひどい罵声をあびせられたんだ。

店様がモノを売ってやっているのに、客ごときが意見するな、黙って言われた通りにして、さっさと金を払って帰りやがれ位の考え方だ。

社会主義国家には、お客様という概念が無いんだって、その時わかったよ。


それから10年以上前に、貧乏旅の途中でアメリカのNYで足を捻挫し、病院に行こうとしたことがあった。でも他の旅行者から、バカ高い医療費の相場を聞いて、病院に行けなかったんだ。

NYで感じたのは、金を持っている奴らは楽しい生活をエンジョイできるが、金が無ければ惨めな生活しか送れない。

底辺での生活が嫌なら、自分の力で這い上がれって考え方だ。

日本では当たり前の国民医療保険さえ、アメリカで導入が決まったのはつい昨年のこと。

しかしその国民医療保険制度に対して、国民の半数以上が「オバマは社会主義者だ」と今も猛非難していると聞く。

アメリカでは歴史的な背景から、"社会主義=平等=悪"という考え方があり、"資本主義=自由=善"という価値観と重なって、反国民保険制度導入の大規模デモでも、「オレ達の求めているのは平等ではなく自由だ!」と書かれたプラカードが掲げられていた。


そういう意味では、シンジの言うとおり、どちらかの考え方をそのまま持ってきても、今の日本にはマッチしないというのは確かだと思う。


まったく別の視点では、日本は世界でも屈指の、物資が豊かで便利なサービスが享受できる国なのに、今の自分が幸せだと感じている人が少ない。

一方で宗教に熱心な国の人達は、その教えによって"幸せの定義"が明確だったりする。

しかし実質的に無宗教な人が多い日本人は、何が幸せなのかが曖昧で、どうしたら自分が幸せと思えるかよくわからないって、自分自身を振り返ってみてそう感じるんだ。


"死ぬことは恐いこと"と思う人は、沢山いるけれど、死んだ後に自分がどうなるかわからないから、恐いと感じている部分がある。

でも"死"は、人間を含む全ての生き物に、いつか必ず訪れる出来事の1つで、それがどんなに恐くても、どんなに心配でも、避けることは誰にもできない。もしいつか訪れる死を悲観して、人生の大半を哀しみに暮れて過ごすとしたら、それはすごく悲劇的なことだ。


それと同じように今の日本人は、自分達の未来が見えないから、必要以上に将来を心配しすぎて、今の自分が幸せだと感じられないのではないか?って気がしているんだ。

そういう意味では、ハリボテの救世主でも、なんちゃってヒーローでもいいから、「ほら皆だいじょうぶだよ」と、明確な未来のビジョンを示してくれるリーダーが、今の日本には必要なんだと思う。


例えばオイルマネーで税金が無いサウジアラビアやブルネイのように、30年後の日本は、国策によって化石燃料に代わる新エネルギーの研究開発に成功し、その次世代エネルギーを使った、自動車・航空機開発の分野で世界をリードして、国営のエネルギー関連収益によって、医療費や教育費を無料にし、65歳から一定の生活ができる年金の支給を実現するといった具合だ。

同じく国策のロボット開発の分野でも成功を収め、エコカー減税のように、ロボット導入企業の法人税を下げる"ロボット減税"で産業を活性化させ、ロボットでルーチンワークを自動化し、欧州のように年有給約30日の消化を法律で義務づけるといった、「ロボット減税でリゾートにGO!」みたいな、キャッチーなフレーズも大事なのかもしれない。(ネーミングセンスはイマイチか?)

一方で国の最も重要な基盤は"人"という視点から、欧州のように単身者の所得税率をあげ、子供の人数が多い程税率を下げる「子沢山減税」を導入するとか、一芸に秀でた30歳未満の外国人の日本国籍取得を緩和する、「助っ人帰化キャンペーン」等で、人口の年齢比率の若返りを促進させることも、必要かもしれない。


まあ、こんなものは所詮、絵に描いた餅だけれど、シンジの言う"新しい仕組み"を実現する為に、今必要なことは、「日本が目指す具体的な未来の姿」を描くことなんだと思う。


ただ各々がアイデアを持っていても、どうやってその声を集めて、大きな力にしていくかが問題だ。

そこでシンジも言っていた、最近チュニジアやエジプトで起こっている、"アラブの春"が1つのヒントになるのかもしれない。

アラブの春は、Face bookというインターネットの力と、アルジャジーラという新興メディアの力によって実現されたものだ。

独裁政権を倒したこの革命の主役は、どこかの偉大な英雄ではなく、オレ達のような普通の国民達だ。


オレ達ニッポンジンも、"アラブの春"のように、Facebookやインターネットを使って、既存のメディアとも連動することで、何かできることがあるかもしれない。

オレ達ニッポンジンが、今よりもっと、自分達の毎日の生活が幸せだと感じることができる、日本の未来を作る為に。



P.S.
アラブの春の一翼を担ったと言われている、アルジャジーラの無料インターネット放送をみてみたよ。

スポンサーや視聴率至上主義から脱却して、この国の未来の為に必要な番組をもっと作っていこうっていう、気骨あるメディア制作者達が、日本でも出てきて欲しいと思う。

そしてFace bookを使ってアラブの春を実現させた、チュニジアやエジプトの若者達のように、オレ達にも何かできることがきっとあると、オレは信じているよ。



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