拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション17/シンジのパート「僕は何組?」

2012-02-12 | ニッポンジン!


拝啓、カズさん。シンジです。

ドイツ生活を始めて約2年。

僕も常駐先を卒業となり、フランクフルトオフィスへの自社復帰が認められました。

そして今は、新しく日本からやってきた後任の黒木さんと、1ヶ月かけて業務の引継ぎと、私生活の立ち上げのお手伝いを行っています。
(僕がシュトゥットガルトで生活立ち上げした時には、前任者の助けが無くて苦労したので、僕にできることは何でもお手伝いしたいと思っています)


黒木さんはバウムさんと同じ40代前半で、人生の大センパイですが、国立大学の大阪大卒業後はベンチャーで起業し、事業経営を行っていたらしく、ITエンジニアになったのは3年前だから、技術者としての経歴は僕の方が長いようです。

それでも得意の英語力を生かして今回転職されただけあって、ドイツ生活2年の僕よりずっと英語が話せます。(僕はどちらかというと、技術力優先で転職したので)


1つ面白いのが、黒木さんの奥さんはロシア人の超ベッピンさんで、大学卒業したてのピチピチの22歳。

黒木さんとは年の差20歳で、黒木さんが製作していた"美しい日本の風景"をテーマにした、写真サイトを通して知り合い、元々日本の文化に興味を持っていたロシア人の奥さんが、大学の冬休みを利用して日本へ短期留学した際に、付き合いだしたのだとか。

奥さんの写真を見せてもらったのですが、モデルさんかと思う位キレイで、思わず倒れそうになりました。(笑)


キレイな白人女性といえば、こんな話がありました。


今常駐先で国際回線の移行プロジェクトを行っていて、先日自社のデュッセルドルフ拠点から、僕達と同じ現地採用の日本人技術者である、五反田さんがシュトゥットガルトに来ていたので、黒木さんと3人で一緒に飲んだんです。
(現地採用の日本人同士で一緒に飲み会なんて、初めての試みです)

この五反田さんは僕と同じ年の32歳なんですが、ドイツ人女性が大好きらしくて、これまでのドイツ生活3年間で、何人ものドイツ人女性と付き合っているツワモノなんです。
(欧米の男性と、日本人女性のカップルや夫婦はよくみかけますが、逆パターンってすごくないですか?これって僕のコンプレックスですかねえ???)


この日も3人が飲んでいるバーで、ドイツ人女性が通り過ぎる度に、五反田さんが「あの娘かわいくなかった?」と僕達に聞くんです。

僕は妻の麻友を含めて、日本人女性としか付き合ったことがないし(実は白人女性は強そうなので、僕はちょっと苦手なんです)、黒木さんは東欧・ロシアが専門らしく、「南ドイツの女性には興味が無いです」と、僕達がツレナイ返事を返すものだから、五反田さんは「カワイイのになあ~、あの娘カワイカッタのになあ~~~」と繰り返し呟いていました。(苦笑)


僕よりも1年長くドイツで生活している、五反田さんの話題の中で、ドイツで生活してる日本人は、大きく分けて3種類だという話がありました。


1つ目が会社の辞令でやってきた「駐在組」

彼曰く、駐在組は個人の意思と関係なしに海外赴任している、日本のサラリーマンが多い為、日本式を重んじ、現地式に対してネガティブな感情を持っている人も多いとか。

駐在組の特徴は、いずれ日本に戻るので、とにかく問題をおこさず無事に任期を終えたいと思っている為、"なーなー"の"事なかれ主義"が少なくないとも、五反田さんは言っていました。


2つ目が日本が嫌で海外に出た「ローカル組」

日本での生活が嫌になり、日本を捨てて海外へ来た脱出組が多く、総じて日本式を否定し、現地式を重んじるのが特徴なのだとか。

中にはあえて外国人と結婚して、日本の国籍を捨てるツワモノまでいるそうです。

ただドイツにいるローカル組は、一生懸命働く事がキライな人も多く、それが欧州の労働者階級では一般的な考えの為、自ら進んでドイツに来た人もいると、五反田さんは話していました。


またドイツで暮らす日本人でも、駐在員とローカル組との間には、大きな身分の差があり、駐在組はローカル組を、日本人の癖に働かない奴らと馬鹿にしている一方で、ローカル組は駐在組を、海外に来ても日本式が捨てられない、カワイソウな人達と馬鹿にしているとも言っていました。


ここで黒木さんが、「日本は1度レールから外れると、とたんに人生の選択肢が無くなる、閉鎖的な社会だと思いませんか?」と話し出しました。

黒木さんは阪大卒の所謂エリートですが、ベンチャー起業で挫折しIT技術者に転身したものの、その時にはもうITバブル後で、かつ30代後半での技術者転身だった為、かなり苦労されたそうです。

黒木さんは、「日本式の働き方を否定するつもりは無いが、今の閉鎖的な社会のままなら、自分は日本へ帰りたいとは思わない」と話していました。


そして3つ目が「留学組」

海外を知るために日本を出た人達で、日本式は否定せず、日本の良いところはよいと考え、海外の良いところを学んで、いずれ日本へ帰ろうと考えているのだとか。

多くは学生やワーホリ、旅人として海外に出て言葉を習得し、現地採用の形で海外で仕事を得ることも多いそうです。


留学組の中には、海外を知るうちに、日本式よりも現地式の方が居心地がよくなり、そのままローカル組になる人もいるのだとか。


ただし一見さんのまま、1年前後で日本へ帰ってしまい、せっかくの経験をその後の人生に生かせていない人も、少なくないからね~と、五反田さんは話していました。


続けて五反田さんから、「田川君は何組?」と聞かれました。

「僕はどちらかというと留学組ですかね、、、日本で面接を受けて、現地採用でドイツに来ましたけれど、、、」と返事すると、「じゃあいずれ日本に帰っちゃうんだ」と言われ、「まだよくわかりません、、、、」と返すのがやっとでした。

そう、僕はこの先ずっとドイツでやっていくつもりなのかどうか、あまり深く考えたことが無かったんです。


でも1つ言えるのは、日本は今、国内消費が頭打ちになり、この先いやおうなしに日本人が、海外へ出ていかなくてはいけなくなると思うんです。

そういう意味で、こんなに簡単に3つのグループにわけられるのかどうか、よくわからないと僕は思ったりもします。


そして僕が、五反田さんのいう"留学組"なのだとしても、自らの意思で海外に出て、外の世界を知り、その経験を日本に持ち帰って生かすというのは、決して悪いことではなく、むしろこれからの日本に必要なことだと思うんです。

カズさんは旅人として世界中を旅しているから、五反田さんの言葉を借りると"留学組"なんでしょうけれど、その経験を日本で生かせていない事は無いと、僕は思うのですけれど、どう思います???


その場で僕が言葉に詰まっていると、すかさず黒木さんが、「じゃあ五反田さんは、何組なんですか?」と助け舟を出してくれました。


五反田さんは、よくぞ聞いてくれたとばかりに目を輝かせて、「僕はドイツ人女性と知り合う為にドイツに来たんです。日本人女性にまったく興味が無いので」と即答していました。

それを聞いた黒木さんが、「じゃあ五反田さんは"性癖組"ですね」と一言。

一瞬、その場がシーンとなり、どうしようかと焦りましたが、五反田さんと黒木さんが、ガハハハハハと大笑いしてその場が収まったので、安心しました。

どうやら五反田さんと黒木さんは、"外国人女性好き繋がり"で、気があうみたいです。
(こんな言い方をすると、二人に「ドイツとロシアを一緒にするな!」と叱られそうですが。汗)


そんなこんなで、お客さん先での常駐生活も、あと数日で終わりです。

この2年間は本当に色々ありましたが、今日「今週一杯で田川がフランクフルトへ戻り、これからは黒木が担当となります」という全員メールを出した後、100人以上の人達からありがとうメールを戴き、中には直接電話でお礼を言ってくれる人達もいて、胸が熱くなりました。

この2年間は僕のこの先の人生を支えてくれる、本当に貴重な経験だっと思います。

来週からフランクフルトへ移動になりますが、これからも引き続きよろしくお願いします。




P.S.
南ドイツも春になりました。

日本のものとは種類が違いますが、桜が咲いていたので、なんだか嬉しくなって手持ちのデジカメで撮影した1枚を、今日はアップしたいと思います。

桜を見ると、日本の卒業式や入学式を思い出しますね。


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