拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション16/シンジのパート「雑草のプライド」

2012-02-10 | ニッポンジン!



拝啓、カズさん。シンジです。

先日お話していたメールシステム移行の不具合ですが、日本の畠山さんから管理者アカウントをもらって、休日夜間返上で対応し、何とか無事に落ち着きました。

今回はエディタを使って、レジストリというシステムプログラムを修正しての問題解決だったので、少し骨が折れました。
(畠山さんにも休日出勤してもらい、日本側で事前に全てのデータバックアップをとって、こちらの作業中もずっと待機してもらいました)


多言語問題の一例で、"プログラム"というシステム関連の名称がありますが、英語や日本語ではプログラムなものの、ドイツ語では"プログラーメ"と書かなくてはいけなかったりして、これは多言語環境の無い日本の担当者は気づかないし、普段はわりと柔軟な対応をしてくれる日本の会社も、未経験の国際対応だと急に及び腰になったりするのだと、改めて思い知らされました。(契約範囲外なら尚更ですが)


日本からの長期出張者の増田さんは、シュトゥットガルトの古谷さんに、「だから田川さん達に初めからまかせればよかったのに」とこっ酷く叱られ、「今回は本当にありがとうございました」と最後にお礼を言いにこられ、日本に帰国されました。


でも実は、その後過労でダウンし、クリスマスを含めて約1週間、ドクターストップで自宅療養するハメになったんです。(クリスマス連休のおかげで、実際会社を休んだのは3日だけでしたが)

新しい同僚のバウムさんは、結局1ヶ月間のシックリーブらしく、常駐要員が誰もいなくなるというので、ようやく会社が動いて、この3日間は、ゲッツェが臨時で助っ人に戻ってきてくれていました。


これまで散々彼の応援を自社に要請していたのですが、彼のドイツ人上司のマテウス氏が、ゲッツェはそのプロジェクトにはもう関係ないからと、断っていたみたいです。

ゲッツェは心配して、僕の自宅にまでお見舞いに来てくれて、「もう少し早く来れたらよかったのだけれど」と言ってくれました。本当に彼はいい奴です。


でも自社の技術部長である矢部さんからは、「お客さんからも感謝され、無事問題が収束してよかった」と言われつつも、3日間ダウンしたことについて、「ウチは今回の件では一円にもならないのに、ただでさえ12月の人がいない時期に、交代要員のゲッツェを出すはめになって、むしろ赤字だな」とチクリ。

それに加えて「現地社員の人達が体を壊しても、会社は守ってくれないし、間違いなく冷たい対応になると思うので、もっと自分のことを考えた方がいいと思うよ」というお言葉を戴きました。


彼の言うことは正論だし、僕のことを心配して助言してくれたのかもしれませんが、現場の状況を見ないにも程があります。

1ヶ月も病欠しているバウムさんには何も言わないのに、夜間休日返上でシステム不具合対応をし、3日間だけ病欠した僕にだけ嫌味を言われるのは、どうかと思ってしまいます。

しかも僕が倒れる程の対応をする前に、何度も会社にヘルプを求めたのに、それを"請負業務範囲外"の一言で無視したのは誰だよって感じです。


僕がトラブル対応せずに、問題が収束しないままの方が、ウチの会社的にはよかったとでも言うのでしょうか。


僕はエリートではない雑草で、自分の技術1つでここまで這い上がってきたという、雑草なりのプライドがあります。

今回のトラブル対応については、その雑草の技術とプライドにかけて、僕の責任で行ったことなので、これが仮に別の大きな問題になった時は、自分が責任をとって会社を辞める位のつもりでいたんです。(妻の麻友や、まだ幼い翼には申し訳ないですが)

しかし今回のことについては、何か釈然としない後味の悪さが残っていて、これは体調がまだ完全に回復していないからなのか、「やり遂げた感」よりも、「何だかな~」っていう気持ちになっているんですよね。


前任者の戸川さんから「ここでは"やったもの負け"で、まともにやればヤル程、損をするんです」と言われた言葉が、今回の件以降、頭から離れません。


それでもシステム移行が落ち着いて、現地のお客さん達からの「ありがとう」という言葉が、今の僕の支えになっています。

僕はこのお客さん達の笑顔を支えに、ドイツで頑張っていこうと思っています。


P.S.
僕が家でダウンしている間、妻の麻友と翼は、古谷さんの奥さん達と、ニュルンベルグのクリスマスマーケットに、日帰りで行ってきたそうです。

今日は麻友が撮影した、その時の写真をアップします。

ああ、僕も行きたかった、、、。


カズさん。今年も大変お世話になりました。
来年もよろしくお願い致します。

田川真司


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