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屋久杉のでき方

2015年05月10日 | Weblog

屋久島の所々に出てくる特徴的な岩。川原の石から石段、太鼓岩まで、全てがこの粒々が入った白っぽい石でできています。

実はこの屋久島、島全体が超でかい花崗岩でできているそうです。火山ではなく、岩が造山活動で隆起した感じですね。なので、一番高い宮之浦岳の頂上にも巨大な岩がゴロゴロしているそうです。おそらく地面も少し彫れば花崗岩にぶち当たるのでしょう。この写真のように、杉の木は岩に降り積もった僅かな土を頼りに生長しているのですね。元々はエアーズロックのような一枚岩だったかもしれませんが、こんな感じで木の根が岩を砕いたり、風雨で浸食されたりして今の屋久島の形になったのでしょう。

もう一つこの島でよく見る光景が、このような倒木に寄生して伸びているような杉。前述のように地面の栄養が乏しいので、こういう成長の仕方を選ぶしかなかったのでしょう。このようなヨソより厳しい土壌条件が、1000年を生きる屋久杉の成長に大きな役割を果たしているそうです。

普通の杉はむしろ他の木より生長が早い方で、40年で回復し、寿命は500年程度と言われます。その特長を生かして日本各地で林業に用いるため大量に植えた結果、現代の杉花粉症を生み出してしまったわけですが(笑)ここ屋久島では土壌の栄養が少ないので1年でそれほど大きくなりません。それに加えて温暖湿潤で多雨であり、木から樹脂が多く出てコーティングされ、腐りにくくなるのだとか。結果、年輪が密に詰まった独特の色合いの屋久杉に生長し、1000年2000年と生きるのですな。あと樹脂の影響で他の木と結合しやすく、夫婦杉とかくぐり杉とか、ユニークな形の木が生まれやすいようです。
ちなみに縄文杉は最新の年代測定で少なくとも2000歳以上であることは確定しているそうですが、詳しい年齢は実は分かっていません。何やら7300年前に喜界カルデラが大噴火を起こし、その影響で一旦屋久島全体が丸坊主になったそうで、その後で生まれたとして7200歳と言われているそうです。屋久島のシンボルをまさか切り倒して調べるわけにはいきませんから、自然に倒れるまで、本当の年はヒミツということでしょう。

屋久島世界遺産センターにあった杉と屋久杉の展示。ちょっと文字が小さいですがどちらがヤクスギかは一目瞭然ですね。樹脂の影響か、何年もかけて熟成させたウイスキーのような琥珀色をしています(笑)1000年を生きた貫禄を感じさせますな。江戸時代には既に伐採と同時に再生させる動きもあり、伐採され使えない部分の木がそのまま捨てられることで、そこから新しい芽が出て育っているそうです。世界遺産になったことで現在は自然に倒れた木や枝しか利用できなくなっていますが、今も様々な細工品が島の主要産業となっています。

屋久杉のテーブルが田舎の家にありますが、そんな大層な物だったとは・・・本当、実際行ってみないと分からないことは世の中に山ほどありますな。