(株)カプロラクタム-blog

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大川小学校

2012年04月05日 | 震災
1日目、松島を素通りしたわけは、大川小に行きたかったからです。

震災後、悪い意味で日本一有名な学校になってしまった、全校児童の7割が亡くなった学校です。地図で確認すると、他にも海岸近くの学校は多いのに、何故ここだけ・・・と思い、石巻の有料道路出口から川沿いに向かいました。

実はココに来るまでに通った所は松島を除いてほぼ内陸だったため、木々の乱れや瓦礫の山、仮設住宅などは目にしましたが、壊滅状態になった地区はまだ見ていませんでした。そのような地域も、1年経ったことでずいぶんと良い方向に変わっているだろうとも思っていました。半ば半信半疑のまま堤防を南下(東下?)していくと、ふいに道がガタガタになりはじめ、次第に見える景色がみるみる砂地化していきました。堤防はかろうじて通れるものの、すぐ下の道はほとんど無舗装のような状態で、ナビがさしていなければ道だとは信じられないような感じでした。そもそも、川から山までに舗装もなく建物がまばらにしかないということは、よほどの田舎でもありえません。明らかに津波の爪痕が、1年経った今でも残っていると言うことです。そこにあったはずの家や人はどこにいってしまったのだろう・・・そんなことを考えながら車を進め、ナビが大川小と指した地点にたどり着きました。

堤防にかかる橋から降りると、本当にこの学校、というか、学校だった建物以外に何もない光景が広がっていました。入り口前には校名が刻まれた壁の1部と母子の像に、大量の献花と千羽鶴、束ねられた卒塔婆が。2階建ての校舎に加え、円形の教室に、児童の絵で囲まれた壁面、その後ろの多目的広場のような場所等、非常に近未来的な新しい作りであったことが分かります。プールもできたばかりだったとか。今では瓦礫が詰まり、教室も壁がなく、渡り廊下は折れて倒れ、体育館らしき場所は跡形もなくなくなっていました。震災後の写真や映像からは、大量の土砂や瓦礫に覆われていたと思うので、むしろ1年でここまできれいになった、ということなのでしょう。実際、ダンプが数台、ひっきりなしに出たり入ったりしていました。それでも子どものものと思われる靴や教科書、オモチャがまだ散乱していたり土に埋まっていたりしました。本当に、なくなったものが多すぎて、言葉を失う光景でした。

周りを一周した後、裏山へ行ってみました。小道をはさんだすぐ裏にあり、数分とかからない場所です。運動場正面の山は落石防止のためにコンクリで塗り固められ登ることはできず、多くの児童が避難中に通っていた川に近い方の斜面はかなり急で、とても登れそうにありませんでした。必然的に運動場より奥側から登るしかなく、一番緩やかそうに見えた道なき道を、一気に100歩ほど駆け上がり、木に赤い目印がしてある所までたどり着きました。ここまで波が来たということか、または犠牲者発見の印か・・・いずれにせよ、助かるにはここに登るしかなかったとしても、30代で普通の体力をもつ自分が息せき切って登った場所以上の高さまで、小学生の児童100人や、避難してきたお年寄りまでを全員上げる姿は、到底想像できませんでした。もし「高台に行けば助かる」と言う前提があって、近くの高台がすぐの裏山と10分歩く堤防の橋付近という2つ選択肢があったら、自分も迷わず橋を目指したでしょう。自分の地元では、春休みの生活を書いた文書に「川で遊ばない」という一文がありますが、おそらくこの山も「子どもは遊ばない」山だったのではないでしょうか。それ以前に、この辺りはもともと「津波が来ない」と想定されていた地区です。学校だけの悲劇がクローズアップされがちですが、ここは集落単位、町単位で全部流されており、もっと判断力や行動力のある大人も、経験の深い地元の住民も、同様に命を落としているわけです。いろいろな考えはあると思いますが、自分はこの地へきて、もし自分が当事者だったとしたら、おそらく成す術がなかっただろうな・・・と感じました。

学校によっては、もっと海岸に近いところで、家に連れ帰った2名の家庭のみが犠牲になり、校内に避難していた子は全員助かったと言うところもあったと聞きました。家に連れ帰ろうとする多くの親を説得して、学校に残したことが命運を分けたと言う、大川小とは反対のケースです。じゃあその学校は判断がよかったと言えるのかと言えば、絶対そんなことは言わないでしょう。2名守れなかったことは、当然悔やんでも悔やみきれませんし、助かった子ども達の中に親御さんを亡くしてしまった子もいるわけです。天災を前に、人間はどうすることもできない・・・これだけは、いくら技術が進歩しても変わらないのかもしれません。
コメント
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