月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

清めの雪

2017-02-10 | 美味しいもの
昨晩は友人に出町柳にある素敵なイタリアンに連れて行ってもらった。
ご夫婦で切り盛りされている、こじんまりとした静かなお店。
どこかあたたかい雰囲気で、聞いていた通り居心地がよかった。

お料理もすべて美味しく、私好み。

前菜盛り合わせ


ゴルゴンゾーラチーズのクリームソースパスタ


生ハムをのせた仔牛のローマ風ソテー


カプレーゼ


ワインはボトルで


2年ぶりの再会。
お互いの仕事のことや、旅行のこと、私の病気のこと、彼女の娘さんの就職や彼氏のことなど、いろんな話をした。
2年も会っていなかったとは思えないほど、普通に話が弾んだ。

店を出ると、雪だった。

とても寒かったけれど、夜の雪は美しく、いろんなことが浄化されていくようだった。

2ヶ月検診

2017-02-10 | 癌について
2ヶ月検診。
今回は採血と内診だけだった。

結果はとてもよく、「数値的に何の問題もありませんね」と先生。
これまで2ヶ月ごとだった検診も、3ヶ月ごとに延びた。
次は5月のGW明けだ。

ここまで来ると、本当に安心。
現在の医療で見つけられる範囲でのガンはない、ということになる。
この後で潜んでいたガンが大きくなって再発する可能性はゼロではないが、それを言い出したら誰でも同じこと。
少なくとも昨年見つかったガンに関しては「完治」ということでいいのだろう。

髪の毛も随分伸びてきて、ウィッグに収めるのが大変。
うまくかぶれなくて、1日に何度も直している。
まだベリーショートではあるが、そろそろウィッグとサヨナラしようかと思う。
来週、美容院を予約した。
さすがに伸びっぱなしなので、きれいに揃えてもらう。

ただ、服装が基本的に少女趣味&フェミニンなので、ショートが似合わない。
服装によってはまだしばらくウィッグのお世話にもなるのだろうな・・・。





思い出の店が・・・

2017-02-09 | 生活
1996年頃から2006年まで続けていた社内報の制作。
関わっていた事務所が梅田の一等地のビル内にあり、週に3日くらいはそこに通って中で仕事をしていた。
フリーでの契約だったが、事務所には私の机も用意してもらっていた。

そんな感じで10年間も通い続け、お昼はビルのそばのハービスに行くこともよくあった。
その頃から気に行って通っていたのがブルディガラだ。
上品なフレンチレストランで、店舗は広く、ちょっと上質なのに1000円程度でランチが食べられた。
パン屋でもあるので、おかわりできるパンも美味しかった。
出てくるパスタはいつも「え?この組み合わせ?」というような、自分では作ったこともないし、他でも見たことのないような食材の組み合わせで、それがとても美味しかった。

事務所に通わなくなってからも、梅田で人とランチをするときはよく行っていたし、1人でも行くことがあった。
お気に入りの、間違いがないお店。
そんな感じだったのだが・・・

久しぶりにハービスへ行ったら、ブルディガラがなくなっている!!

一体何になったのかと思ったら、ムレスナティーだった!

もともと広い店舗だったので、バカでかいムレスナティーになっていた!

ブルディガラがなくなったのは淋しかったが、ムレスナティーも好きなので、ワクワクもする・・・。複雑な気持ち。
とりあえず、取材の後でお茶を飲んで一休みしたかったので入ってみた。
広いしゆったりテーブルも並べられていて、居心地がいい・・・。
メニューも多くて、どうやら夕方からはピザなどの軽食も出しているようだった。(ランチもあるのかな)

とりあえず、いつものティーフリーを注文。
店員がひたすらまわってきて、何種類ものお茶をいれてくれるシステムだ。
ゆっくり過ごす時には絶対お得。(1000円)

しばし、お茶を飲みながら今日の原稿をまとめる。


スイーツも食べたくなったので、パウンドケーキを注文した。(500円かな)


ざっくりした歯ごたえで、素朴な味わいだった。
甘めなのがいい。

居心地が良すぎて2時間ほどゆっくりした。
ブルディガラなくなったのか・・・と通いつめたあの頃に想いを馳せつつ、ここはこれから使えるなぁとにんまり。
平日は人も少なくていいわー。


人の生き様を垣間見る

2017-02-08 | 仕事
今週は、月・火・水と取材で、金が病院。
ついでに水・金が飲み会で、なかなか落ち着いて原稿を書く時間がとれない。

この1ヶ月くらいはずっと新卒の就活ナビサイトや採用パンフのラッシュで、私もそちらに集中していた。
1ヶ月で10本ほどやった。でも、それも今日で一段落。しばらくなくなるか、あっても月に1本程度に戻る。
いろんな業界のいろんな業種の企業を取材するので、連続でやると予習が大変なので、これで一段落すると思うとホッとする。

バルブメーカー、養鶏や農業、飼料メーカー、写真スタジオ、システム開発、人材マッチング事業、物流、店舗内装、マネキン製作など、本当に様々な業界の話を聴いた。
いろんな会社の社長や幹部役員の話を聞くのは勉強になる。
トップの話をじっくり聞く機会というのは、そんなにあるものではないので、ありがたい経験だなと思う。

若い頃からずっと人の取材ばかりしてきたので、この間ふと思ったが、単純に「取材した人数」だけでいえば、2000人は軽く超えている。
少なく見積もって年間100人としても、20年で2000人。
特に社内報を中心にやっていた頃は、毎月何十人もの人たちに話を聞いてまわっていた。(1人につき1本の長い記事になるわけではないけれど、単純に話を聞くという意味で)

この20年で、随分多くの人たちの「生き方」を垣間見せてもらったものだな。
例えば、自社工場が全焼して、人が離れていき、どん底になった社長の話。
ある人に「よかったね。誰も亡くならなくて。今なくしたものは全部取り戻せるものばかりだから大丈夫。君ならやれる」と言われて考え方や商売のやり形を変え、見事にV字回復させた。現在は過去最高の売上を出している。
ピンチをチャンスに変えられる人は強い。
そんなことを学ばせてもらった。

また、出会った人たちは皆、何かを愛していた。
仕事を愛する、商品を愛する、仲間を愛する、社員を愛する、お客さんを愛する。
私はそれを感じて言葉にする。
それを読んだ人に愛が伝わる。

「人が生涯で愛せる人数は限られているが、仕事を通せば愛は無限に広がる」
いつか読んだ本のフレーズを思い出す。
そういう仕事をしてきたつもりだし、これからもしていくつもりだ。

それから、いろんな人に接してきて「世の中はまだ大丈夫だ」と思うのは、2000人以上の話の中で一番多かったフレーズは間違いなくこれだからだ。

「ありがとうと言われることがうれしい」

自分の仕事に対して、人が「ありがとう」と感謝してくれる。そのことが一番うれしくて、一番の仕事のやりがいだと、そう語る人が本当に多いのだ。
人は、誰かに必要とされたいし、「人の喜びは自分の喜び」だと思えるもの。
それを感じて、取材帰りに反芻してほっこりして、ああ、いい仕事をさせてもらっているなと思う。

この世の中にそんなに悪い人はいないと思える自分は、きっと運がいいのだろう。(もしくはバカなのか)
騙すよりは騙されるほうがいいので、能天気に「みんないい人!」と思っている自分のほうが楽だ。
その結果、時々、めちゃくちゃ傷つくことがあるのだが・・・。
でも、この年齢になって思うのは、もうこんな自分は変えられないし、変える必要もないんだろうということ。
バカみたいに人を信じて、結果的に騙されることがあったとしても、98%くらいは信じてよかったと思えることなのだから、それでいいんだと思う。
2%のために、人の裏を読もうとしたり、駆け引きしたりはしなくていい。(どうせできない)

自分らしいのが一番だと、45歳になって、ガンになって死の淵を見て、ようやく思えるようになった。

鳥取・民藝をめぐる旅

2017-02-05 | 
棟方志功展の後、原田マハさんの『リーチ先生』を読んで以来、私の「民藝」熱は上昇する一方で。

2月4日・5日、鳥取の民藝をめぐる旅を企画して、夫と出かけた。
温泉+カニもお目当て。

キャンプばっかりだったので、久しぶりに電車での旅行に2人ともテンションが上がる。
特急スーパーはくとで、まずは大阪から倉吉へ。
ここは16、7年ほど前に某スポーツ新聞の観光欄を担当していたとき、プレスツアーで行ったことがあった。
白壁土蔵群が残っていて、雑貨やカフェなどもでき、観光地化されている。
器を扱っている店もあるというので行ってみたが、それは残念ながら心惹かれるものはなかった。



結局、ワイン蔵へ。


古い土蔵の中は、天井の梁がすごかった。


酒屋があったり。


絣織りを実演していたり。


しかし、正直に言うと、あまり魅力的なものはなく、1時間半~2時間程度で十分に見てまわれる。
民間企業を入れて上手にプロデュースしたら、飛騨高山のように観光客(特に外国人)をもっと呼べるのになぁと夫とプレゼンしあった。
観光バスが時折やってきて、その時は確かに人も町に増えるのだが、「もう一度行きたい」という魅力には欠ける。

で、結局、地ビール(笑)


「土蔵蕎麦」というお店でそばを食べた。
私は出雲そばとか、山陰地方のそばが好きだ。(信州そばはあまり好きじゃない)
これには満足。


バスや電車の本数も少ないので、早々に引き上げ、倉吉から岩美へ。
今回は、岩井温泉にある「岩井屋」さんで泊まった。
ここは山陰地方で最も古くからある温泉で、1200年の歴史がある。
源泉掛け流しの良質な温泉で、岩井屋さんのお風呂の特徴は、立って入ったときに胸の下くらいまである深さ!
お宿の雰囲気もとてもよい。





まあ、温泉街自体は、こんなさびれた感じではあるが・・・


温泉は期待以上!
こんな深い温泉は初めてだったが、とにかく気持ちがいい。
お湯がふんだんにあって、体がすっぽりと包まれる感じがこれほど気持ちいいとは・・・。
ちょっと感動的だった。
小さな宿なので、そんなに込み合うこともなく、1人、2人が入れ替わるくらい。
温泉は満喫した。

そして、楽しみな食事!
この前菜や但馬牛のしゃぶしゃぶはとても美味しかったので、「カニ刺し」と「焼きガニ」にも期待が膨らむ。




出た!カニ刺し!


この思わず「おーーー!」っと声が出てしまうような盛り付け!
しかし、ひとくち食べて、がっくりした。
まったくカニの甘味がないのだ。
あー・・・このレベルのカニか・・・と、いきなり意気消沈。

焼きガニはこの量を2人で食べる。
仲居さんが火鉢を持ってきて、炭で焼いてくれる。


焼き立てを食べると、カニ刺しよりは甘味があったが、こちらのペースなどおかまいなしにどんどん焼いてくるので、冷めてパサパサになってしまった。
さらに、カニに時間がかかるのがわかっているくせに、煮物や天ぷらまで運んでこられてテーブルに並べられ、「これだから温泉旅館はイヤなんだよ!!」と叫びたいほどむかついた。
この宿の従業員の人たちはみんな本当に優しくて、接客も素晴らしかったのだけど、この宿のシステムだけはどうにかならんのか。
手の込んだお料理を作ってくれているのに、台無しだ。もったいない。
天ぷらに手を伸ばしたときには、もう冷め切って衣が固くなっていて、私は食べられずに残した。
なんともがっかり・・・。

基本的に、よほど料理に自信があると書いているような宿ではなければ、温泉旅館の料理には期待をしていない。
でも、今回は提供の仕方ひとつで、もう少し美味しくなったのにと思って、それがとても残念だった。
翌朝の朝食は美味しかった。特にのどぐろの焼き物が最高だった。のどぐろってやっぱり美味しい魚だ。

気を取り直して、翌朝は歩いて「クラフト館 岩井窯」へ。
今回の旅のメインの1つ。(ここに行きたくて、このそばに宿を取ったのだ)

岩井窯はバーナード・リーチに影響を受けた山本教行氏の窯で、作品も買えるし、山本氏のコレクションを展示した「参考館」も見てまわれる。さらに、喫茶室もあって、そこで岩井窯のカップなどでお茶も飲めるのだ。結構広い敷地にある。
作品が並んでいるところはこんな感じ。


いろいろ「いいなぁ」と思うものはあったのだが、家に器がありすぎるので、「同じようなのあるしね」と買うのを躊躇。
それを乗り越えても手にしたいと思うものにはなかなか出会えなかった。
で、2人で相談して、「これは同じようなものがないし、いいよね!」と買ったのがこれ。


6寸サイズの耳つき土鍋。
この土鍋シリーズはここの窯の代表作でもある。
直火OKなので、小鍋にしてもいいし、グラタンなどを焼いてもいい。普通に盛り付け皿として使ってももちろんいい。

裏はこんな感じ。


良いものが買えてよかったと、ほくほくしながら隣接されている「参考館」へ。
山本氏のコレクションが素晴らしかった。


さらに、横の喫茶へ。美味しい自家製お菓子とコーヒーをいただいた。めちゃうまい。


結構満足して、次はまたタクシーと電車を乗り継いで鳥取へ。
駅から徒歩5分の場所にある、鳥取民藝美術館へ行った。


ここは本当にすごい。鳥取の民藝運動のリーダー吉田璋也氏のプロデュース作品が展示してあるのだが、もうそのすべてがたまらなくいいのだ。何時間でも見ていられるほど美しい器の数々。
特に牛ノ戸窯で焼かれた黒と緑のツートンカラーの器が有名だが、これも展示してあるのはとても味わい深くて、惚れ惚れ。
来てよかったと思った。

美術館の隣には「たくみ割烹店」があり牛ノ戸窯などの器でご飯が食べられる。
私はハヤシライス、夫はカレーにした。またこれが旨いんだ・・・


さっき書いたツートンカラーの染め分けカップはこんなの。
これはもちろん展示品とは違って、現代の工業品なのだけど、やっぱり素敵。


で、多少高くてもいいのでぜひ買いたいと思い、隣接してある「たくみ工藝店」へ行ってみたのだが、ただの1つもいいと思えるような器がなかった。
2000円程度で安いのだが、どれもおもちゃみたい。
「美術館見た後は目が肥えすぎて、もうあかんな」と断念。
1万円くらいしてもいいので、もう少し味わい深い作品があればいいのになぁ・・・。
あの美術館の横の店でこのレベルのものしかないというのは、とても残念だった。

ということで、結局、今回の旅で購入したのは、岩井窯の土鍋2つ。
もう少し出会いがあればよかったけど、まあ満足している。

「好いものを少しだけ持つ生活」をしたいとずっと思っていて、器だけはそれが昔から実現できている。
これからもこれは変わらない。
いろんな好いものを見られて、いい旅だったな。
来週は関東へ行く用事があるので、東京の日本民藝館へ行く予定だ。
この熱は当分さめそうもない。