月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

抗がん剤治療4クール目 ~点滴&両親の見舞い

2019-12-06 | 癌について
やってしまった!
何を、かと言えば、入院1泊目の夜中に、例によってイヤな夢にうなされ、大声を上げて目が覚めてしまったのだ。
大部屋にも関わらず。

夢の内容はたいしたものではない。
舞台はまさにここ。
私が大部屋のベッドで寝ていると、看護師さんが入ってくる音がする。
見回りに来たんだなと察知し、私は目を閉じて寝たふりをする。
その瞬間、左側にイヤな感じを受けて、そっと目を開けると、看護師さんが私の耳に口がつくくらい顔を近づけていて、私がはっとすると「寝ないの?」と耳元で言うのだ。
私は怖くなって、「わぁぁ!」と声を上げた。
現実でも。

もっと大声で「ぎゃぁぁぁ!」と言う時もあるので、それほど大きくなかったのが不幸中の幸いだが、それにしても病院である。それも大部屋。
周りの人はびっくりしただろう。
すまない、、、

昨晩もほとんど眠れなかった。
四人のうち一人が手術を終えたところで、夜中に痛みが出たのか、看護師さんが何度も出入りして、声も時々夜中とは思えないほど大きな声で業務連絡していて、パソコンのキーボードのカチャカチャ音もした。
目が覚めると眠れない。
いろんなところで、いろんなブザーのような音がして、それも気になる。

昼間は昼間で、この大部屋はナースステーションや処置室に一番近いので、看護師さんたちの話し声やバタバタする音があれこれ聞こえる。
大部屋は出入りが多いためか、ドアを閉めないのだ。だからそういう外の音が丸聞こえ。

それに反して、部屋の人たちは皆(私も含め)、物音どころかその存在さえ消し去るくらいの勢いで息をひそめている。
カーテンで仕切られて何も見えないのに、わずか2メートル先に人がいて、ちょっとした動きも手に取るようにわかる。
メガネ置いたなとか、本のページをめくったなとか、寝返りをうったなとか。
だから私もそっと行動する。
外はあんなにうるさいのに、堂々とするべき部屋の中の住人たちは息をひそめて生活しているという矛盾。

同室の人と話はしていないが、洗面が共有場所になったので(個室は洗面台がついている)、他の大部屋の人によく話しかけられた。
これも初めての経験だ。
話しかけてくるのは70歳くらいのおばちゃんが多く、「どこ?(手術箇所)」とか「何クール?」とかわりと遠慮なく聞いてくる。
私も別に気にならないので正直に答えると、必ず最後に「若いのにねぇ、、、」と言われる。
確かに、ここでは若いほうだ。
でも、私よりもっと若い女の子で、すごいツワモノがいた!
しゃべりかける勇気はなかったのだが、パジャマがリラックマ柄!!
上下ともに何匹もリラックマがプリントされた薄い黄色のモコモコのパジャマを着ていた。
「可愛いですね」と声をかけたかったが、引っ込み思案ゆえ、かけられず。

いいなー、リラックマ。

まあ、人間観察という面では大部屋も面白いこともあるかな。

ちなみに、昨日は点滴ルートをとる人が上手な先生だったので、一発OK!
ホッとした。点滴も無事に終わった。
ただ、今回は姉は来なかった。大部屋で話もしづらいから断ったのだ。
すると「ちょうどキックボクシングがあって、遅れて行こうと思ってたしよかったわ。来月は行くね~」と返事がきた。
キックボクシング体験に行き、面白くて入会したらしい、、、

母も断ったのだが、行くわというので待っていたら、なんと父も一緒に来た!!
父が来るときは帽子でなくウィッグをかぶって軽く化粧もしていたのに、、、!
聞いてないよ~!
母だけと思ったので、帽子でノーメイク。いかにもがん患者!!

私が動揺して、ベッドで点滴を受けながらうなだれていたら、父が「そんなにしんどいのか?」と。
「ううん、大きな声出せないから」とごまかした。
それから、私の体調などの話が一通り終わると、二人は互いにしゃべるわけでもなく、黙ったまままっすぐ窓の外を見ている。
重苦しい空気に耐えられず、仕方なく私がよそ行きにテンションチェンジ!
交互にいろいろ話しかけたが、あまり大きな声で話せないのに母が耳が遠いものだから、何度も聞き返すし言い直す。
父は相変わらず、こちらの話には乗ってこないし。

私、なんで点滴しながら、両親に気を遣ってるんだろう、、、とわけがわからなくなってきた。
父はあからさまに早く帰りたがっているので、私が「帰ってもいいよ」と言うと、母はいるというから一人ではばつが悪いのか帰ろうとしない。

さらに、今日父の前で触れられたくなかった爆弾を、母が思い切り爆発させた。

「今、その頭って、どんな感じになってるの?」

ひぇぇぇー!
これだからこの人はっ!!

「いや~、見たら泣いちゃう感じだよ」とかふざけて答えたが、母は見たいと思っているようだった。
父は一切触れず、目をそらした。

どこまでも、どこまでも、交わることのない二人。
こんな時、姉の存在が恋しくなった。
今頃キックボクシングでスカッとしてるんだろうなぁと思った。

4時頃、点滴が終わり、二人はそれを合図に立ち上がって帰っていった。
母は名残惜しそうで、父が先に病室を出ると少し話してきた。
でもいつまでもそうしていられないので、帰っていった。

二人が帰ると、お見舞いに来てくれて申し訳ないが、ちょっとホッとした。
一気に眠気が襲ってきて、30分ほど寝た。
起きて、うとうとしていたら、夕食が運ばれてきた。
今回も点滴しながら三食完食!
どこもしんどくないし、痛みもない。
ただ、なーんか変な疲労感。そして、ただただ眠い。

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