月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

抗がん剤治療2クール目 ~点滴

2019-10-05 | 癌について
恐ろしい目にあった。
写真を見るとなんとなくわかると思うが、、、
ちなみに右手にも1ヶ所絆創膏が貼ってある。

抗がん剤点滴当日、朝食、シャワーを済ませて待っていると、10時頃に看護師さんが来た。始まるなぁと思ってふと見たら、看護師さんの後ろから来たのは明らかに医大の研修生!!
ここは医大の付属病院なので、研修生が時々「練習」するのだ。本物の患者で!!

しかし、それはこの病院で診察を受けた最初の日(3年半前)に同意書を書かされているので拒否はできない。
また、こうやって実践を積んで、この人が将来たくさんの人を救うのだと思えば、モルモットにもなろうじゃないか!という気持ちにもなり、不安を顔に出さずに、にこやかに迎えた。

研修生の彼が何をするのかと言えば、点滴ルートをとること。
これが結構難しいのだ。
採血のときは一瞬だから、一番血管がわかりやすい肘の裏(何て言うの?)に針を刺すが、抗がん剤点滴は六時間くらいかかるので、手を動かしやすく、動かしても支障のない手首辺り(表側)からとることが多い。

研修生は明らかに今日初めてという感じで、日光のよく入る明るい部屋にも関わらず「電気つけましょうか」とスイッチを探し始めた。私のベッドの辺りを探し始めたので、看護師さんに「入り口です」と正された。
次はテーブルをセッティング。備え付けのテーブルに私の手を置いて、ちょうどよい位置になるよう場所や高さまで調節。
電気→テーブルと、学校で習っているんだろうなぁ、、、(涙)
普通、先生はテーブルなんて使わない。(涙)

右手に刺されるとご飯やトイレが不自由なので、左手でお願いし、研修生が作り上げた手術台(テーブル)の上に手を置いた。
それから血管探しが始まる。
腕をゴムで縛り上げ、ペチペチ叩き、必死に探していく。
なかなか見つからないので、「前回はここでしたよ」と助け船を出してあげた。
左手首表側の、くっきりと上がった血管を示すと、研修生はホッとしたように、それでも威厳をもった口調で、「では、ここからとりましょう」と言った。

いよいよだ。
緊張して私も汗が吹き出る。
「ちょっとチクッとしますよ~」と、お決まりのセリフ。
はい、と答えて覚悟はしたが、痛い!!
チクッとじゃない、ズクッとくらいだ!
採血ならこれで終わりだが、点滴は針が長いので、それを奥まで進めてルートをとらなければならない。これが慣れていないと難しいのだ。
研修生が針を進めると、飛び上がった!「痛い!!」
また飛び上がる。「痛い!」
完全に失敗だ。痛いということは、ちゃんとルートをとれていなくて、血管以外のところを刺しているということ。患者がここまで痛がったら、もうこれ以上は進めても無理なのだ。
それは研修生もわかっているので、「すみません。抜きます」とあきらめた。

一度失敗した場所は使えないので、絆創膏が貼られてまたペチペチと血管探しが始まった。
瞬間的に私は考えた。
今、私は最高の血管を提供したのに、この人は失敗した。ということは、次の血管で成功するわけがない。うん、まずないな。じゃあ左手はダメだ。不自由と痛み、どっちをとる?

不自由!!

というわけで、「あの~、ちょっと不自由にはなりますけど、右手も見てもらっていいですよ」と提案。
研修生はホッとしたようで、右手を見始めた。
そして、左手と同じ位置に狙いをつけ、「ここにしましょう!」と。
私と看護師さんが祈るなか、またチクッとしますよ宣言のあと、祈りもむなしく強い痛みが走る。
我慢してもやっぱり「痛い!」と声が出てしまう。
こんなに痛ければまた失敗だろう。
研修生も気づいて、「あっ、ダメですね。抜きます!」と言っている。

その時、ただでさえ嫌な抗がん剤をするのに、なんでこんな「経験しなくていい痛み」まで我慢しないといけないんだろうと思ったら、自然に口をついて出たのが、「もう、嫌だ、、、!」だった。
泣かなかったが、泣き真似はした。
すみませんと平謝りの研修生は、「どうしよう、先生呼んできましょうか?」と聞き、看護師さんもそうしてください!と。

呼びに言っている間、看護師さんは優しく「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。
大人だって、痛いものは痛いんだ!

ようやく先生(女性)が来て、それが前回の上手な先生だったので、心の中で大拍手!!
「ちょっと見ますね~」と、優しく左手を見てくれたが、当然ながら最高のルートは先の失敗により絆創膏が貼られているので使えない。よって、少し離れた場所から無理やりとるしかないのだ。
結果、難しかったのだろう、なんと先生も失敗!!
ただ、研修生と違うのは、私が悲鳴をあげる前に通らないと判断して針を抜いてくれたところだ。これが経験のなせる技!

そして、先生は仕方なく最終手段を使われた。
肘の裏の少し手前。
曲げてもギリギリ針が邪魔にならない場所に針を刺した。何の痛みもなく、スッと通った。ようやく私の冷や汗も止まった。

入り口でしょぼんと見ていた研修生はかわいそうだったが、私も二度はあなたの練習台になった!これで勘弁してくれ。
だって、最高の場所(それも右手左手)を提供して、これで無理だったんだから、そのあとは拷問でしょ、、、

とりあえずホッとして、横になったら、看護師さんが「体温と血圧を測らせてくださいね」と言う。
えっ?!
先にやったほうがよかったのでは、、、

案の定、血圧は上が156まで上がり、看護師さんをギョッとさせ、三回測って130台まで落ちたものの、これでは抗がん剤が受けられないようで、「15分後にやりなおしましょう。リラックスしておいてください」と出ていった。

そんなドタバタはあったものの、とりあえず血圧も120台まで下がり、無事に点滴も受けられた。

この後、午後から母と姉コンビが来るのだが、今回もネタの宝庫。
しんどくなってきたので、これはまた。

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