月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

情けは人のためならず。

2012-03-07 | 想い
この間、昔の生徒K君からメールが来た。
彼は今春から大学4回生になるので就活中。
編集とかライターに興味があるけど、まったくどんな業界かわからないから、私の話を聞きたい、とのこと。

彼は中3のときに半年くらいしか受け持っていないのだけど、すごく変わった子だったので印象深かった。
ヘンに大人びているというか……、ひねくれているわけではないけど、他のアホみたいに素直な中学生とはちょっと違った。

昨年、K君も含めた数人の生徒との飲み会があり、そこで久しぶりに話してアドレス交換をした。
そして、今回のこの依頼。

またよりによってこんな忙しいときに・・・!とは思ったが、カワイイ生徒のためである。
うちの最寄り駅まで来てもらうことを条件に、会う約束をした。
その約束の日が今朝。

ちょっと参考になりそうな資料もそろえて、最寄り駅へ。
10時半の電車に乗ってくると思ったのだが、降りてこない。
辺鄙な駅だし、1本乗り遅れたのかな……と思って10分待った。
しかし、また降りてこない。

携帯を見たが、特に「遅れます」とのメールも来ていない。

ここで、あっと思った。
中学の時もよく遅刻して来たっけ……。
いつも眠そうで……

絶対、寝坊や!!

確信して、K君の携帯に電話。
何回かの呼び出し音の後、明らか~に起きぬけの声が……

「す、すみません……」

「寝坊した?」

「はい……。ほんますみません。昨日いろいろ動き回ってて……。ほんまに……」

「いいよ、怒ってないから。また日を改めようか?」

「はい。ほんまに…すみません…」

平謝りというのはこのことか。
ただひたすら、すみませんを繰り返していた。

私は本当に怒っていなかった。
それどころか、笑いがこみ上げていた。

さすが!我が生徒!
やってくれるなぁ~

シューカツなんていうから、ちょっと大人になったかなぁなんて思っていたけど、やっぱり生徒は生徒だ。

「裏切らんなぁ……」とひとりごちて、にやにやしながら帰った。
ほんま、梅田集合とかにしなくてよかった。

しかし、私やからいいけど、これからシューカツ、大丈夫かね?
社会人になったら多少はしっかりするのかなぁ……

そういえば、今年入ってすぐぐらいに、まったく見知らぬ大学院生の男の子と会った。
私の昔のホームページやブログを見て、ライターの話を聞きたいとのこと。
K君と同じで就職をこういう業界にしたいと考えていた人だった。

あまり人に言ったり書いたりしたことがないが、たまーにそういう依頼がある。
メールも年に1人か2人からは来るし……。

友達に話したら「マメやな!信じられへん!」と言われるが、私はそういう人にも丁寧に返事を書き、会って話がしたいと言われれば、はいはいと会いに行く。

はい、何の得もないです。私には。
関わる義理もない見知らぬ人やし……
でも、「お願いします」と言われたら、断れないのが私
まあ、こんな私の話を聞いてちょっとでも役に立つんだったらいいな……と思ってしまうんだなぁ。
そのときは、梅田のカフェで1、2時間話をした。
役に立てたかはわからない。

自分が20代前半のときも、迷いがたくさんあった。
ライターを始めてからも、いろんな場所でいろんな人に多くのことを教えてもらった。
迷って、悩んで、アドバイスを受けて、教わって……、そうして今の自分がいる。

だから、これは恩返し。

何に関してもこの考え方が基本なんだが、世の中は「連鎖」だと思っている。
情けは人のためならず。

自分より年下で、自分より無知で経験のない人がいれば、知っていることは何でも教えてあげたいと思う。
自分がそうしてもらったように。

そして、またその人たちが年と経験を重ねたときに、その下の人たちに同じように教えてあげてほしいと思う。
世の中っていうのは、そういう連鎖で成り立っていると思うから。

優しさも、お金も、全部そう。

あんまり得な生き方じゃないし、自分で自分をあまり好きでない私だけど、
こういうところは結構気に入っている。
人から見れば、アホやなーようやるなーと思われるかもしれないけど、なんか、こういう自分は好きなんだな。
(まあ、基本的に人の世話を焼くのが好きなのだろう)

昨年、ある女性からメールが来た。
私はもうあまり覚えていなかったのだけど、昔、私に相談のメールを送ってくれた人で、その時私から丁寧な返事が来たそうだ。
今、自分の夢を実現するために頑張っているとのこと。一歩近づけたとのこと。
あの時はありがとうございました、と書いてあった。

誰にどんなアドバイスをもらったって、結局のところ、道を開くのはその本人。
でも、その道への一歩を踏み出す力になれたなら、こんなにうれしいことはない。

今年会った大学院生の彼も、K君も、自分の道を見つけてしっかり歩んでくれたらいいな。



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