★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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裏葬儀屋(1)

2009年10月01日 | 短編小説「裏葬儀屋」
「とうとうだめか・・・」
 不渡りを出した社長の山田正一は頭を抱えた。20年間なんとか続けてきた彼の会社は、昨今の不況のあおりをまともに受け、倒産する一歩手前になっていた。
 多額の負債を抱え、できることはなんでもやった。倒産を回避するため社長としてはやってはならないサラ金や闇金、粉飾決済まで手を出した。
 しかし、その努力の甲斐もなく、事業は好転せず50人いる社員への給料支払いさえままならない状況になりつつあった。
「おれの人生も、もう終わりか・・・」
 山田はそうつぶやき、タバコを吸おうとタバコの箱のふたをあけたが、とっくの昔に空になっていたことを思い出した。山田は空箱を力いっぱい握りつぶすと社長室の隅にあるゴミ箱へ向かって投げつけた。タバコの空箱は、ゴミ箱をはずれ床に転がった。


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