★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(32)

2015年02月22日 | 短編小説「義腕の男2」
 数秒なのか数分なのか時間感覚が麻痺した膠着状態が続いた。が、突然、相手が動いた。
 速い。
 まさに目にも止まらぬとはこのことだ。瞬間移動のようなスピードで突然目の前に現れ、爪の生えた手で強烈なパンチを繰り出してきた。
 戦闘モードの右腕は、反射速度が通常の4倍に設定されている。瞬間的に上げた手の甲で辛うじて受けたが、その力を吸収仕切れず身体ごと後ろに吹き飛ばされた。
 さっき目の前に飛んできたMr.Bもこんな感じで吹っ飛ばされたのだろう。
 俺の場合は軽く3m位は飛んだろうか。近くの廃屋の壁にぶつかりそうになったが、なんとか受け身をとり衝突を免れた。
 しかし、スピード・パワーの差は歴然だ。右腕のパワーだけでは太刀打ちできそうもない。
 俺は、一旦怪物の反対方向にダッシュし、廃屋の中に飛び込んだ。
 石造りの建物だったその廃屋の中は、屋根が落ち砂だらけになっているが、壁は結構厚い。
 少しはガードになりそうだ。