★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(29)

2014年12月25日 | 短編小説「義腕の男2」
 銃撃戦が止んで、また物運びの人達が動き始めた。俺は、その人達に紛れ、白衣のまま段ボール箱を持って外にでた。
 とりあえず、乗ってきた運送会社マーク付きのトラックの場所に行ったが、やはり既に走り去った後だった。
 予定では、Mr.J達は、海岸に向かったはずだ。ここから海岸までは、車で一日かかる距離がある。
 俺は駐車場に止めてある他の車をチェックした。ほとんどの車が、緊急時のためかキーがついたまま駐車してあった。燃料が満タンで一番タフでスピードが出そうな車を物色し、Cビルの敷地から脱出した。
 とりあえず、空爆の恐怖からは逃れられた。時間までは絶対大丈夫なのは判っているが、引き金に指をかけた銃で真上から狙われているような場所は、なんとなく気持ち悪いものだ。
 拝借した車は、最新型のクルーザーで荒地の走破性も高い。これであれば、Mr.B達の運送会社マーク入りトラックに追いつけるかもしれない。あのトラックは、見かけは普通の市販車だが、イスランの砂漠用にエンジンや足回りがチューンナップされている。普通の車ではとても太刀打ちできないが、地下資源で裕福なイスランには高級車がごろごろしている。この車ならばなんとかなるだろう。
 空爆まで約1時間。Cビルの周りやN市中は、蜂の巣をつついたように混乱し軍も出ていたが、特に検問も無く、混乱に乗じて街を出ることができた。