★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(13)

2014年04月09日 | 短編小説「義腕の男2」
 准将の部屋を出た俺は、いつものごとく、ミッションカードをカードリーダーにセットし、サングラスタイプのディスプレイを使って作戦に関するデータの記憶をしながら宿舎に向かった。
 毎度のことながらこの作業は疲れる。
 24時間で液体になり情報が自然消滅する特殊素材のミッションカードは、一日で頭に詰め込むにはかなりきついデータ量なのだ。
 もちろんポイントだけ記憶してもかまわないのだが、細かいことを覚えなかったために命を失った仲間が何人もいる。死にたくないと思えば、人間というものは想像以上の能力を発揮できるものだ。


 俺は、ミッションカードの指示に従って久しぶりの鉄道を楽しんでいたのだが、途中、ミサイル攻撃を受け、せっかくの旅行が台無しになった。
 何とか、無理やり記憶したミッションカードの情報で、砂漠の中を高級オフロードバイクでかっ飛んで来られたおかげで、ほぼ予定通りN市に到着した。
 N市はイスラン公国で2番目に大きい都市だ。町の中央に小さな湖がありそこを取り囲むように緑が生え、町になっている。砂漠が国土の八割を占めるイスラン公国のなかでは特に大きなオアシス都市だ。