★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(52)

2016年04月13日 | 短編小説「義腕の男2」
 クリス博士は、俺の左腕に抱きかかえられ衝撃もすごかったはずだが、意外と平気そうな表情で、びっくりしている俺の顔を覗き込んだ。
「どう?新しい脚は。結構使えるでしょ?」
「これは、いったい何だ?」
「詳しい話はあとで、とにかくあなたの足は、私が開発した最新の足になっているってこと、それに、私がここに戻ってきた理由はもう解決したから、気にしないでここを抜け出しても良いってこと。さあ早く脱出しましょ」
「・・あ?・・ああ・・」
またしても頭の上にハテナマークが沢山浮かぶ。そういえば、足を撃たれてから山ほどの疑問がそのままになっていたのを思い出した。
 だが、その疑問を解消できる時間は、この状況では生み出せない。
 さっきまで毛布と格闘していたMr.Rは、やっとのことで頭に絡まった毛布をはずし、目の前にいるはずの俺たちがいなくなっていることに気がついた。
「どこへいきやがった!?」
白い顔を赤く興奮させ、ギラギラした眼で周囲を見渡し、すぐに部屋の隅にいる俺たちを見つけ出した。
「そんなところに隠れやがって、すばしこいやつだ。だが、今回は逃がしはしないぞ」
プロレスラーのような体型に見えるパワースーツを着たMr.Rは、きびすを返し俺たちに向かって走り始めた。