★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(94)

2017年12月11日 | 短編小説「義腕の男2」
 その時、白色だけの視界に黒い影が現れた。
 顔だ。どこかで見たことがあるかわいい顔だ。
「あ、気が付いたのね。よかったわ。ジャックさ~ん、ケンジさんが気が付いたわよ」
 そうだ・・俺はこの娘達を助けるためロボットを腕に絡めたまま、飛行機から飛び降りたのだ。
 そして、落下途中にロボットの自爆に巻き込まれ・・
「ケンジ、よかったなぁ。大丈夫か?具合はどうだ?」
 親友のジャックの懐かしい顔が寄ってきた。
 爆発以降の記憶がないが、どうやらなんとか帰ってこられたらしい。
 体の具合を聞かれ、改めて心配になった。確かにあの爆発に巻き込まれて、今生きてはいるものの俺の体はどうなったのか。
 とりあえず痛みはないようだ。
 用心しながらゆっくりと手足など各部を動かしてみる。 
 俺がモゾモゾ動き始めたのを見たジャックは
「新しい右腕はまた作ってやるから、とりあえずその汎用タイプを使っていてくれ」
と言った。
 確かに、見慣れない右腕がついている。1年に1回の右腕のオーバーホールの時に代腕で借りるタイプのものだ。
いつもの腕とは比べ物にならないが通常の生活には支障はないはずだ。
他も動かしてみる。
 博士に作ってもらった左足は全く問題がない。痛みもなくちゃんと動く。
 自前の右足、それに胴体など他の部分も怪我も痛みもなく、全く異常がないように思える。