★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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裏葬儀屋(39了)

2009年11月10日 | 短編小説「裏葬儀屋」
「ああ、駐在さん、遅かったじゃないですか」
 赤い顔をした浦河が言った。
「すまんすまん、検死報告書に手間取っちまって」
「なにか不備でも・・」
「いやいや、全然問題なしじゃ、あ、ご主人、わしにはビールをくれ」
「ところで・・」
と少々酔いの回ったような佐藤医師が口を開いた。
「診療所に新しい機械が欲しいんだけどどうかな」
「いくらなんですか」
「500万くらいかなぁ」
「じゃあ、いつものとおり村長に相談してみましょう。多分大丈夫ですよ」
「わしの、駐在所にもちょっと欲しいものがあるんじゃがの」
「んじゃ、それも一緒に相談ですね」
そう言いながら、浦河は、チューハイをもう一口グイッと飲み込んだ。

 陸の孤島といわれる雲霞村の診療所に、最新の検査機器が一台増えたのはその三ヶ月後のことだった。


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