「えぇ?しかし、父上。ケインを取り逃がしたままでよいのですか」
「800年前の天神の力など迷信に過ぎん。それよりも『天の国』の王家の飛竜が我が領土を侵したのだぞ。これを侵略といわずなんというか。今こそ天下に正当な理由で進撃できる好機じゃ」
王子は、二人の会話がケインの話から飛竜の話になっていたことにやっと合点し、父王以上に眼を輝かせ頷いた。
「はい、わかりました。遂に念願の『天の国』への出陣の時ですね。早速将軍たちを集めて準備に取りかかります」
ジーザ王子は、父王に深々と礼をすると、高揚した面持ちで大股に部屋を出ていった。
廊下に出るなり大声で小姓を呼び、将軍たちを集める命令を下しているのが聞こえた。
ガーゼル王は目を細めながらつぶやいた。
「ふふ、、ジーザもなかなか良い『地の国』の武者になってきたのう。あとは、もっと経験を積んで思慮深さを身に付けねければならんな」
「さて・・」
改めて大帝はサルサに視線を戻し言った。
「サルサ師よ。そなたは天神の力をどう見るか。ジーザにはああ言ったものの800年昔のカール大公が使ったとされる天下を治める力とは、何なのだ」
サルサ導師の表情は目深にかぶったフードのため表情は読み取れないが、しばらく考えた後低い声で答えた。
「・・・本当のところは誰も判りませぬ。800年前の伝説が事実なのか、また真実だったとしてもその後800年間発動しなかった力がまた使えるのか。この世に判る者はいないでしょう」
「ふむ。確かに・・」
「ただ、この度、気になることがございます」
「何だ?」
「はい、ケインの供についていた一人の男のことでございます。その男、黒尽くめの服装の戦士のようですが、たった一人で戦鉄牛を倒し操縦者を引きずり出したのでございます」
「おぉ、その話か。戦鉄牛が1体倒された話じゃな。わしも聞いておる。だがそれは戦鉄牛が突然故障し動けなくなったところに、お主と同じ位の力を持った『天の国』の魔導師が究極秘儀を使ったため倒されたと報告を受けているが・・」
「はい、それは我らが『地の国』の強さの象徴でもある戦鉄牛の絶対的無敵力に傷をつけないために私が指示したものです。実際にはその男が見たこともない武器で一撃のもと戦鉄牛を倒したのでございます。戦鉄牛と魔道は相容れないもの、私と言えど戦鉄牛は倒せませんが、その男はいとも簡単に行ったのでございます」
「ふーむ。何者じゃ、そやつは」
「800年前の天神の力など迷信に過ぎん。それよりも『天の国』の王家の飛竜が我が領土を侵したのだぞ。これを侵略といわずなんというか。今こそ天下に正当な理由で進撃できる好機じゃ」
王子は、二人の会話がケインの話から飛竜の話になっていたことにやっと合点し、父王以上に眼を輝かせ頷いた。
「はい、わかりました。遂に念願の『天の国』への出陣の時ですね。早速将軍たちを集めて準備に取りかかります」
ジーザ王子は、父王に深々と礼をすると、高揚した面持ちで大股に部屋を出ていった。
廊下に出るなり大声で小姓を呼び、将軍たちを集める命令を下しているのが聞こえた。
ガーゼル王は目を細めながらつぶやいた。
「ふふ、、ジーザもなかなか良い『地の国』の武者になってきたのう。あとは、もっと経験を積んで思慮深さを身に付けねければならんな」
「さて・・」
改めて大帝はサルサに視線を戻し言った。
「サルサ師よ。そなたは天神の力をどう見るか。ジーザにはああ言ったものの800年昔のカール大公が使ったとされる天下を治める力とは、何なのだ」
サルサ導師の表情は目深にかぶったフードのため表情は読み取れないが、しばらく考えた後低い声で答えた。
「・・・本当のところは誰も判りませぬ。800年前の伝説が事実なのか、また真実だったとしてもその後800年間発動しなかった力がまた使えるのか。この世に判る者はいないでしょう」
「ふむ。確かに・・」
「ただ、この度、気になることがございます」
「何だ?」
「はい、ケインの供についていた一人の男のことでございます。その男、黒尽くめの服装の戦士のようですが、たった一人で戦鉄牛を倒し操縦者を引きずり出したのでございます」
「おぉ、その話か。戦鉄牛が1体倒された話じゃな。わしも聞いておる。だがそれは戦鉄牛が突然故障し動けなくなったところに、お主と同じ位の力を持った『天の国』の魔導師が究極秘儀を使ったため倒されたと報告を受けているが・・」
「はい、それは我らが『地の国』の強さの象徴でもある戦鉄牛の絶対的無敵力に傷をつけないために私が指示したものです。実際にはその男が見たこともない武器で一撃のもと戦鉄牛を倒したのでございます。戦鉄牛と魔道は相容れないもの、私と言えど戦鉄牛は倒せませんが、その男はいとも簡単に行ったのでございます」
「ふーむ。何者じゃ、そやつは」