その時、傍らの茂みから背丈と同じくらいの杖を持った一人の人間が現れた。その男は、フード付きのマントを羽織っているためどんな表情なのかよくわからないが、あたふたと焦りながら少年に近づいた。
「ああ、良かった。間に合わないかと思った。ケイン様、ご無事ですか。お怪我はございませんか」
フードの男は、そう言いながら杖の元のほうを少年の体の前でぐるりと円を描いて回しブツブツなにかを唱えた。
それを見た少年は、やっと意識が現実に戻ってきたのか、数回まばたきすると、
「・・・ヤーコン導師、来てくれたのですか。助かった・・」
と言って、縛り付けられていた石柱にもたれかかった。
呪文を唱え終えたヤーコン導師と呼ばれた男は、
「大丈夫のようですね。本当に良かった」そう言うと、傍らに立っている光る剣を持った男に向き直り、深々とお辞儀をした。
「どこの部族のお方か存ぜぬが、なんとお礼を申し上げればよいか。私の力では、あのように大きなゾンデは、動きを少し止めることぐらいしかできなかった。本当にありがとうございました。しかし、その剣はなんという輝きをしているのですか。すばらしい」
男は、手に持った光の剣を軽く持ち上げ、握りの部分を軽く操作した。すると輝きがフッと消え刃の部分がすっかりなくなり握りだけになってしまった。
男はそのまま、手に残った剣の握りの部分を背中のバックパックに入れた。
ヤーコンはそんな男の動作など気にせず、周りの気配を察知し話を切り替えた。
「ケインさま、今の異変に気づいて、村の連中がやってくるでしょう。早くこの場を離れましょう。光の剣の御仁はどうなされるか」
男は光剣の御仁と呼ばれ一瞬動作が止まったが、再びヤーコンに視線を移し、軽くうなずいた。
「では、こちらへ。ここに野生のパグ鹿の獣道があります。ここをたどれば街道に出れます。急ぎましょう」
パグ鹿とは、ジャングルに生息する小型の鹿の一種で、自分のテリトリーをぐるぐる回る習性があり、その際自分専用の獣道を利用する。ヤーコンはその道をこの場からの脱出用に見つけていたらしい。
3人は、ヤーコンを先頭に一見道など無いように見える茂みの中へ踏み込んでいった。
「ああ、良かった。間に合わないかと思った。ケイン様、ご無事ですか。お怪我はございませんか」
フードの男は、そう言いながら杖の元のほうを少年の体の前でぐるりと円を描いて回しブツブツなにかを唱えた。
それを見た少年は、やっと意識が現実に戻ってきたのか、数回まばたきすると、
「・・・ヤーコン導師、来てくれたのですか。助かった・・」
と言って、縛り付けられていた石柱にもたれかかった。
呪文を唱え終えたヤーコン導師と呼ばれた男は、
「大丈夫のようですね。本当に良かった」そう言うと、傍らに立っている光る剣を持った男に向き直り、深々とお辞儀をした。
「どこの部族のお方か存ぜぬが、なんとお礼を申し上げればよいか。私の力では、あのように大きなゾンデは、動きを少し止めることぐらいしかできなかった。本当にありがとうございました。しかし、その剣はなんという輝きをしているのですか。すばらしい」
男は、手に持った光の剣を軽く持ち上げ、握りの部分を軽く操作した。すると輝きがフッと消え刃の部分がすっかりなくなり握りだけになってしまった。
男はそのまま、手に残った剣の握りの部分を背中のバックパックに入れた。
ヤーコンはそんな男の動作など気にせず、周りの気配を察知し話を切り替えた。
「ケインさま、今の異変に気づいて、村の連中がやってくるでしょう。早くこの場を離れましょう。光の剣の御仁はどうなされるか」
男は光剣の御仁と呼ばれ一瞬動作が止まったが、再びヤーコンに視線を移し、軽くうなずいた。
「では、こちらへ。ここに野生のパグ鹿の獣道があります。ここをたどれば街道に出れます。急ぎましょう」
パグ鹿とは、ジャングルに生息する小型の鹿の一種で、自分のテリトリーをぐるぐる回る習性があり、その際自分専用の獣道を利用する。ヤーコンはその道をこの場からの脱出用に見つけていたらしい。
3人は、ヤーコンを先頭に一見道など無いように見える茂みの中へ踏み込んでいった。