★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
SF、ミステリーから現代物まで何でも書いてます。
良かったら感想をお聞かせください。

義腕の男2(96)

2018年01月03日 | 短編小説「義腕の男2」
 俺はしどろもどろになりながらも
「え、、まあ、助けてくれてありがとう。クリス博士」
というしかなかった。
「それから、あなたが助かった経緯は、ジャックさんが説明してくれるわ」
クリス博士がそう言うと、ベッドの反対側にジャックが現れ説明し始めた。
なぜ現場にいなかったジャックが説明するのか不思議に思っていたのだが話を聞いて納得した。
「ケンジ、お前がまだ機内にいるとき、人差し指通信を使おうとしただろ?あの時、僕も超空間通信に接続してたんだ。そしてそのまま繋がりっぱなしで音声でお前の動きが分かったんだよ。お前の右腕が外れたのは、僕が遠隔操作したからなんだ。もう少し早くできればよかったんだけどな。あの腕の遠隔操作は結構面倒なんだよ。爆発のあとは、あの輸送機に積んであったプライベートジェットを使ってノスリルのエージェントが空中でお前を回収した。空中だったから爆発の影響も最小限ですんだようだ。でも、爆発の規模がかなり大きかったんで瀕死の重傷だったんだぜ。本当によかったよ。クリス博士がいてくれて。もしいなかったらとっくに死んでいる」
 なるほど。プライベートジェットが搭載されていたのか。気が付かなかった。確かにそれがあれば俺を空中でキャッチできる。

義腕の男2(95)

2018年01月01日 | 短編小説「義腕の男2」
 体の各部をチェックしながら、飛行機からパラシュートなしで飛び降り、ロボットの自爆に巻き込まれたにもかかわらず、ほとんどケガもなく、いったいどうやって帰還できたのだろうか。
 様々考えてみたものの、あの状況ではどう考えても生き延びられる可能性は限りなく「0」だ。
 だが、実際俺はここで生きている。
 いったいどうやって生き延びたのだろうか・・等と考えているうちに、ふと気が付いた。
 自前であるはずの右足がなにか変だ。
 見慣れた古い傷跡が全くなく、やけにきれいだ。それにこの感覚は・・
「あっ・・」
 俺は思わず小さく叫んだ。
 そう、この感触は間違いなく少女博士が作ってくれた左足と同じなのだ。
 しかも、その感触は右足から胴体の真ん中あたりまで続いている。
 どういうことなのか・・・
 自分の体を触りながら混乱していると、博士が近づいてきて心配そうな微笑みを浮かべ言った。
「気がついたわね。どう、体の具合は?」
「この足は・・それに俺はどうやって生き延びたんだ?」
クリス博士は、俺の右足を触ってチェックしながら
「そう、あの爆発であなたの体はかなりの損傷を受けたのよ。生きているのが不思議なくらいね。それで私が開発している高速再生クローン技術を適用して内臓部分は前と同じように再生できたんだけど、右足は、骨の再生は時間がかかるし左足の前例もあったので、左足と同じように有機型義足をつけたの・・いけなかった?」
 ここまで出来上がった体を見て、今更いけなかった?と言われても文句も言えない。